- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003104620
感想・レビュー・書評
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2016年6月7日、読了。
志賀直哉の綴るものには無駄がない。これでもかというほどに、筋も、言葉も、語るべき事にたいして過不足がない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文章が簡潔で名文。城の崎にては染み入るような話。赤西蠣太が一番気に入った。
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そこはかとない上から目線がどうしても気になる志賀せんせいだが、最短距離で情景を伝える力と清澄な文体にはやはり唸らざるを得ない。
「赤西蠣太」の小江の手紙がすてき。 -
教科書で「城の崎にて」を読んだ当時は、なんて退屈な作品なんだと思った。
「清兵衛と瓢箪」 もしこの作品から出会っていたら志賀直哉に対するイメージはガラリと変わっていたはずだ。
まあ何事も第一印象は大事。
この文庫は本棚にずっとしまっておきたい。 -
あまり日本の古典文学を読んだことがないことに気づき、ちゃんと読もうと思ってまずは短編から…と手に取った。
清兵衛と瓢箪はおそらく中学生の時に予備校のテキストで読まされた本、なんとも懐かしく、また当時は気づけなかった大人の思い込みが起こす悲劇を目の当たりにした。
他の短編も人の本質を見ているというか、こういうところは自分にもあって良くない…と思ってしまうところが多く、なるほど小説を読むことで人は成長するというのを一冊で納得させれた
何よりも細かな描写が素晴らしい一冊 -
素朴ながら心地よく、簡潔ながら余韻の残る文章。いくつか学生時代に国語の科目で読んで、問われれば問われるほど、深みにはまっていくような気がしたことを、いまだ覚えている。
小僧の神様、小僧さんが出鱈目の住所を訪ねていったのをあえて書かないと決めた、とあえて語り手の視点を入れる物語構成、新しい母の子供の数を淡々と数え上げた後の最後のたった一文で流れた歳月を示してしまう効果、城崎にての死を書くことにより浮かび上がる生(書かないもの)の生々しさ。
ほんとうに偉大な作家だと思う。いつまでも読み継がれていってほしい。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/686831 -
小説の神様と言われた志賀直哉の短編集。読みやすいし、堪能しやすい。一行目から話に没頭できるし、くどくど説明しなくても登場人物の心情や背景が伝わってくるのは、文章がとても綺麗で必要かつ最小限の単語で描かれているからか。小説の神様と言われる所以を感じる一冊。
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2021年7月期展示本です。
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https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00185471 -
“人を喜ばす事は悪い事ではない。自分は当然、ある喜びを感じていいわけだ。ところが、どうだろう、この変に淋しい、いやな気持は。何故だろう。何から来るのだろう。丁度それは人知れず悪い事をした後の気持に似通っている。”(p.16)
“両方とも今とその時と人間は別に変りはしないが、何しろ関係が充分でないと、いい人同士でもお互に悪く思うし、それが充分だといい加減悪い人間でも憎めなくなる。”(p.172)