- Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003102329
感想・レビュー・書評
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実は読んだことがなかった作品。
主人公が先輩と仰ぐ人が高柳に対していう言葉に「あれ?」と思い「なんでテキサスに行くわけ!?」と思ったのだが、解説によるとなるほどそこが本作品の弱点であるのだと。
とはいえ、「真に近代日本文学史上最高の記念碑」、その通りだと思う。 -
"部落差別について、その不条理、心情、世間の風、などを知ることのできる小説。文学。
生まれた場所で、村で差別をしていたこと。脈々と紡いだ歴史の中でそれが積み重ねられ、明治、大正、昭和にかけても名残があったことを知る。" -
穢多非人に対する日本内での人種差別の物語。日本には人種差別はもはや存在しないと考えたが、滅相もない。空気読むなど、周りの反応に合わせる日本人は実際見た目、内面が異なる人間を精神的に迫害することが今でも行われてるじゃないか!とハッと気付かされた。
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島崎藤村の『破戒』は明治39年(1906)刊行。
士農工商の封建社会の身分制度が、「解放令」(1871)によって崩壊するかに見えた時代に書かれた作品で、自然主義文学の先駆と呼ばれる。しかし、この法令によってそれまでの身分社会が急速に変わることはなく、主人公の丑松をはじめとした苦しむ人々が登場する。結局、人の中に刷り込まれた差別意識は簡単に変わらない。
自信が穢多であることを床に顔をつけて告白する丑松。彼が穢多であることと、彼自身の人物性との間に穢多であることがどう関係するというのか。事実、彼は学校では生徒から絶大な人望を寄せられている。銀之助、お志保など、彼の素性を知ってなお彼を支えようとする素晴らしい仲間に恵まれている。どこの生まれであるか、それだけで人物評価を下す、あまりに残酷な世の中にはぞっとさせられる。
今日の社会はグローバル化を迎えた。どこの国の出身か、そのようなことで人を区別し判断する社会であっては、本当の自由で平等は社会の発展は望めない。 -
自然主義文学の代表作。人間一人一人の言動がよく書けている。
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何度読んでも良い!といってもまだ3度目程度だが…。
現代とは比較にならないくらい根強い差別の中で出生を隠して暮らしてきた丑松。その苦悩と彼の誠実さにどんどん惹き込こまれていく。こんなにも理不尽な世の中で、銀之助や志保、そして生徒の小さな救いに思わず涙が出てくる。
とても素晴らしい作品です。