あめりか物語 (岩波文庫)

著者 :
  • 岩波書店
3.45
  • (11)
  • (10)
  • (24)
  • (3)
  • (3)
本棚登録 : 191
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003104262

作品紹介・あらすじ

明治四一年、自然主義の文壇を一撃、魅了した短篇集。シアトル着からNY出帆まで、文明の落差を突く洋行者の眼光と邦人の運命が点滅する「酔美人」「夜半の酒場」「支那街の記」-近代人の感性に胚胎した都市の散文が花開く。『ふらんす物語』姉妹篇。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 荷風がアメリカ・フランス滞在を経て世に問うた外国見聞録といったところでしょうか。明治の終盤の日本人は、そのわずか50年前頃の江戸時代末期における日本人とどう違っていたのでしょうか。
    非常に興味深く読めましたが、どこか、荷風の視線に違和感を禁じられませんでした。

  • あめりか物語というタイトルから、アメリカの文化などを日本人から論ずる話なのかと思ったけど、
    俗っぽい話がメインで想像してたのと違って残念。
    時代だから仕方ないけど、男尊女卑的考え方も目立って途中で読むのが嫌になった。

  • 永井荷風のあめりか遊学随筆。
    日本での放蕩の末でのアメリカへの遊学。
    この人の持つ本来の趣味嗜好からこういった方面に目が行くのだろう。
    アメリカでも日本でも遣ることは同じこと。
    前半は日本人のアメリカでの噂話。放蕩話。
    後半は日本人及び日本の歴史、文化の否定。
    アメリカ文化への妄信。
    内容的に左程面白みが有るとは思えない。

    「暁」以降が文学らしくなってくる。

  • 若き日の荷風が米国への航路、そして米国で過ごした4年間。日露戦争前後の米国大陸の雰囲気を感じ取れる。出会った多くの日本人たちとの交流の中で語られる彼らの人生は、西洋文化の中に生きる日本人たちの姿が若々しく、甘酸っぱく、清々しい。荷風の40年後東京の下町で放蕩生活を繰り返した「墨東奇譚」のイメージが強いが。女性に関する記載が多く、それは萌芽が見えるということだろうか。荷風がNYでの生活を楽しみ、将来美しい女性と結婚して近郊に住むことを夢見る一文も。(P216)「自分の一生涯、この時ほど幸福な事はなかった」と書いていることが、20歳代であると考えると、面白い!

  • 展示中 2014.9~

  • 過度な人物描写が目立つ。今まで読んだ物は、日本舞台だったから面白かったのかもしれない。変な文化の違いが分かりにくい。

  • いくつか気に入った話もあったけど、堕落していく留学生や娼婦の話などは苦手やね。私はふらんす物語のほうが好きや。

  • <荷風の暁>


     明治時代に、20代でアメリカ暮らしを経験した永井荷風。出稼ぎ、留学などで今よりずっと遠い異国に渡った日本人たちの暮らしぶりを、時代の薫る洋風和文で綴っています☆

     率直に言えば、好印象とは言えない。どんな理由でも、女遊びをする男性の話って、あんまり……楽しめないな★ 有名な本でも自分が面白くないと思ったなら、無理して完読しなくてもいいな~と、前半で投げ出す準備に入ったんですが、そこで『暁』が始まってしまいました。

     みなが夜の街にくり出す中で、居残った日本人労働者に話しかけてきた一人の男。彼もまた、刹那的な快楽に自分を預けるようになった一員でした。先行きの不安を忘れるために一層遊ぶのさ、だなんて屁理屈付きで、身の上話を披露します。
     そこで終わっていたら、前までの収録作品とさして変わりないところだけど、ここに来て変化が☆
     主役は、ただ黙って聞き役に回るのです。刹那的な生き方に反対を唱えるでもなく、自らの境遇を悲観するでもなく、苦労を忘れるために自分も遊びに興じたらいいだろうかと考えるでもなく。やってきた暁の空を、ただ見上げる……。
     ほかの作品で小賢しく感じられた心理描写が影をひそめ、夜明けの色や遣る瀬無い空気感が描きだされたラスト。それが、荷風の暁を告げる情景でした。

    『暁』以降は、広い公園で自然を満喫したり、友と別れて街へ出たり外食したりといった、日々のレポートみたいな作品が続きます。外国暮らしだろうと日常は日常なのに、何につけても感じやすい著者。読んでいるほうが恥ずかしくなるほど大仰な表現が満載です★
     でも、『暁』より前の「読むのやめようかな」という気持ちは、不思議に薄れていました。書きながら磨かれていく何か。それが何なのかまだ分からない。荷風を楽しめるかも、依然として分からない。でも、まだ投げ出さずにいたくなりました。
     荷風を、もうちょっと追ってみる。

    http://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/4106021420

  • 明治時代の若き青年作家がアメリカに渡り、現地での体験、交流を記した手記形式の小説。(自らの渡航経験を基にしている)
    明治も後期になると政府高官のみならず、一般庶民でも成功を夢見て海を渡るものが多かったようだ。しかし、成功するのはごく一部で、多くその日暮らしで生き抜いてゆく。そのような日本人労働者、学生の姿を描きつつ、大国アメリカへの憧れを隠さない。アメリカの自由な空気に触れ、白人女性と恋をし、ヨーロッパ文学さながらの世界に彼は溺れているようだ。彼はアメリカの貧民街や黒人差別など、アメリカの負の部分についても鋭く観察している。それでもやはり、アメリカというのは明治青年にとって、心の底から沸きあがる好奇心を満たす未知の世界だったように思える。

  • 前半は全くおもしろくなかった。はっきり言って、ど素人が書いたクズのようなものであり、何の価値もない。大きく失望し、読み続けるのが苦痛になってしまった。
    せっかくアメリカに渡ったのに、日本人同士ばかりが寄り集まり交流している。日本人ってやっぱりそうなのか?という感じで。
    国際的なテーマも何もなく、単に日本人の、さして面白くもない身の上話を並べていくようで本当に退屈だ。「これが『あめりか物語』である必然性はあるのか?」といったエピソードも少なくない。
    なまじフィクションをつらねているだけに、「明治後期の渡米した日本人の体験談」という史料的価値もまるでない。

    が、最後の方で急に「文学」らしくなる。
    無価値など素人が、いきなり「文学者」に変身するのだ。
    どうやら荷風はモーパッサン、ボードレールにはまり、その影響圏から急激に自分の文学スタイルを発見したらしい。

    というわけで、この本の前半は、つまらないと感じたら飛ばしちゃって、終わり近くの数編を読んだほうがいいかもしれない。
    「ふらんす物語」の方はもっと文学的に有意義であるようだ。

全20件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

永井荷風

一八七九(明治一二)年東京生まれ。一九〇三年より〇八年まで外遊。帰国後『あめりか物語』『ふらんす物語』(発禁)を発表。五九(昭和三四)年没。主な作品に『ぼく東綺譚』『断腸亭日乗』がある。

「2020年 『吉原の面影』 で使われていた紹介文から引用しています。」

永井荷風の作品

あめりか物語 (岩波文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×