日本橋 (岩波文庫)

著者 : 泉鏡花
  • 岩波書店 (1953年12月5日発売)
3.72
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  • レビュー :9
  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003102770

日本橋 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 凄まじく面白く、魅了された。
    あでやかさにうっとり、しかもハラハラドキドキさせられ目が離せない。

    扇が舞う場面はスローモーションのように頭の中に映し出され心奪われる。感動。
    縁日の夜の一石橋からの眺めなども見事だった。

    お孝と清葉のどちらの心根にも惹かれる。
    情や魂があって人は人なんだな。
    生々しく哀しくも清いものを感じた

  • 20年ぶりに鏡花マイブーム到来。おもしろかったです!興奮!あまりに典雅な文体ゆえ当初は5W1Hがわからずきょとんとしてしまいましたが、目が慣れてきて一気読み。清葉姐さんが好きですが、お孝さんも切ないです。途中、ツンデレ美女(お孝)が特に取り柄のないフツメン(葛木)に迫るというラノベのような展開になりマジか…と思いましたが後半の怒濤のような展開には息を飲みました。これは舞台映えしますね。しかしけっこうグロい描写も多く、この物語は鏡花以外の人が書いたらかなり通俗的になるなあと鏡花の紙一重の筆力に感服しました。

  • 再読。若い頃読んだときより面白いと感じた。

    ライバル同士の芸者・清葉とお孝さんはどちらも魅力的。大人しく正統派の清葉に比べて、ライバル心むき出しで気の強いお孝さんのほうが断然好きだけど。お孝さんに尽くす妹分のお千世ちゃんも健気で可愛い。

    しかし男どもがねえ、まあ鏡花だから女性がカッコよく、男性がだらしないのはいつものことだけれど、あんなシスコン男に惚れ込んで、お孝さんが勿体ない。さらに元彼というか元客がストーカー化してお孝さん発狂。

    冒頭ですでに発狂したお孝さんと、彼女のまわりをうろつく怪しい男どもが描写されてから回想に入るので、ちょっとしたミステリーっぽい印象もあり。そして最後はやっぱり血を見ずには終わらない。熊の毛皮を来たストーカー男に火事場で斬りつけられるとかもはやホラー。ある意味エンタメ大作といえるかも。

    解説は佐藤春夫

  • 泉鏡花が1914年に発表した戯曲。"婦系図"と並び新派古典劇の代表作の一つ。1956年に溝口健二監督、1956年に市川崑監督により実写映画化されています。鏡花の作品は文語体で書かれており、最初のとっかかりがつかみにくいです。また、本文庫は旧字体が使われており、余計に敷居が高くなってしまいます。しかし、その苦労の先にある物語の面白さは格別です。多少苦労しても読んでよかったと思えます。本作は、草迷宮などに代表される幻想文学ではなく、花柳界を舞台にした色恋沙汰の話です。登場人物の持つ迫力や妖艶さにしびれます。

  • 映画を見たら泉鏡花って面白いなあと思って読んでみた。餅は餅屋。職業は尊し。医者、警官、実業家、いろんな人が出てきて面白いのだが、勤労婦人としての芸者の心意気と友情も書いてある本だ。

  • 917夜

  • 行方知れずの姉を想い、形見の京人形を抱く医学士・葛木。その姉を想わせる、旦那のいる人気芸者・清葉。清葉にライバル心を燃やす奔放な芸者・お孝。
    誰かが誰かの身代わり――“人形”となって、その関係は歪みやがて悲劇を招く。姉の行方を問い僧形となった葛木が再び舞台・日本橋に訪れたその日、火の海が広がり、血の飛沫が飛ぼうとしていた……

    鏡花おとくいの花街小説で映画化もしましたね。私は映画は未見なのですが(確かDVDとかなかったような……去年シネモンドで三文豪映画の中で上映された気がするけど)これぜひカラー映画で見てみたいなあと思いました。
    というのも鏡花は水のイメージが強いという印象ですが、クライマックスは火事のシーンで、さらに五十嵐がお孝を、お孝が五十嵐を殺そうとするという愛執凄まじい展開もあるのですね。そこらへんの鬼気迫るお孝の描写と言ったら、見た目は地獄絵図なんだけどそこに血濡れた美しい女仙(女神というイメージよりもこっちかなー)……に見せかけた女の鬼が現れている、という感じで(あくまでイメージです)こういう気の狂った、情熱がほとばしり過ぎて血も出ちゃってる直情系の鏡花の人物は本当に生々しくて、もっとよく表現するなら生き生きとしてて(不謹慎なような)大好きなんですよ。葛木に寝る誘いをかける時にも、その情熱が溢れる台詞が書かれていて、いたく胸に響きました。引用させていただきました。

    予めストーリーを予習しておけば難解な文章でも比較的読みやすいかなあと思ってググったんですが、「これは「身代わり」の話である」という解釈がすごく腑に落ちてしまい、それに沿って読んでしまいました。でも、そう解釈せざるを得ないわホント。誰かが誰かの身代わりや、それに代わる存在になろうとしてる。あるいはなってる。
    姉の形見である京人形は姉にそっくり。姉とよく似た清葉に惹かれる葛木。清葉の代わりになろうとするお孝。清葉に代わる存在になろうとして、清葉にふられた男(つまりは五十嵐)をものにするお孝。気の狂った自分の代わりに清葉を愛してほしいというお孝。お孝の着物を着ていた為に危ない目に遭うお孝の妹分・お千世。とまあ挙げると結構キリがない感じ。源氏物語における桐壷→藤壺→紫の上/女三の宮→落ち葉の宮/大君・中君→浮舟の構造を見ているようでとにかく切なくやりきれなかったです。みんな誰かの「代わり」じゃなくて、私達自身を愛してほしいよね。そういう風に愛されたいよね。

    解説はまだ読んでいないのですが、ウオッ佐藤春夫だ。読まなきゃちゃんと。
    まあ全体的にいつもの花街小説・鏡花って感じでした。わたし、鏡花の花街小説ってすごく好きだなあ。大抵悲恋エンドだったり凄絶な終わりなんだけど、出てくる人達、特に女性がみんな必死で、恋にも生きることにでもなんでも全力、嘘がないように読めるんですよ。芸者っていう立場もあるからかもしれませんが。その姿がすっごく胸に響くの。すごく難しい文体でも。
    幻想小説の鏡花もいいけど、生々しい人間達が様々に描かれている花街小説の方ももっともっと注目されればなあと思います。

  • これで出来なきゃ、日本は暗夜だわ。

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