鏡花短篇集 (岩波文庫)

著者 :
制作 : 川村 二郎 
  • 岩波書店
3.81
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本棚登録 : 410
レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003102763

作品紹介・あらすじ

現実界を超え、非在と実在が交錯しあう幻視の空間を現出させる鏡花の文学。その文章にひそむ魔力は、短篇においてこそ、凝集したきらめきを放ってあざやかに顕現する。そうした作品群から、定評ある『竜潭譚』『国貞えがく』をはじめ、絶品というべき『二、三羽-十二、三羽』など9篇を選び収める。

感想・レビュー・書評

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  • 鏡花の文章の美しさの秘密を知りたいー
    そう思っているうちにもストーリーは煌めいて、
    気づけば終わっている。
    決して手の届かない宝石のようで、ため息が出るばかり。

    この遠さは近代化される以前の世界を結晶化しているためか、
    この近さは自分が同じ日本の風土に育ったからか。

    そんなことを思っても、やっぱり届かない。

  •  鏡花の本を読んでいると、この世とあの世の境目の「美しくも妖しい幻覚」のようなものを見ているような気がする。
     幻想的なだけではない。気を許すと異世界に引きずりこまれてしまうような、そういう空恐ろしいほどの美がある。
     
     この短編集の白眉は「雛語り」である。
    きらびやかで華やかな雛たちが、鏡花の魔法の掌から流れ出でる。鏡花は言葉の贅をつくし、読み手を幻惑させる。
     
     雛 夫婦雛は言うもさらなり。桜雛、柳雛、花菜の雛、桃の花雛、白と緋と、紫の色の菫雛・・・。

     鏡花の文章は、桜や紅葉を混ぜた美しい錦絵や繊細優美な螺鈿細工を思わせる。

     また、この短編の「貝の穴に河童のいる事」も面白い。
     なんともけったいな河童が主人公である。鏡花は妖怪というか「人にあらざる」異界の住人を好んで描く。時として、生身の人間より生き生きとして魅力的である。
     また、登場する姫神も物語全編を照らし尽くすかのように艶やかでコケティシュな魅力に富んでいる。
     (夜叉が池、天守物語、多神教などの作品を鑑みても、美の化身としての姫神たちの存在は突出している。)
     非現実という異界のベールを纏う時、登場人物たちは底知れぬ魔力を発揮する。その妖しい世界に翻弄されるのも心地の良いものである。
     
     

  • 時は明治。文明開化はしたものの欧化したのはまだ一部。自然は多く残り夜の闇は深い。現世と異界は黄昏時になると溶け合い混ざり合って此方の人間が彼方に引き込まれ、彼方のモノが此方に這い出てくる。句読点はあるのにつらつらと続いてるかのような文体は読んでるうちに自分まで彼方へと拐かされるかのよう。妖しくも美しい女性が出て来る「竜潭譚」「国貞えがく」が良かった。言葉自体も美しい。日本語の美しさを再発見した。

  • 文句のつけようのない短篇集。
    この作品は現在読んだって一切
    目劣りしないのです。
    神秘的さも長編と変わらず健在です。

    お勧めは雀のお話の
    「二、三羽…」や河童が出てくる「貝の穴に…」
    あたり。
    空想生物が出てきても違和感がないのは
    不思議なものです。

    長編よりも短い分
    まとまっていて面白かったです。

  • 「二、三羽──十二、三羽」がとてもすき

  • 泉鏡花の短編集。

    鏡花の小説は網膜に直接色を塗られるような、痛いくらいに、色しか見えないのが魅力。しかし本を閉じれば、「今まで夢をみていた」という感覚だけ残して何もかもさっぱり消えてしまう。それもまた魅力。

    それだけに、立て続けに読むとちょっと悪酔いっぽくなる。

  • 情の深さ強さを思う本。怪異、と、現在では一括りに呼ばれかねないものへの尊敬がよく表れている作品集。愛すべき一冊。

  • 泉鏡花の本はこれで3冊目。
    鏡花の書く物語は妖しい魅惑に満ちていると改めて感じました。
    文章そのものも美しく、うっかりしていると、その言葉の渦の中に吸い込まれてしまいそう・・・
    解説にも「鏡花の文章には魔力がひそんでいる」とありましたが、まさにその通りだなと。

    個人的には妖しいけれども優しくもある妖異が登場する『竜潭譚』と日常を書いたエッセイ風でありながら、意外な方向に展開していく『二、三羽ー十二、三羽』が好きかな♪

  • 2015/09

  • 小説だけでなく、エッセイのようなものも収められていた。ほとんどが古めかしい日本の怪異の話である。それら短編のなかで、自分はとりわけ薬草とりが好きだった。

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著者プロフィール

泉鏡花(いずみ きょうか)
1873年11月4日 - 1939年9月7日)
石川県金沢市生まれの小説家。本名は「泉鏡太郎」。明治後期から昭和初期にかけて活躍。尾崎紅葉『二人比丘尼 色懺悔』を読んで文学を志し、上京し本人に入門、尾崎家で書生生活を始める。師弟の絆は終生切れることがなかった。
1893年、京都日出新聞に真土事件を素材とした処女作「冠弥左衛門」を連載。以降、『夜行巡査』、『外科室』、『照葉狂言』、『高野聖』、『婦系図』、『歌行燈』などの作品を残す。1939年に癌性肺腫瘍のため逝去、雑司が谷霊園に眠る。その後1973年に「泉鏡花文学賞」が制定され、1999年金沢に「泉鏡花記念館」が開館。

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