にごりえ・たけくらべ (岩波文庫)

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  • 岩波書店 (1999年5月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (144ページ) / ISBN・EAN: 9784003102510

感想・レビュー・書評

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  • 慣れるまでは読みにくいので時間はかかるが、これを読むのと読まないのでは、文学全体の読み方が大きく変わる。

  • この本を読んで、吉原へ行ってみようとふと思った。一葉が見つめた風景を1.5世紀ほど経った今、見てみたいと思った。
    そういえば、東京に来てから吉原には行ったことがない。(行く用事がない、、、)

    浅草駅を降り、外国人でごったがえす、浅草寺の脇を抜け、千束までたどり着いた。

    陽は雲に隠れているが、汗が吹き出すほど蒸し暑く、頭上にかぶさる曇天に、身も心も押しすくめられる。
    抱えきれない欲望を抱えて、足早に急ぐ人らを白鬼たちが物陰から見ていそうだ。
    お歯黒どぶを埋め立てたのだろう花園通りから吉原大門跡まで歩くと、「よし原大門」と書かれたか細い門柱が立っていて、その脇に交番が備え付けられていた。
    土手通りに出て見返り柳を見上げた時、野球帽を被った子供らが三人、遊びの算段を話しながら通り過ぎていった。
    それはいつかの正太郎や長吉だったのかも知れない。


    一葉は、ここに住む人らのなにかを掬い上げたかったのだろうが、本当のところはまだ私にはわからない。

  • 読み終わらないのですが、図書館に返却しました。
    現代文を読み慣れている私には、短い近代文の小説でも、なかなか頭に入ってこないので、最後まで読めませんでした。ざんねん。

  • 旧字体でなかなか頭に入ってこず、かなり苦戦したけれどなんとか読破。男性優位社会における女性たちの葛藤を描いた画期的な作品で、女性の社会進出に多大な影響を与えたであろうことを感じさせられた。
    当時の価値観を反映した男女の葛藤は今読むと新鮮さもあるが、一昔前の昭和にはまだこの男性優位の価値観は存在したし、現代においても忘れてはいけない反省すべき風習だ。身の回りで女性差別などの問題が浮上したり、意識したいと思ったときに、定期的に読み返したい作品だった。

  • 「雅俗折衷体」という文体なそうです。しかし、正直とても読みづらかった。江戸時代の候文まではいかないが、講談調のよう。句点が打たれぬまま、一文がつらつらと1ページ程の長さに及ぶ。その中に、彼我の台詞が一緒になっており、これまたわかりづらい。こうした読みにくさのため、内容の半分くらいは、意味をくみとれなかったやもしれない。本作、この時代の小説を読みなれていない人には、全くお勧め出来ない。

     「にごりえ」は、以下の2人が主な登場人物。「銘酒屋『菊の井』の売れっ子酌婦「お力(りき)」。(銘酒屋というのは、女性のいるクラブみたいなものか? すると酌婦は、常連の男客が「お力」ご指名で来店する様子もあり、云わばホステスみたいなものか…)。そして、もうひとり、その「お力」に入れ込んで、あげく、家計を傾かせ、家庭をめちゃめちゃにしてしまっている男「源七」の妻「お初」。終盤、この「お初」は源七の家を出る(離縁)。かような筋のあった模様。
    「お力」が、幼少時の生家の貧しさを物語るくだりがある。お米を買いに遣いに出るのだが、滑って転んで、米粒の多くをどぶ板の下の水に流してしまい、途方にくれて家に帰れない…。そんな悲しい思い出。このくだりは印象に残った。

    そして「たけくらべ」。吉原の近くにあり、廓の繁栄と共に賑わう町屋の界隈が舞台である。「美登利」という少女と、寺の息子「信如」の二人を軸に、お話が進むようであった。
    吉原の近くの粋な風俗、町の賑わいが、生き生きと描かれている感じはあった。「美登利」と「信如」は、いわば幼馴染のふたりらしい。中盤、互いの異性や、周囲の目を意識し始めたためか、そして、照れもあってか、互いに距離を置くようになってしまう。そのあたりは、思春期の男女にありがちな感じで、キュンとするせつない思いがした。 

     ※「龍華寺の信如」。「大黒屋の美登利」。 

  •  ここ半年の間に性風俗産業の世界を描いた五社英雄監督の映画や、大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(森下佳子, 2025)に親しんだ。なので「今なら読めそう!」と思い再読。——改めて読むと、女性たちの苦しみを実に写実的に描いていてびっくり!

     「にごりえ」は酌婦お力と、お力に入れ揚げて零落した源七の妻 お初の境遇がたまらない。一見お力は〈家〉の外に、お初は中にいて正反対のようだが、女性として〈家〉——男性に搾取されている点で二人は共通している。奪い合い、蔑み合っているようで同じ“地獄”に囚われているという皮肉で悲劇!
     お力の「物思い」とは? 詳細は作中で明らかにされず。書き忘れたのか、それとも意図的に省いたのか?
     作中の男たちはろくでなしばかり。お力の客 結城朝之助は彼女に親切なようで、その実は何もしない傍観者。彼の台詞「お前は出世を望むな」・「思ひ切つてやれやれ(※くの字点)」の真意とは? 源七はどうしようもないバカだ。

     本書収録2作のうち、私は「たけくらべ」のほうが難しく感じた。いわゆる雅俗折衷体物語の舞台 大音寺前や吉原の風景風俗が細かく描写されているゆえか?
     いつまでも子どものままでいたい、大人になんかなりたくないという美登利。ある時を境に友だちと遊ぶことすら厭うようになった彼女の身に何が? 信如に対する複雑でいじらしい思いの描写が巧みだ。
     第1章の「下足札そろへてがらんがらん」の場面は五社英雄作品や『幕末太陽傳』(川島雄三, 1957)にもあった。商売繁盛のおまじないのようなものだと察するが、行われていたのは遊郭だけだったのだろうか?

  • 五千円札の顔、樋口一葉が住んでいた吉原遊郭で起こる女性の不条理を描いた作品。にごりえは暗く、たけくらべも切ないが甘いお話。

    ごめんなさい先に忠告しますが、自分は現代語訳無しで読みましたが、現代語訳付きのものがあればそちらを手に取って読んでください。だいぶ言葉も内容(時代背景)も古いです。注釈はあれど読みづらいです。
    古典文学に影響を受けた一葉だからこそ言葉が今の日本語表現とは隔たりがあり、また大和言葉で書かれていることが評価されてはいますが、今の日本人には読み慣れないものが多いです。そのため星2つくらいの評価でお願いします。
    とはいえ内容は日本文学というべきもので、皮肉が効いた内容でどれも不憫な遊女の物語だが、彼女たちの人生を否定的に捉えたものではなくむしろ時代に恵まれなかったというべく自由恋愛や選択肢のある人生を生きることができなかった日本を風刺した作品に思えました。

  • たけくらべ、ガラスの仮面思い出した。

  • 樋口一葉と言えば、近代日本文学においては有名な女流作家の一人である。
    いや紫式部はかなりさかのぼる。
    それを考えればおそらく女流作家の中では唯一無二の存在と言えるだろう。
    長らく読まなければとは考えていたが、文語体という大きな壁がそれを阻んできた。
    それを年末のどさくさに紛らせてどうにか消化した。
    カラマーゾフまでとは言わないがこれもかなりの熟成させた未読本だった。


    読んだ感想は”意外”の一言。
    てっきり女性らしい甘ったるい、もしくはやけに清々しい清潔なものを想像していたが、蓋を開けてみれば、どちらも悲哀に満ちた丁寧でそして繊細な物語だった。
    前にも書いたが女性らしい作品と言うのが私はどうも苦手だ。
    何というか、性別に焦点を当てられての諸々のことにあまり関心が向かない、いや何となく面倒になってしまうんだよな。ほとんど食わず嫌いの粋なのだが、何とも。
    しかし今回の一葉の作品も確かにその時代の女性達の生き様に確かに焦点を当てていたが、それが女とはその性はのうんざりするような長広舌ではなく、その悲哀を描きつつも芸術的な美しさを失わぬすばらしい作品となっていた。
    これは文語体によって若干紛らわされているのかもしれないが、本当に読み終わってみて何ともきれいな物語だな、と感心してしまった。
    特に私の場合『たけくらべ』にそれを感じた。
    はじめは幾分、文章が追えないと四苦八苦したが最後につれては鴎外達が絶賛した詩のような美しさを感じた。


    文語体を多少読み解けるようになって感じるのは、リズムの美しさだ。
    全て短歌的なゴロをもっているというわけではないが、言葉がリズムを持ち綴られている。
    おまけにその総体はえも言わぬ日本的なかぐわしさまでも纏う。
    たしかに口語体こそ当然に読みやすいが、こういった世界観、いや美観を演出できるのは文語体のすばらしい所だと思う。私は元来、文章は華美なものを好む性質があるので特にそう感じるのだろうけどね。
    しかし読むことに苦労して、というのも在るのだろうが、近頃読んだどの文語体作品もどことなく鮮烈な印象を残す。それもやはり日本的な。
    正直、一葉に関してはなんの期待も抱いていなかったからある意味目からウロコ。
    素直に美しい作品だったと今でも思う。



    一葉と言う人を後々すこし調べて、夭折であり苦労の人だったのだと感じた。
    しかし、その波乱と苦悩がこの人の文学に女性らしからぬ独自の視点を産み、しかし一方で女性らしいロマンチシズムばかりではない清潔な悲哀を含んだ物語を生ませたんだと思う。
    やっぱり文学には、苦悩なりのこういった思考をくぐった上での精神性がないと……なんて、えらく真面目に思ったりして。

  • 有名な作品です。これに胸がきゅんとした高校時代は純粋だった…。

  • 本棚から引っ張り出して随分と久し振りの再読です。
    流れるように口調の良い文章を読んでいくと最後は悲しい結末で、貧乏で若くして亡くなった樋口一葉と重ねてしまいます。

  • 『たけくらべ』は難しかったですが、『にごりえ』は読みやすかったです。『にごりえ』は1文か2文で章が終わっているので、今の小説に読み慣れているとかなり驚くかもしれません。

  • Audieble にてにごりえを聴く

    たけくらべよりわかりやすかった。会話が多かったからかも?今べらぼうで吉原の遊女の話見てるから、この話の遊女はもっと格下なんだろうけど話し方とかで繋がるなと思った。最後はかなり呆気ない。途中おりきの吐露がきっと現代語訳で聞いたらもっとぎゅっとくるものがあるのだろうなとおもった。また現代語訳も聞いてみたい

  • 昔の文体で書かれていて。なんとなくは理解できるが、ちゃんとは文末の解説で理解できた。現代語訳を読みたいし、読んだ方が良いと思った。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/686833

  • 『にごりえ』酌婦として働くお力が、落ちぶれて妻子に見放された男、源七に出会い心中するまでを描く。
    『たけくらべ』14歳の少女美登利と僧侶の息子藤本信如の淡い恋心と、吉原の子供たちの生活を描いた小説。
    どちらの小説も作者である一葉の実体験をもとに、当時の社会のジェンダー問題を内包しています。

    ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00086978

  • 天才だなと思った。

  • 解説:和田芳恵
    にごりえ◆たけくらべ

  • 本書のタイトルにもある、「にごりえ」と「たけくらべ」の2作が収録されています。
    樋口一葉は他にも「大つごもり」や「十三夜」など、代表作と呼べるものはあるのですが、それはそのうち。

    樋口一葉といえば、近代初の女性職業作家なのですが、それまでの作家たちの恋愛描写に比べ、女性側からの視点での心理が書かれている点が新鮮に感じました。
    本作以前、逍遥以降に書かれた恋愛は全て男性視点で、もっと物理的な描写をしているイメージを持っています。
    また、一方で、ジェンダーに走った描写をしていないのも良かったと思います。
    他の作品に関してはわかりませんが、本作に関しては、作中にリアリティに欠くレベルで我の強い女性が出て来るわけではなかったです。

    両作とも素晴らしい作品なのですが、一方で読みづらさも感じました。
    「たけくらべ」は前半、なかなか読み進めることができず、「にごりえ」に関しては、あらすじを頭に入れてから読まないと何が何だか分からないと思います。
    山田美妙や森鴎外に比べると、まだこなれた感があって読みやすいのですが、それでも場面転換が多く、気がついたら今がどういう場面かわからなくなることがちらほらあります。
    薄い短編なのですが一気に読もうとせずに、十分咀嚼しながら読み進めることをお勧めします。

    2作の各々の感想は下記の通り。

    ・にごりえ …
    単純明快な内容なのですが、遠回しな表現(あるいは、読者の想像にお任せする場面)が多く、非常に読み進め難かったです。
    私は、文章や表現の難解さから、読む前にまずググって、あらすじを頭に入れてから読み始めることをおすすめしますが、解釈は読者に任せる内容になっているため、難解だろうがまずは解説なしに読みたいという方は、挑戦してみても良いと思います。

    ・たけくらべ …
    森鴎外、斎藤緑雨などに影響を与えた、樋口一葉で一番有名な代表作。
    前半はとっつきにくかったですが、中盤以降の美登利と信如の淡い関係が書かれたあたりからは比較的楽に読み進められました。
    吉原に住む子どもたちの話で、美登利と信如の他にも幾人か子どもたちが登場し、2つのグループに別れて対立しています。
    美登利と信如を中心とした解説が多いですが、この二人が登場するシーンは印象的だけど実のところ少ないです。
    主役は登場する子どもたち全員で、子どもたちが大人へ成長する、その余韻というか虚無感というか、そういったところが本作のテーマだと感じました。

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著者プロフィール

1872年、東京に生まれる。本名なつ。92年、20歳で小説『闇桜』を発表。以降、96年に24歳で
亡くなるまで、『大つごもり』『たけくらべ』『にごりえ』『十三夜』などの名作を書いた。

「2016年 『漫画版【文語】たけくらべ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

樋口一葉の作品

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