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Amazon.co.jp ・本 (112ページ) / ISBN・EAN: 9784003102725
みんなの感想まとめ
芸道に身を置く者たちの美しくも狂おしい因縁を描いた物語は、二つの語りが絡み合いながら、深い感動を呼び起こします。舞台は凍てつく冬の夜、掛行燈の灯りの下で繰り広げられる人間ドラマが、登場人物の身なりやし...
感想・レビュー・書評
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1909年(明治42年)。
糾える縄の如く、二つの語りが絡み合い、呼応し、やがて一つに収斂される。芸道に身を置く者達の、狂おしくも美しい因縁話。凍てつく夜、月と、掛行燈の灯のもとで。 -
国語の先生から言われたことで本当に正しかった!と思えるのは、
「読む本に迷ったらベストセラーより、ロングセラー(を選べ)」と言われたこと。
これは真実!
でも、あの先生は馬鹿にしていたな、
価値がないと言っていたなと言う作品、作家、それでも読んでみると
「もしかして、あの先生、ちゃんと(もしくは全然)読んでなかったのかな~」
と思うことも、多くある。
確かに先生と言う立場でふんふん聞いてくれる観客(生徒)がいたら、
なんか色々調子に乗って話してしまうこと、あるかもね。
誰か(特に自分に与える影響が大きい人)が言ってた、はとりあえず消却、
常にその作品に対してまっさらな心で挑みたい。(なかなか難しいけれど)
泉鏡花…、これも高校の時の先生が色々言っていて、
嫌いな先生だったからいうこと聞かなくてもいいんだけど、
なんか頭の片隅にずっとあって、
そのせいもあり?、恥ずかしながらちゃんと読んだことはなかった。
ある冬の夜、うどん屋さんの店先に現れた門附
(店先で芸をしてお金をもらう人、今でいう流しのギター?のような)、
聴こえてくる按摩の笛の音におびえて酒をあおる。
やがて、三年前に起きた因縁話を懺悔をこめて語りだす…
一方、近くの宿屋では、若い芸妓お三重が、
旅の老人二人によばれ、薄幸な身の上を語りながら
三味線も、踊りもできないかわり、
能を舞いますと言うが、その舞いを見てひとりの老人が…
登場人物の身なり、しぐさ、部屋の様子、持ち物、景色、
お店の中のゆげや、お酒の匂いや、宿屋の他の部屋から聞こえてくる声まで…
いつの間にか、宿屋やうどん屋さんの中に私も入って、
じっと話を聞いている。
映画やドラマのセットと言うと変だけど、
上を見ても横を見ても、振り向いても、
どんなにキョロキョロしてもその世界の中にいる、と言う感覚。
(伝わるかしら?)
いつもなら大体「本を読んでいる私」の意識がどこかあるけれど
それが全く無くなるような…
これが描写の力と言うのでしょうね。
とてもはっきりした不思議な夢のような読後感。 -
好きな鏡花作品中でも、多分、一番好きな作品。
芸に懸ける執念や自負が怖い程に描かれております。
芸の至高と愛の至福は両立しないものなのでしょうか?
ラストは圧巻ですね。-
「芸の至高と愛の至福は」
鏡花の世界って、能の世界にインスピレーション得てますよね。どうしても繋がってはいけない此方と向こうを描いてるような...「芸の至高と愛の至福は」
鏡花の世界って、能の世界にインスピレーション得てますよね。どうしても繋がってはいけない此方と向こうを描いてるような気がして、、、2013/07/16
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たまに読み返したくなる一作である。人によっては、鏡花作品の白眉だという人もいよう。
「膝栗毛」の一節から始まるが、そこからして鏡花世界が広がっている感覚である。以下、二人の老能楽師の場面と博多節の流しの若者(実は老能楽師の一人の甥)の場面が交互に語られていく。この不思議な語りも、鏡花世界への糸口である。
能楽、膝栗毛、美しく若い女、鏡花世界の様々な分子が盛り込まれた作品である。
解説は久保田万太郎のものであるが、これも面白い。 -
収録作はタイトルの歌行灯のみ。
とはいえそれほど長い話ではなく、頁数もそれほどないです。
調子の良い文体で書かれていて比較的読みやすく、あっという間に読んでしまいました。
泉鏡花はこのころの他の作家に比べるとプロットがしっかりしていて、読んでいて続きの気になる物語を書く作家だと思います。
本作も、一見無関係に見える2つのストーリーが同時に進められ、終盤で一処に集約するという構成になっており、物語として面白かったです。
2人の老人、弥次郎兵衛と捻平は、旅の道中、名物の焼蛤に酒を酌み交わすべく湊家という旅籠に入る。
一方で、その旅籠の近隣の饂飩屋にある門附の男が訪れる。その門附が爪弾く博多節は見事なもので、饂飩屋の亭主と女房は聴き惚れる。
弥次郎兵衛と捻平は、周囲の景気の良さに絆され、酌人を頼みたい、が、人がいないため、お三重という娘がやってくるのですが、このお三重が芸者だのに三味線も弾けなければ、踊もだめ、唯一、唯一つだけ舞の真似事ができるのだという。
門附は饂飩屋で、やはり周囲の賑やかさに酒を飲み、按摩を呼ぶ。按摩にかかるのは生まれて初めてだという。
そこで、自分は過去に、按摩を殺したことがあると告白をする。
そして捻平は、唯一できるという三重の舞を見て大層驚く。
導入部分は軽い感じで書かれているのですが、物語がさわりに入ると怪奇趣味な雰囲気になります。
ただ、怪異小説、幻想小説的なテイストは薄いため、泉鏡花の代表作としての出来栄えは申し分ないのですが、氏の入り口としては相応しくないかと思います。
また、泉鏡花は同世代の作家に比べると読みやすいのですが、本作は2人の老人の話、門附の話、三重の話、門附の過去の話がパラパラと切り替わり、話が分からなくなりがちなため、注意して読む必要があります。
物語としておすすめ。能を題材とした作品ですが、造詣がなくても楽しめます。 -
2016.10.1(土)¥100(-2割引き)+税。
2017.6.1(木)。 -
二つの物語が交錯し、壮大な自然と混じり合う結末はあまりにも美しい。
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帰省中に再読。按摩に怯える流しの三味線弾きの青年と、いわくありげな老人二人の座敷に呼ばれた芸のできない娘、それぞれが別の場所で語る身の上話、しかしそれが最期に見事にひとつに重なった瞬間のカタルシスが素晴らしい。でも鏡花はやっぱり妖怪出てくるほうが好きだな(笑)
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とても美しい物語。
泉鏡花の描く女性は本当に美しい。
ラストシーンは圧巻。 -
はじめはバラバラだった情景や人物や物語が、後半でひとつの流れになって加速する。舞と謠と、桑名の夜の風の音が聴こえてきそうなラスト。興奮。
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歌行燈。闇に紛れて教える夜が、綺麗で、切ない。
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古市の按摩さん!
月の夜、強い風、按摩の道にうごめくさまが不気味…意味を正確にとれない箇所もあるが、不吉な場面を切り取とり重ねていくので、”理解”というよりも”感覚”に近い。
最後五頁、舞と謡の緊張と高まり、喜多八かけつけてからの加速が息をのむ。 -
桑名などを舞台とした作品です。
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ちょっと旧表現が出てくるので
読みづらさを感じてしまうでしょう。
でも全体に漂う空気は非常によい感じです。
それと昔ながらの作品ですが
笑わせてくれるところもありますしね。
(按摩の所ね)
そして必見は神秘的なラスト。
意味はわかりづらいですが
お勧めの場面です。
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感想 :

あいかわらずキートンの如きデータベースをもつ、nya...
あいかわらずキートンの如きデータベースをもつ、nyancomaru さんあなたは何者?(笑)
単に鏡花好きなだけですヨ。しかしキートンとは、最高の褒め言葉ですね。。。
単に鏡花好きなだけですヨ。しかしキートンとは、最高の褒め言葉ですね。。。