一房の葡萄 他四篇 (岩波文庫)

著者 : 有島武郎
  • 岩波書店 (1988年12月16日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (114ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003103678

作品紹介

有島武郎が生前に残した創作集は『一房の葡萄』ただ一冊である。挿絵と装丁を自ら手がけ、早く母を失った3人の愛児への献辞とともに表題作ほか3篇の童話が収めてある。童話とはいうものの、人生の真実が明暗ともに容赦なく書きこまれており、有島ならではの作となっている。ほかに「火事とポチ」を加えた。

一房の葡萄 他四篇 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 今ではいつの頃だったか覚えていませんが、秋だったのでしょう。葡萄の実が熟していたのですから。
    「一房の葡萄」より

    他人のものを盗んだこと、妹を見捨てたこと、大事な友達の存在を忘れ去ってしまったこと…かつて子どもだった大人たちの心に今も傷を残す思い出。傷つきながらも幸運や誰かの優しさに助けられ、救われたあのとき。

    童話と言いながら、書きぶりは回想風のものが多く、おっとりしていて読みやすい。人生のどこかでぶつかるかもしれない極限状態を描いているが、最後に必ず救いがあるので、安心して読めた。
    ハッピーエンドに嫌味なところがなく、素直に子どもの気持ちになれた気がする。
    主人公は下の兄弟のいる長男が多く、また、そのひとりは「竹男」という名前であり、有島自身の投影を感じた。

  • ???

  • 童話というよりは子供向け作品集。有名な表題作は手癖の悪い子供の話で、何故絵の具を借りようとしないでいきなり盗んだのか疑問が残る。シンプルな話だが一番感動的なのが愛犬の話「火事とポチ」で、「葡萄」よりもこの話を子供の頃に読みたかった。

  • 「僕」がジムの絵の具箱から盗んだ、藍色と洋紅色。二つの色が混ざり合うと、紫色になるのは偶然だろうか。先生がくれた一房の葡萄はほろ苦く、そしてやさしい。

    「僕」の罪を包容した先生は、ジムに他者の過ちを許す大切さを説いたはず。書かれなかったその場面を想像した時、心の中にもう一つの残響が広がった。

    「僕」がこの思い出をずっと忘れないでいるように、私も少年の瑞々しい感受性と、鮮やかな色彩を胸に刻もうと思った。

  • 小学校高学年か中学校の時だったと思うのですが、読書感想文での課題図書の1つでした。31才となった今(読了時点)、改めて読み直したのですが、、、当時の自分には感想文を書くには早すぎたというか、違う面持ちで読みました(童話を子供の立場から大人の立場で読み直したのですから、当たり前といえば当たり前なのですが、それ以上のものがこの作品にはあると感じてます)。

    それにしても、『或る女』でもそうですが、有島武郎の主人公の心理描写の表現能力(「筆力」というべきでしょうか)には感心せざるをえません。『惜しみなく愛は奪う』でも示される思考力・表現能力をみれば、それも納得です。

    なお、個人的には、本書の解説も分かりやすくて納得感もあり、よく出来ているように感じてます。

  • 『小僧の神様』のあとに収録されていたので、気になって読んだ。私はこちらの話のほうがよかった。

    少年は二色の絵の具がどうしてもほしい。友達のを盗み、友達にばれて、先生にもばれる。少年は女性の先生に、嫌われたくない。
    少年の気持ちがよく伝わってくる。
    そして、窓の外になっている葡萄を先生が取るシーン。
    情緒的にすごくよかった。

  • いい先生がいてよかったなぁ…。必ず救いがあるのだけど、切ない気分になる短編集。

  • 「-」

    久しぶりに児童文学を読みました。
    『溺れかけた兄弟』で兄が妹を見捨てるような、児童が読むには強い印象を与える場面もあるとおもいましたが、それこそ現実であるという作者の思いが伝わってきました。『一房の葡萄』では、反省している人に対しては、他罰する必要がない、ということが伝わってきました。これは子どもだけではなく、すべての人が普遍的に心得ることだと思います。

    『火事とポチ』も面白く、想像上では犬をいつくしむ気持ちと、しかし、実際に汚れた愛犬を見ると気味悪く思う気持ちとの対比が、まさに子ども心を表していると感じました。

  • 小学校の、暑くて、風がときおり入ってくる教室にいるような気分になります。有島武郎らしい、あたたかい作品です。

  • たしか「一房の葡萄」は道徳の教科書かなにかで読んだ記憶が。
    もう少し前にこの本に出会っていたら良かったのに。

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