一房の葡萄 他四篇 (岩波文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 272
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (114ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003103678

作品紹介・あらすじ

有島武郎が生前に残した創作集は『一房の葡萄』ただ一冊である。挿絵と装丁を自ら手がけ、早く母を失った3人の愛児への献辞とともに表題作ほか3篇の童話が収めてある。童話とはいうものの、人生の真実が明暗ともに容赦なく書きこまれており、有島ならではの作となっている。ほかに「火事とポチ」を加えた。

感想・レビュー・書評

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  • 苦しい、心がぎゅーっと辛くなる。
    道徳の教科書を読んだ後のような感じ。
    それ故に、もう疑似体験したくなくて、学生の頃に一度きりしか読まなかった作品。

    子供のいる今、改めて読んでみたら、また別の視点からの切なさでいっぱになった。

    読後感は良くない、好きじゃない、辛いから。
    でも、淡々と書かれているのに、深く深く入ってくる文章。
    活字だけで、こんなに複雑な感情にさせる、
    素晴らしい作品。

  • みずみずしい青春の記憶が描かれた作品。少し古風な話し言葉もリズム感が心地よく、読み終わったあとの清涼感がある。わかりやすい文体で、学生にも読みやすい。二、三十分で読み終わるのでちょっと時間がある時に良い。

  • 少年が同級生の絵の具に憧れて、それを盗むんでしまった話。友達のものを盗むという、子どもらしい行動が想像できる小説でした。しかし、私はそれに対して先生が行ったことが素晴らしいと思いました。闇雲に叱責したりせずに、無理に教室に帰らせずに主人公に一房の葡萄をあげるなど温かく包容力のある指導しています。主人公はこの先生が居なければ翌日学校に来なかったかもしれません。こんな先生が1人でも各学校にいれば不登校になる生徒も減るかもしれない。そんなことを思いました。

  • 5編の短編集。子供向けの童集だが楽しめる。

  • 少年の心の機微を丁寧に書いていて、気持ちが”私”とシンクロする。人は誰しも誘惑に負けてしまう。その後悔のさまや、それでも食欲などの欲求は自然とあり、最後の先生の白い手が印象に残る。

  • 今ではいつの頃だったか覚えていませんが、秋だったのでしょう。葡萄の実が熟していたのですから。
    「一房の葡萄」より

    他人のものを盗んだこと、妹を見捨てたこと、大事な友達の存在を忘れ去ってしまったこと…かつて子どもだった大人たちの心に今も傷を残す思い出。傷つきながらも幸運や誰かの優しさに助けられ、救われたあのとき。

    童話と言いながら、書きぶりは回想風のものが多く、おっとりしていて読みやすい。人生のどこかでぶつかるかもしれない極限状態を描いているが、最後に必ず救いがあるので、安心して読めた。
    ハッピーエンドに嫌味なところがなく、素直に子どもの気持ちになれた気がする。
    主人公は下の兄弟のいる長男が多く、また、そのひとりは「竹男」という名前であり、有島自身の投影を感じた。

  • ???

  • 童話というよりは子供向け作品集。有名な表題作は手癖の悪い子供の話で、何故絵の具を借りようとしないでいきなり盗んだのか疑問が残る。シンプルな話だが一番感動的なのが愛犬の話「火事とポチ」で、「葡萄」よりもこの話を子供の頃に読みたかった。

  • 「僕」がジムの絵の具箱から盗んだ、藍色と洋紅色。二つの色が混ざり合うと、紫色になるのは偶然だろうか。先生がくれた一房の葡萄はほろ苦く、そしてやさしい。

    「僕」の罪を包容した先生は、ジムに他者の過ちを許す大切さを説いたはず。書かれなかったその場面を想像した時、心の中にもう一つの残響が広がった。

    「僕」がこの思い出をずっと忘れないでいるように、私も少年の瑞々しい感受性と、鮮やかな色彩を胸に刻もうと思った。

  • 小学校高学年か中学校の時だったと思うのですが、読書感想文での課題図書の1つでした。31才となった今(読了時点)、改めて読み直したのですが、、、当時の自分には感想文を書くには早すぎたというか、違う面持ちで読みました(童話を子供の立場から大人の立場で読み直したのですから、当たり前といえば当たり前なのですが、それ以上のものがこの作品にはあると感じてます)。

    それにしても、『或る女』でもそうですが、有島武郎の主人公の心理描写の表現能力(「筆力」というべきでしょうか)には感心せざるをえません。『惜しみなく愛は奪う』でも示される思考力・表現能力をみれば、それも納得です。

    なお、個人的には、本書の解説も分かりやすくて納得感もあり、よく出来ているように感じてます。

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