あめりか物語 (岩波文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 223
感想 : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003104262

作品紹介・あらすじ

明治四一年、自然主義の文壇を一撃、魅了した短篇集。シアトル着からNY出帆まで、文明の落差を突く洋行者の眼光と邦人の運命が点滅する「酔美人」「夜半の酒場」「支那街の記」-近代人の感性に胚胎した都市の散文が花開く。『ふらんす物語』姉妹篇。

感想・レビュー・書評

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  • ★4.0 「夏の海」
    ★3.5 「船室夜話」「酔美人」
    明治時代に荷風が見たあめりかと現代のアメリカは根本的にはあまり変わっていないと思うのだけれど。荷風がもしあの時代に南部を訪れていたら、何をどう語ったのだろうか。

  • 荷風がアメリカ・フランス滞在を経て世に問うた外国見聞録といったところでしょうか。明治の終盤の日本人は、そのわずか50年前頃の江戸時代末期における日本人とどう違っていたのでしょうか。
    非常に興味深く読めましたが、どこか、荷風の視線に違和感を禁じられませんでした。

  • あめりか物語というタイトルから、アメリカの文化などを日本人から論ずる話なのかと思ったけど、
    俗っぽい話がメインで想像してたのと違って残念。
    時代だから仕方ないけど、男尊女卑的考え方も目立って途中で読むのが嫌になった。

  • 荷風も文豪のひとりとして、文学史上では欠かせない作家であるから遅まきながら読むのは興あること。でも、これは明治の時代小説だ。

     昭和の時代が懐かしい時代として現代の若い人に郷愁をよんでいるが、昭和に生きたわたしが明治、大正を郷愁として受け止めても不思議はないかもしれない。

     明治時代の末つまり1900年の初めに外国に行くということは大変なことで、特別な、お金持ちの人しか出来なかった、ことの珍しさが加わった文芸的外国旅行記のアメリカ版である。

     しかし、お金持ちばかりが外国行きの特権ではなく、その頃も出稼ぎとして船底に詰められて行く人たちも居たとは、このものがたりにもある。その悲惨さ、悲哀はいつの時代、どこの国の人も同じだ。(「牧場の道」「夜の霧」)

     耽美派の作家として叙情たっぷり短編形式でつづられるあめりか旅行記のあいまに、時には批判精神発揮をして、もう「新世界」の高揚が過ぎたアメリカ、現代に通じるアメリカの病、すなわち貧困格差人種差別など見つめているのはさすが。

     読んでしまえばもうわかっているような…、しかしこんな流麗な文章は明治時代ならばこそだ。
              
     わたしは講談社文芸文庫のを買ってしまったが、岩波文庫改版のほうが半値でお得のような…(笑)

  • 時代で仕方がないのだろうけど、女性蔑視がひどくて耐えられない

  • 若き日の荷風が米国への航路、そして米国で過ごした4年間。日露戦争前後の米国大陸の雰囲気を感じ取れる。出会った多くの日本人たちとの交流の中で語られる彼らの人生は、西洋文化の中に生きる日本人たちの姿が若々しく、甘酸っぱく、清々しい。荷風の40年後東京の下町で放蕩生活を繰り返した「墨東奇譚」のイメージが強いが。女性に関する記載が多く、それは萌芽が見えるということだろうか。荷風がNYでの生活を楽しみ、将来美しい女性と結婚して近郊に住むことを夢見る一文も。(P216)「自分の一生涯、この時ほど幸福な事はなかった」と書いていることが、20歳代であると考えると、面白い!

  • 過度な人物描写が目立つ。今まで読んだ物は、日本舞台だったから面白かったのかもしれない。変な文化の違いが分かりにくい。

  • いくつか気に入った話もあったけど、堕落していく留学生や娼婦の話などは苦手やね。私はふらんす物語のほうが好きや。

  • <荷風の暁>


     明治時代に、20代でアメリカ暮らしを経験した永井荷風。出稼ぎ、留学などで今よりずっと遠い異国に渡った日本人たちの暮らしぶりを、時代の薫る洋風和文で綴っています☆

     率直に言えば、好印象とは言えない。どんな理由でも、女遊びをする男性の話って、あんまり……楽しめないな★ 有名な本でも自分が面白くないと思ったなら、無理して完読しなくてもいいな~と、前半で投げ出す準備に入ったんですが、そこで『暁』が始まってしまいました。

     みなが夜の街にくり出す中で、居残った日本人労働者に話しかけてきた一人の男。彼もまた、刹那的な快楽に自分を預けるようになった一員でした。先行きの不安を忘れるために一層遊ぶのさ、だなんて屁理屈付きで、身の上話を披露します。
     そこで終わっていたら、前までの収録作品とさして変わりないところだけど、ここに来て変化が☆
     主役は、ただ黙って聞き役に回るのです。刹那的な生き方に反対を唱えるでもなく、自らの境遇を悲観するでもなく、苦労を忘れるために自分も遊びに興じたらいいだろうかと考えるでもなく。やってきた暁の空を、ただ見上げる……。
     ほかの作品で小賢しく感じられた心理描写が影をひそめ、夜明けの色や遣る瀬無い空気感が描きだされたラスト。それが、荷風の暁を告げる情景でした。

    『暁』以降は、広い公園で自然を満喫したり、友と別れて街へ出たり外食したりといった、日々のレポートみたいな作品が続きます。外国暮らしだろうと日常は日常なのに、何につけても感じやすい著者。読んでいるほうが恥ずかしくなるほど大仰な表現が満載です★
     でも、『暁』より前の「読むのやめようかな」という気持ちは、不思議に薄れていました。書きながら磨かれていく何か。それが何なのかまだ分からない。荷風を楽しめるかも、依然として分からない。でも、まだ投げ出さずにいたくなりました。
     荷風を、もうちょっと追ってみる。

    http://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/4106021420

  • 明治時代の若き青年作家がアメリカに渡り、現地での体験、交流を記した手記形式の小説。(自らの渡航経験を基にしている)
    明治も後期になると政府高官のみならず、一般庶民でも成功を夢見て海を渡るものが多かったようだ。しかし、成功するのはごく一部で、多くその日暮らしで生き抜いてゆく。そのような日本人労働者、学生の姿を描きつつ、大国アメリカへの憧れを隠さない。アメリカの自由な空気に触れ、白人女性と恋をし、ヨーロッパ文学さながらの世界に彼は溺れているようだ。彼はアメリカの貧民街や黒人差別など、アメリカの負の部分についても鋭く観察している。それでもやはり、アメリカというのは明治青年にとって、心の底から沸きあがる好奇心を満たす未知の世界だったように思える。

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著者プロフィール

永井荷風

一八七九(明治一二)年東京生まれ。一九〇三年より〇八年まで外遊。帰国後『あめりか物語』『ふらんす物語』(発禁)を発表。五九(昭和三四)年没。主な作品に『ぼく東綺譚』『断腸亭日乗』がある。

「2020年 『吉原の面影』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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