家〈上巻〉 (岩波文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003102343

作品紹介・あらすじ

木曾の旧家に生まれ、古い「家」の崩壊を体験した島崎藤村(1872‐1943)の自伝的作品。封建的な色彩を色濃くのこしている信州の二つの旧家、小泉家と橋本家。この家父長制的な「家」の下に生きてきた大家族数十人の人々の個々の運命を描くことによって、古い「家」の頽廃と崩壊の跡をたどる。

感想・レビュー・書評

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  • 私小説である
    主人公の名前が他作品と異なっているが
    藤村の経歴に照らして言うと「春」の続編にあたり
    また「新生」の前日談でもある

    物語は主人公の小泉三吉が姉の嫁ぎ先へ泊まりにいくところから始まる
    木曽の山奥にあるその土地は、もともと小泉の先祖が開いたものだ
    自分で耕しきれないところは、気前よく人に与えてしまい
    そうして村ができていったのだとされる
    しかし当の小泉家は
    商売を志した三吉の長兄もろとも上京してしまい
    いまは薬屋の橋本家に嫁ぐ姉をひとり残すのみであった

    橋本の家は、その土地では小泉に並ぶ旧家で
    たいそう繁盛していた
    一方、東京で事業を興した小泉家も
    公文書偽造で、長兄が逮捕されるなどの危機にみまわれはしたが
    なんとかやっていけていた
    長い逗留を楽しんで、橋本家の安泰ぶりに心強さを感じつつ
    東京へ帰っていく三吉を待っていたのは、縁談だった
    このときはまだ、未来は明るく思われていた

    所帯を持った三吉は、学生時代の恩師に請われ
    田舎の学校で英語教師をやることになった
    新婚早々、故郷の恋人にあてて書かれた妻の手紙を見てしまうなど
    けして順調な新生活の船出とはいえなかったが
    やがて子供が次々に生まれ
    自分たちのことばかり考えてるわけにもいかなくなった
    そのようにして、やっと心の落ち着いてきた矢先
    長兄が事業に失敗の挙句、またしても逮捕の憂き目にあい
    東京の本家からカネの無心が届くようになった

    ここに至って、長年の援助を続けてきた橋本家の財政もぐらつき始め
    もともと女癖の悪かった橋本の家長…三吉にとっての義理の兄…は
    身請けした芸者と共にどこかへ消えてしまった
    そんな中
    新たに生まれた三人目の娘を前に
    家計は早晩行き詰るであろう、そう考えた三吉は
    ひとつの賭けに出ることを決意した
    上京して、なんと専業作家になる道をとったのである
    藤村の経歴に照らせば
    それはちょうど「破戒」の執筆にとりかかった時期だ
    よほど着想に自信があったのかもしれないが
    それにしても、思い切ったことだった

  • 幕末の志士の話はかくあるけれど、その時代の農民や商家の話はあまり読んだことがなかったので興味深く読めた。

  • 7/8
    課題用。
    ヘーゲルにおける男女の自己意識の違いは割と見られるが、むしろ既定の自己意識を崩壊させることで近代化していく過程を描いた作品では?

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