ふらんす物語 (岩波文庫 緑42-9)

  • 岩波書店 (2002年11月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (380ページ) / ISBN・EAN: 9784003104293

みんなの感想まとめ

テーマは、フランスへの深い憧れと、荷風自身の内面的な葛藤に根ざした文学的な旅です。作品は、耽美的な文体で描かれたロマンティックな恋愛や夢の中での自己陶酔を通じて、当時の日本社会に対する鋭い文明批判をも...

感想・レビュー・書評

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  • 実は一度読んで挫折してしまったこの本。2度目の今回は作者荷風のことも、少し勉強してから読みました。

    熱烈なフランスへの憧れは、まるでふらんすそのものに恋しているよう。前回途中で投げ出してしまったことを後悔しました。耽美的な文章で、帰朝後有名な人気作家になっていく荷風の文学的な成功の萌芽は既にあったのですね。なんともロマンティックで端正な文章の中に鋭い文明批判が仄見えます。

    実業や権力だけが宝ではない。芸術にも同様の価値があるのに、日本人は生活の中の詩情に、まだ価値を見出していない―。富国強兵策に沸き返る日本を省みて、荷風の胸にはどんな感情が生まれたのでしょう。

    かりそめのうたかたのような恋の中に自分で演じて自分で酔いしれたロマンス。どんなに溺れていても、夢だからこそ酔えただけ。心の隅にはいつも、冷静に祖国や自分を批判する怜悧な荷風がいたのだとしたら。その内心は、なんて悲しく、孤独なものだったでしょう。美しい夢と過去。優しい女の心遣り―。優美な夢を見て、現実生活では孤独を生きることに生涯を賭ける。

    若い時期の渡仏で、その人生の姿勢は固まったのでしょうか。日本にこんな美しい文学があること
    私たちはもっと味わって良いと思います。

  • 「あめりか物語」より断然いい。ちゃんと「文学」になっているし、ひとつの青春文学としても、当時のフランス文化を伝えるレポートとしても、興味深かった。
    荷風がど素人からいきなり「文学者」になったのは、やはりボードレールの薫陶によるものだろうか。「あめりか物語」と「ふらんす物語」のあいだには歴然とした格差があり、この断絶を決定づけている要素、つまり、「文学」を成立させているものとはなんだろうか。
    ポエジー? 文体? 構成?
    ブンガクを勉強したい人は、この2冊を比較検討してみるといいかもしれない。
    巻末の「付録」として音楽評論が載っているが、当時(R.シュトラウスもドビュッシーも、壮年のバリバリ現役だったころらしい)のヨーロッパの音楽状況を伝えてくれておもしろい。音楽の素人にしては、かなり的確な評論になっている。好きだったんだなあ。

  • 作者永井荷風が、5年間にわたるアメリカ・フランス滞在ののちに書いたと短編小説。

    最新の所在はOPACを確認してください。
    TEA-OPACはこちら→
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00186607

  • 『あめりか物語』の一応続編。むしろ日本への帰途での不平・愚痴が面白かった。

  • .

  • 一時発禁本だったというので、逆に興味を持って読んだが、今のおじさん世代ではイマイチその理由がわからない。。。。もちろんここら辺だろうな〜と想像は付くが、驚くような表現ではない。

    今の海外旅行・出張とは大違いで、お金たくさん使ってます!って感じだったんですね。。。。それにしても米国が嫌でしょうがなくて、フランスは手放しでの礼賛とはどういう理由だったんでしょうか?それを理解するためには「あめりか物語」を読まないといけないのでしょうか?優れたマーケティング力ですね永井さん!

    CDなどない中で、どれだけ沢山のコンサートに通ったのだろうか?それとも楽譜が読めたのだろうか?特にオペラなどは時間も長いので、そう簡単に聴き覚えられるものではないのだけれど。。。。。確かに音楽能力の高い人は語学力も優れているのだけれども、それにしてもあの時代において今でも通ずる音楽批評。

    面白いのが、サンサーンスやドビュッシーが同時代とされている事。当時の現代音楽作曲家という位置付けですね。。。。。不思議な感じです。

  • Amazon、¥480.

  • これも図書館本。
    このくらいふらんすにのめりこむのはかえって痛快!

  • あめりか物語の続編。荷風が恋焦がれたフランスでの生活が描かれています。
    当時の風俗やフランスでの日本人の生活が垣間見れます。
    吾は吾の影を愛す!砂漠の影を思い浮かべると頭がぼーっとします。

  • 著者のフランスへの強い思いがさまざまに表現されている。おそらく、荷風だけでなく当時の日本の芸術家にとってもフランスという国は格別な存在だったのだと思う。今の日本人の多くにとってもそうなのだから。また、巻末のオペラ評論は意外に非常に有為である。

  • 2009.6.23
    永井 荷風の小説は、はじめて読んだが、何かに似ている。

  • 既読だが持っていたい

  • 読書中

  • 面白くなくて途中放棄。

  • 永井荷風は大好き。妾にしてください。

  • 当時の人も、今の人も外国に対する考え方が共通なのにびっくり。文章表現もきれいです。

  • 荷風の如き耄碌の振舞いに入っていきたい。

  • そう、ふらんす物語なのである。情景描写が素晴らしい!えらいハイテンションな荷風さんであるが、感受性が高いことはいいことだ。ここまで楽しめたら立派です。

  • レポート提出のために無理矢理読まされた本。
    だからなのか、記憶にないし面白いと思ったこともない(笑)

  • 明治41年に出版された「あめりか物語」に續き、翌明治42年に出版される筈だつた「ふらんす物語」。<BR>
    發禁處分を受けてしまひ、初版テクストと同じ形で讀めるやうになつたのは、なんと60年後の昭和43年ださうである。<BR>
    卷末の解説によれば、永井荷風自身は「放蕩」と「脚本 異郷の戀」が發禁處分の原因だらうと推測してゐたらしい。<BR>
    <BR>
    私が面白く讀んだのは、この「放蕩」と「再會」そして「羅典街の一夜」。<BR>
    「放蕩」は戰後の無頼派の作品だと云つても通じるやうなデカダンな雰圍氣がある。<BR>
    「再會」は少々觀念的だが、憧れと云ふものの本質を突いてゐるやうに思はれた。<BR>
    「羅典街の一夜」は時の流れにとどまる、娼婦の永遠を感じさせる。<BR>
    <BR>
    附録として掲載されてゐる、當時のクラシック音樂についてのエッセイも興味深く讀む事ができた。<BR>
    <BR>
    2003年10月16日讀了

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著者プロフィール

(ながい・かふう)1879-1959
東京市の現・文京区小石川生まれ。官僚のち実業家の父・久一郎の長男で、早くから江戸・東京の落語、歌舞伎、戯作などに親しむ。文学を志し、広津柳浪に師事して作家活動を始めるが、父の意向で実業を学ぶため1903年からアメリカ、フランスに渡る。帰国後その体験をもとに『あめりか物語』『ふらんす物語』を上梓、注目を集める。実業家となることなく、1910年慶應義塾大学の教授に就任、「三田文学」を創刊。1916年に大学を辞してからは、『濹東綺譚』をはじめとする作品のみならず、実生活も江戸戯作者のごときであった。そのさまは1917年以降の日記『断腸亭日乗』に詳しい。

「2024年 『小説集 蔦屋重三郎の時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

永井荷風の作品

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