- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003104644
感想・レビュー・書評
-
最初、すぐに不愉快になる主人公にイライラした。もしかして当時はこれがかっこよかったのかなぁ。確かに「まいっか!」と受け流して忘れてしまうのは単なる思考停止とも言える。どうにもならないことに一つひとつ心を引っ掛けて深く考えていたら、不愉快にもなるだろう。それが文化人というものだと考えられていたのかもしれない。そうでもないと、こんな人が主人公面していることに納得できない。
でもラストにかけて、こういう性質の主人公だからこういう物語になったんだと納得できた。名作。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初上下あるのしらんかった
-
「小説の神様」と呼ばれた志賀直哉の唯一の長編作品として著名な作品。
武者小路実篤を介して夏目漱石より朝日新聞への連載作品として依頼され書き出した『時任謙作』という作品が前身です。
新聞の連載小説は一回ごとに山場をもたせて読者を飽きさせないようにする必要があり、そういった書き方に苦労した志賀直哉は、結局、連載を断念します。
その後、志賀直哉は父と和解し、小説『和解』を発表。
それにより父との不和を題材にしていた『時任謙作』の執筆意欲を失いますが、主人公が祖父の子であるという題材に着想し、『暗夜行路』と改題して大阪毎日新聞での連載が約束されます。
ただ、新聞社からの"読者を喜ばせるように書いて欲しい"との依頼に応じられず、連載の約束は破棄。
更にその後、雑誌『改造』にて、記者に連載の意向を伝え、承諾されたことでようやく日の目を見る運びになったというエピソードがあります。
なお、『改造』においても連載は断続となり、未完のまま一旦連載を中断、その後9年の時を経て連載が再開され完結を果たし、執筆の開始から26年かけて完結となりました。
前後篇として書かれている前篇までの感想となりますが、序盤は登場人物がとにかく多量に登場します。
一方で使い捨ても多く、主人公の時任謙作の元に、次々女性が現れては、大して親しくもなる前に去っていく感じがして、度々なんのために登場したのかわからなくなることがありました。
かなり迷いながら書いたのか、キーマンであるはずの父のキャラクター性も、最初に感じた子供に気を使える良父から一転、中盤以降では何も受け入れてくれない分からず屋のイメージに変貌します。
どちらも、同じ父の感情としてあり得るものだと思うのですが、安定感がなく、読みにくさを感じました。
また、ストーリー展開もすごく飛ぶ感じがします。
今の場面が一行後には全く違う場面になっていて、場面転換がさり気なく行われすぎて、今どうなっているのかわからなくなりがちです。
私の国語力の問題もあるかもしれないのですが、何度も読み返して場面が変わる箇所を特定し、今行われていることはどう決着をつけて、新しい場面では何が行われようとしているのかを認識しながら、丁寧に読み進む必要がありました。
また、丁寧に読み解いても、その場面であった出来事のみただ述べているだけで、わかりにくい書き方をしている割には重要なシーンでもなかったということもよくあったように感じます。
氏の唯一の長編ということで相当苦心して書いたのか、短編のときのようなリズム感であったり、結末に向けてスッと流れるように完結に読める感じはなかったです。
川端康成文学のような読みづらさではなく、単純に文章構成が不親切と感じたというのが正直なところです。
私だけが感じているのかと不安になって色々感想を読んでみましたが、結構同じ感想の方が多いようで安心しました。
後篇は面白く読めるという意見もあるので、楽しみにしたいと思います。
前篇の最後で、謙作が「豊年だ!豊年だ!」と叫びながらおっぱいを揉むシーンがあります、突拍子がなさすぎて何が起きたかわからず何度も読み返しましたが、結構有名なシーンだったようです。
有名なシーンでもやっぱり、なんでおっぱい揉みながら「豊年だ!豊年だ!」と叫ぶ必要があるのか、深い意味があるのか、筆者が何か疲れてしまっていたのか。 -
カテゴリ:図書館企画展示
2020年度第3回図書館企画展示
「大学生に読んでほしい本」 第2弾!
本学教員から本学学生の皆さんに「ぜひ学生時代に読んでほしい!」という図書の推薦に係る展示です。
川津誠教授(日本語日本文学科)からのおすすめ図書を展示しています。
展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。 -
“――とにかく、もっともっと本気で勉強しなければ駄目だ。自分は非常に窮屈だ。仕事の上でも生活の上でも妙にぎごちない。手も足も出ない。何しろ、もっともっと自由に伸びりと、したい事をずんずんやって行けるようにならねば駄目だ。しどろもどろの歩き方でなく、大地を一歩一歩踏みつけて、手を振って、いい気分で、進まねばならぬ。急がずに、休まずに。”(p.117)
-
小説家、時任謙作の日々。
妄想による睡眠不足、孤独、赤子を殺した女を書く時など、精神状態がボロボロになる様子が面白い。
また自分が不義で出来た子であることを知るのが、200頁ぐらいで兄からの手紙であり、始めから自覚していないから、ダメージが大きくなっていると感じた。 -
後篇にレビューあり
-
相変わらずこの時代の文学は、実家が金持ちのクソ野郎が主人公だなー。小説家らしいけど、ずっと言い訳しながら前半では一冊も書かなかったな笑
確かに生まれた境遇は辛いかもしれんが、基本クソだなあ笑 -
なかなか進まない…後編で。