日本橋 (岩波文庫 緑 27-7)

著者 :
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003102770

感想・レビュー・書評

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  • 何も確認せずに買ったら、旧字旧仮名遣いで注釈なしだったよ。頑張って読んだよ。
    芯の強い女性たちのお話。解説をちらっと見たら「愛」について語られているらしい。なるほど。

  • 最初入るのが難しいと、三島由紀夫と澁澤龍彦対談で出ていたので、いつもの鏡花だなと思い読み進め、葛木との過去話あたりからは一気に面白くなる、いつもの鏡花でした。

    作中ライバル関係にある二人の芸者ーお孝と清葉は、二人とも味があってどちらも素敵。お孝はきっぷの良さが魅力で、「おなじく妻、とかいて頂戴。」や「ほんとうに貴下、そんなんじゃ情婦は出来ない。口説くのは下拙だし、お金子は無さそうだし、口説かれるのも下拙だし、気は利かないし、跋は合わず、機会は知らず、言う事は拙し、意気地は無し、から、だらしは無いけれど、ただ一つ感心なのは惚れる事。お前さん、惚れ方は巧いのね」が素敵すぎる。
    一方清葉も、義理を立て、ままならない自分の身の上を吐露するところが良かった....「色でも恋でもない人に、立てる操は操でないのよ。...一人に買われる玩弄品です」くーーーーーすごいなこの達観は...

    そして一方中心の葛木くん、最初は草食系でぽよぽよだったのにお孝さんに鍛えられて一丁前の男になってた時は笑った笑 
    姉の面影を追いかけ続け、「姉に、姉の袖で抱かれた気がした」と言った時には、ゾワとした....

    そして全体の世界観が素晴らしいのだよね。はあ〜って唸ったのはやはりここ「娘が夕化粧の結綿で駆出して、是非、と云って腰を掛さして、そこは商売物です。直ぐに足袋を穿替えさせるとなって、かねて大切なお山の若旦那だから、打たての水に褄を取ると、お極りの緋縮緬をちらりと挟んで、つくまって坊さんの汚れた足袋を脱がそうとすると、紐なんです。……結んだやつが濡れたと来て、急には解けなかった為に口を添えた、皓歯でその、足袋の紐に口紅の附いたのを見て、晩方の土の紺泥に、真紅の蓮花が咲いたように迷出して、大堕落をしたと言う、いずれ堕落して還俗だろうさ。」

  • 旧字体の漢字や文章、さらに舞台が日本橋の花街で独特の単語が入り交じり、正直読むのに難儀だったうえ、クライマックスが急すぎて少々鼻白む感が拭いきれなかった。
    しかし、登場する芸者の艶やかさが美しく、これは古い文体じゃないと伝わりにくいかもなぁ、と思いながら読んでいた。
    個人的にはわかりにくさと急すぎる終わり方が理解できないものの、作者の代表作として高い評価を受けている作品とのこと。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/701291

  • 課題図書だったので読んだが、旧字体のためちゃんと読めている人の3割くらいしかこの本の面白さを理解できなかったと思う。旧字体だからこそ美しいという人もいるが、そもそもそのレベルに自分がいないので現代語訳の方で再チャレンジしたい。

  • 初めて泉鏡花を読む。
    文体になれないので、読むのは大変だったが全体的に綺麗だと思いながら最後まで読めた。
    なかなか、こんな綺麗さは味わえないと思う本でした。

  • 凄まじく面白く、魅了された。
    あでやかさにうっとり、しかもハラハラドキドキさせられ目が離せない。

    扇が舞う場面はスローモーションのように頭の中に映し出され心奪われる。感動。
    縁日の夜の一石橋からの眺めなども見事だった。

    お孝と清葉のどちらの心根にも惹かれる。
    情や魂があって人は人なんだな。
    生々しく哀しくも清いものを感じた

  • 20年ぶりに鏡花マイブーム到来。おもしろかったです!興奮!あまりに典雅な文体ゆえ当初は5W1Hがわからずきょとんとしてしまいましたが、目が慣れてきて一気読み。清葉姐さんが好きですが、お孝さんも切ないです。途中、ツンデレ美女(お孝)が特に取り柄のないフツメン(葛木)に迫るというラノベのような展開になりマジか…と思いましたが後半の怒濤のような展開には息を飲みました。これは舞台映えしますね。しかしけっこうグロい描写も多く、この物語は鏡花以外の人が書いたらかなり通俗的になるなあと鏡花の紙一重の筆力に感服しました。

  • 再読。若い頃読んだときより面白いと感じた。

    ライバル同士の芸者・清葉とお孝さんはどちらも魅力的。大人しく正統派の清葉に比べて、ライバル心むき出しで気の強いお孝さんのほうが断然好きだけど。お孝さんに尽くす妹分のお千世ちゃんも健気で可愛い。

    しかし男どもがねえ、まあ鏡花だから女性がカッコよく、男性がだらしないのはいつものことだけれど、あんなシスコン男に惚れ込んで、お孝さんが勿体ない。さらに元彼というか元客がストーカー化してお孝さん発狂。

    冒頭ですでに発狂したお孝さんと、彼女のまわりをうろつく怪しい男どもが描写されてから回想に入るので、ちょっとしたミステリーっぽい印象もあり。そして最後はやっぱり血を見ずには終わらない。熊の毛皮を来たストーカー男に火事場で斬りつけられるとかもはやホラー。ある意味エンタメ大作といえるかも。

    解説は佐藤春夫

  • 泉鏡花が1914年に発表した戯曲。"婦系図"と並び新派古典劇の代表作の一つ。1956年に溝口健二監督、1956年に市川崑監督により実写映画化されています。鏡花の作品は文語体で書かれており、最初のとっかかりがつかみにくいです。また、本文庫は旧字体が使われており、余計に敷居が高くなってしまいます。しかし、その苦労の先にある物語の面白さは格別です。多少苦労しても読んでよかったと思えます。本作は、草迷宮などに代表される幻想文学ではなく、花柳界を舞台にした色恋沙汰の話です。登場人物の持つ迫力や妖艶さにしびれます。

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著者プロフィール

1873(明治6)年〜1939(昭和14)年)、小説家。石川県金沢市下新町出身。
15歳のとき、尾崎紅葉『二人比丘尼色懺悔』に衝撃を受け、17歳で師事。
1893年、京都日出新聞にてデビュー作『冠弥左衛門』を連載。
1894年、父が逝去したことで経済的援助がなくなり、文筆一本で生計を立てる決意をし、『予備兵』『義血侠血』などを執筆。1895年に『夜行巡査』と『外科室』を発表。
脚気を患いながらも精力的に執筆を続け、小説『高野聖』(1900年)、『草迷宮』(1908年)、『由縁の女』(1919年)や戯曲『夜叉ヶ池』(1913年)、『天守物語』(1917年)など、数々の名作を残す。1939年9月、癌性肺腫瘍のため逝去。

「2023年 『処方秘箋  泉 鏡花 幻妖美譚傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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