春昼(しゅんちゅう);春昼後刻(しゅんちゅうごこく) (岩波文庫)

著者 : 泉鏡花
  • 岩波書店 (1987年4月16日発売)
3.98
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  • Amazon.co.jp ・本 (147ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003102756

作品紹介・あらすじ

夢の感応に結ばれた男と女の魂の行方は…。うららかな春の光のなかに夢と現実とが交錯しあう鏡花随一の傑作。

春昼(しゅんちゅう);春昼後刻(しゅんちゅうごこく) (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 題名だけで読み始めたら、春の霞の向こうにゆるゆる展開する怪談だった。この結ばれない恋の禍々しさ! 魔に魅入られて連れていかれてしまったようなものだ。

    背中に△□○を書くシーンがとても官能的でした。

  • 泉鏡花の力はひとえにその独特の文章にあると思う。言葉は交わさなくても、両者に何かしらの感応があってこういう筋立てになるところは、『外科室』にちょっと似てるかも。今まで読んだ鏡花作品の中でもかなり好きな方です。素晴らしい。

  • 鏡花再読キャンペーン中。この連作は鏡花作品の中でもちょっと特異なポジションな気がする。お馴染みの妖怪変化が出てくるわけではないのに幻想的。

    導入はいつもの鏡花。旅の散策士がふとたちよったお寺のお坊さんから、かつて人妻に焦がれて自殺した書生の話を聞く。思わせぶりにやたらと蛇の類は出てくるけれど、今回は直接関係なし。死の前日に青年が山中で見たという夢のような幻覚のような謎の芝居の幻想性が圧巻。狐狸に化かされたような印象は受けるけれど、焦がれた人妻の夢と感応している。

    後刻のほうでは、当の人妻がやっと登場。自殺した青年の片思いではなく、時間差の心中のような展開に。とりあえず当人はともかく巻き込まれた獅子舞の子供が可哀想・・・。

    解説は川村二郎。

  • 初読時には深い霧の中にいるかの如く全体像を把握し切れなかったが、何度か道を辿り直すことでその景色の美しさに触れることができた。読点を多用し、韻を踏むかの様に句点前の母音を畳み掛けて揃える文体と、聞き馴染みが無くも趣深く色彩鮮やかな語彙によって現実とは切り離された鏡花独自の世界が形成されていく。本書では「春昼」と「春昼後刻」、うららかな日差しの中で微睡みながら散歩を進めてゆく二作の作品が合わせ鏡となることで幻想の世界は乱反射し、彼岸の世界は現実を侵食し始める。日本語の美は彼岸の世界の入口であったのかと感嘆。

  • 金沢に行ったので、読んでみた。美しくも怪しい鏡花の世界。

  • 春も暖かくなってくると読み返したくなる。自分も菜の花、土の中にいるような、ほかほかして眠くなるような。
    そしていつか逗子~秋谷に行ってみたい、と毎回思いますが、あの辺り聖地すぎるので、軽々しくは行けないのです。いや、向かいなのですがね・・・。

  • 泉鏡花のなかで最も好きな作品。
    春の逗子を舞台に展開される時間差心中の物語。

    鏡花お得意の劇中劇のシーンあり。夢とも現ともつかないこの場面には、ドッペルゲンガーのモティーフが効果的に使われ幻想性をいやがおうにも高めます。

    鏡花の文章は初めて読む人には少々難しいかもしれません。主語と述語がきちんと対応しているわけでもなく、また唐突に場面が変わるので筋を追うのが苦痛に感じることもあるでしょう。しかしこれが物語のめくるめく感を高めるのに一役買っているのだと思います。あまり几帳面に文章を捉えようとせずに、臨機応変に読みすすめていくのをお勧めします。

  • 御堂で和歌を見つけるところから、機知にとんだ会話、女性が春の日中の物悲しさを語るシーンがとても心地良かった。夢での出会いとその結末がわかってもう一度最初から読み返してみたけど、これは理解しようとするより切ない邂逅を味わうのが適切なのかもしれない。

  •  恋い慕うものならば、馬士でも船頭でも、われら坊主でも、無下に振切って邪険にはしそうもない、仮令恋はかなえぬまでも、然るべき返歌はありそうな---

    美しいだけでない、どうにも男を惹きつけてしまう女の引力が、流麗な文体で表現されている。

    ただ、あまりにも流麗すぎて、内容は理解が難しいかった。

  • 山と海がダイナミックに迫る地形の村。
    規則正しい、でも時間が止まったようなおぼろげな情景。素晴らしいな。
    自分の胸の内に乱される御新姐のなまめかしいこと。と同時に幼子のようであることにシンパシーを感じる。

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