- Amazon.co.jp ・本 (153ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003102718
作品紹介・あらすじ
北陸敦賀の旅の夜、道連れの高野の旅僧が語りだしたのは、飛騨深山中で僧が経験した怪異陰惨な物語だった。自由奔放な幻想の中に唯美ロマンの極致をみごとに描きだした鏡花の最高傑作『高野聖』に、怪談的詩境を織りこんだ名品『眉かくしの霊』をそえておくる。
感想・レビュー・書評
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高野聖:1900年(明治33年)。
前置きなく始まる語りで、のっけから物語に引き込まれる。蛭で生理的嫌悪感を煽られた後、謎めいた美女が登場し、あやしの世界に誘うかと思いきや、意外にも美しい展開に陶然とさせられる。最後は型どおり美女の正体が暴かれるのだが、これが恐怖というより、どこか猥雑でユーモラス。これらの場面転換が少しも不自然でなく、リズミカルな文体と相まって、独自の世界を生み出している。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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>紅茶さん
そうですか、それはホッとします。実は、紅茶さんのレビューを読んで興味を持ちました。いやー、よかったです。ありがとうございました。>紅茶さん
そうですか、それはホッとします。実は、紅茶さんのレビューを読んで興味を持ちました。いやー、よかったです。ありがとうございました。2012/07/14 -
こちらこそありがとうございますm(_ _)m 私もclloudthickさんのレヴューはよく参考にさせてもらってます(特に日本思想系)。
...こちらこそありがとうございますm(_ _)m 私もclloudthickさんのレヴューはよく参考にさせてもらってます(特に日本思想系)。
鏡花に話を戻すと、私は歌行灯や春昼も好きです。気分が乗ったらお試し下さい。2012/07/15 -
紅茶さん
お恥ずかしいですが、ありがとうございます。
>歌行灯や春昼
ありがとうございます、覚えておきます。
遅かれ早かれ手に取るこ...紅茶さん
お恥ずかしいですが、ありがとうございます。
>歌行灯や春昼
ありがとうございます、覚えておきます。
遅かれ早かれ手に取ることになりそうです(笑2012/07/15
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高野聖ってこんなに怪しく美しい話だったか…
読んだことがなかったので、硬くてつまらん話かと思っていた…
全体にまとわりつく雰囲気が素敵。
ただ、この時代の文章を読み慣れていないので慣れるのに少し時間がかかった。 -
美文ってだけで読める本がこの世にはあるんですよ奥さん。
列車で一緒になったお坊さんが若いころの怪奇体験を語る話。話自体はそんなにでもないんだけど文章の節々からにじみ出る「美しい日本語エッセンス」的な何かに圧倒されるというか、読んでるうちに泉鏡花文体中毒患者になっていくというかそんな感じ。
あと眉隠し霊もそうだが泉鏡花の書く女幽霊はたおやかで艶っぽくてたまらん。俺は萌えているのか。 -
初めて読んだ鏡花文学。大学の授業でこれを買うように指示されたから、という理由で読むことになったけれど、すばらしかった。「高野聖」、「眉かくしの霊」、どっちも不思議な感じがする。読んでみなくては分からない感じ。私の文学の先生が、鏡花は人間じゃなくて、妖精か何かじゃないか、と半ば本気で言っていた。
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高野聖は二回目、眉かくしの霊は初めての読了。
真夏の暑いときにおすすめ。
少し背がゾッとするような、それでいて美しいという。 -
泉鏡花の代表作である高野聖を読みたくて購入。
尾崎紅葉の門下らしく、読みやすくて分かりやすく、引き込まれる文章でした。
このころの文学に慣れていないと難しく感じるかもしれませんが、本作以前に出版された作家の代表作と比較するとかなり読みやすい方だと思います。
本書収録の作品は2作とも怪異を題材とした、泉鏡花らしい作品です。
特に高野聖は泉鏡花を知るに相応しい、まさに代表作と呼ばれるに値する作品で、氏の作品の入り口にはとても良いと思います。
泉鏡花は尾崎紅葉の門下の一人、神経質で潔癖症な作家で、中国の怪奇物や上田秋成に影響を受けて、怪異小説を多く書きました。
高野聖にはそんな泉鏡花らしさが詰め込まれており、尾崎紅葉の洒脱した文章、蛇やヒルなどに対する恐怖、美女の妖怪が登場し、想像力の掻き立てられる、読んでいて
世界に没頭できる作品となっています。蒸し暑い夏の夜にはおすすめです。
本書収録作は下記の2編。
・高野聖 …
泉鏡花の代表作。
若狭への帰省中、ひょんな縁から同行することになった高野山の僧が、宿で就寝前に語ってくれた怪奇譚で、宗朝というその僧が語り部となって物語が綴られる形となっています。
宗朝の若い頃、松本へ向かう飛騨の峠で、先を追い越した富山の薬売りが危険な道に行ったことを知り、後を追ってその道を進む。
様々な恐ろしい目に会いながら、道を往くと、馬の嘶きが聞こえる。
その方向へ向かうと、妖しい美女と亭主だという白痴の少年が住む家にたどり着く、という話。
山道の怖ろしさ、気味の悪さと、美女の艶めかしさの描写が秀逸で、夢中になって読みました。おすすめです。
・眉かくしの霊 …
タイトルの通り、懐紙で眉を隠した霊が出てくる話。
作中に出てくる鶫料理がとても美味しそうで、一度食べてみたいと思いましたが、今は禁鳥となっていて食べられないそうです。残念。
ユーモラスな導入と中盤以降の不気味さ、過去に起きた悲しい事件の対比が素敵な作品です。
ただ、読み終わってからも、結局、眉かくしの霊とは何だったのか、正体や目的が明かされているようでわからないです。
本書の巻末の解説には、“「眉かくしの霊」は勿論独立した作品だが、筋の上では「彩色人情本」の続篇”と書いてあるので、「彩色人情本」をそのうち読みたいと思いました。 -
ついに鏡花を読む、その名も高き高野聖を。なぜか肌に合わぬと思い込み、食わず嫌いでいたことが悔やまれる。古めかしい文体に戸惑うも束の間、すぐにあやかしの桃源郷に迷い込み囚われの身に。異形のものがわらわらとはためく深山中に忽然とあらわるる艶めく美女。残忍さと慈愛とが入り交じり、鬼女にも聖母にも変化するエロティシズムは鏡花の紡ぎ出す日本語の美しさと交感し、忘我の境地へと導く。旅僧が全てを捨ててでも女のもとに戻りたいと思うのも無理はない。俗世的なユーモアもあり、なんとオチも用意されている。これは嵌りそう。参った。