明治劇談ランプの下にて (岩波文庫 緑 26-2)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003102626

作品紹介・あらすじ

『半七捕物帳』や戯曲『修禅寺物語』で知られる作家岡本綺堂は、父に連れられて初めて団十郎・菊五郎・左団次らの新富座興行を見た。以来、少年綺堂、長じて『東京日日新聞』劇評記者綺堂が見た数々の舞台と名優たちの思い出を綴り、明治の時代の息吹を伝える。

感想・レビュー・書評

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  • 岡本綺堂 「ランプの下にて」

    著者の幼少期の思い出から 劇評家や劇作家として活動した明治時代の演劇エッセイ。新富座に始まり 菊五郎、団十郎、左団次の死で 終わる構成


    歌舞伎のことはわからないが、歌舞伎座と新富座との新旧の争いや 役者の裏話が面白い。開場したばかりの歌舞伎座は洋館みたいでおしゃれ。新富座の芝居茶屋が並んで賑わっている


    著者がまとめた明治演劇年表がよくできている。年表で見ると、劇場の多くが 火事により消失していることに気づく。明治時代も火事は多かったのか?


    歌舞伎に女性が出ていないことは 不思議だったが、明治時代は男女合併興行があったり、女性だけの芝居があったとのこと。今もやればいいのに。

  • 『半七捕物帳』で有名な作家綺堂は幼少期から父親の縁で歌舞伎に親しみ、東京日日新聞では劇評を担当する記者であり、『修善寺』など今でも上演される作品を書いた劇作家でもあり…と多方面で活躍していた。
    幼少期の思い出からは、明治前半の頃の歌舞伎の観劇の様子が手に取るように描かれ、今とは違う観劇作法(例えば、当時は大向こうはあっても拍手はしないものだった、等)や、芝居茶屋の制度がまだ残っていることに驚いたりと、小劇場の立ち位置等々、今では分かりにくい価値観を丁寧に描いてくれていてとても良い。
    冒頭に、これは体系的な資料というより、私個人が体験した思い出話…といった事が書かれているが、体験した本人だからこそ、な資料となっていて素晴らしい。

    明治の後半頃になると劇評記者の視点での思い出話が多くなり、團十郎・菊五郎・左団次が亡くなる辺りまでが描かれる分けですが、歌舞伎以外にも川上音二郎一座や自由劇場など、新派の話などもちょこっと出てきていて、この旧劇と新劇が両立していた当時、劇作家綺堂としていわゆるその業界のナカノヒトとしての感覚と、観客達の感覚が解説されていてとても参考になりました。

    そして巻末の明治演劇年表もとても素晴らしいです。

  • 著者:岡本綺堂(1872-1939、港区、小説家)
    解説:岡本経一(1909-2010、岡山県、編集者)

  • 2010/10/26購入

  • 途中までで終わってしまった。新富座の描写などがおもしろかった。「日本文壇史」のあとに読んだほうがよかったかもわからん。

  • 九代目団十郎や五代目菊五郎を実体験としてもっているんだよね。そのリアルさがおもしろい。研究書としてだけでなく、随筆としてもおもしろい一冊。

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著者プロフィール

(おかもと・きどう)1872~1939
東京生まれ。幼少時から父に漢詩を、叔父に英語を学ぶ。中学卒業後、新聞、雑誌の記者として働きながら戯曲の執筆を始め、1902年、岡鬼太郎と合作した『金鯱噂高浪(こがねのしゃちほこうわさのたかなみ)』が初の上演作品となる。1911年、二代目市川左團次のために書いた『修禅寺物語』が出世作となり、以降、『鳥辺山心中』、『番町皿屋敷』など左團次のために七十数篇の戯曲を執筆する。1917年、捕物帳の嚆矢となる「半七捕物帳」を発表、1937年まで68作を書き継ぐ人気シリーズとなる。怪談にも造詣が深く、連作集『三浦老人昔話』、『青蛙堂鬼談』などは、類型を脱した新時代の怪談として評価も高い。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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