志賀直哉随筆集 (岩波文庫)

  • 岩波書店 (1995年10月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (380ページ) / ISBN・EAN: 9784003104668

感想・レビュー・書評

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  • 好きな志賀直哉の随筆集
    志賀直哉の作品は小説なのか随筆なのか、曖昧な感じがするのだけれど
    この随筆集が読み物として面白いということが、そんなことどうでもいいと思わせてくれる

    美術についての章が
    結構何言ってるのかわからないところも多かったけど、

    師友回想の章では
    芥川龍之介、谷崎潤一郎、太宰治など同時代の文豪たちとの交流が興味深いし
    文学についての章では
    作品裏話的な、どんな気持ちで書いたかがわかって面白かった

    他、随筆とはいうものの、短編の小説として読んでも面白いものも多数ありました

    1番最後「ナイルの水の一滴」はたった5行の文章ですが、すごく好きです

  • 客観・主観ともに正確なところを突いてくる文章が気持ちよい。白黒つけないと収まらない、扱いが難しいおじいさんだけれど、やりすぎたと思えばうなだれる素直なところもあって、嫌な人ではない。こういう人と直接交流するのは大変疲れそうだけれど、文章で接することができてよかった。

  • とてもとても面白かった。
    志賀直哉の文章はとても正直で飾り気が無く、何度となく共感する部分もあり、すごく身近な人に感じた。
    それとこの随筆集を読んでこれほど文章が書ける人が羨ましいと思った事は無い。
    自分の周りの人や事についてこんなに瑞々しく書けてそれを後世に残せるってすごく素晴らしい事でしょう?

  •  動物についての随筆が印象的。小説を読んだ時の何とも言えない間隔を思い出すような、作者の価値観が反映されている文章に時々ひやりとする。虚無的、ではないかもしれないが、暗く真面目な乾いた視線というのか。
     「素人玄人」という随筆の中で、クマという犬について触れたものがある。可愛がっていた犬だが、最後は病気で死んでしまった。その犬について書いた最後の文が、「間もなく、食糧難が来た。人間さえ食えず、犬など到底買うことはできなくなった。どこの飼い犬も注射で殺された。私はいい時にクマは死んでくれたと思った」。最後にぞくりとした。気持ちとしては、なるほどと納得できるが、それをそういう言い方で書くのか、と思ったのだ。
     最後の随筆、「ナイルの水の一滴」は好きだ。私はたった一人しかいない特別であり、どこにでもいる平凡なありふれている人間で、それでいいのだと許された気持ちで。

  •  とにかく、奈良は美しい所だ。自然が美しく、残っている建築も美しい。そして二つが互に溶けあっている点は他に比を見ないといって差し支えない。今の奈良は昔の都の一部分に過ぎないが、名画の残欠が美しいように美しい。
     御蓋山の紅葉は霜の降りようで毎年同じきは行かないが、よく紅葉した年は非常に美しい。五月の藤。それから夏の雨後春日山ほ樹々の愛だから湧く雲。これらはいつまでも、奈良を憶う種となるだろう。
    p329「奈良」

  •  小説の神様と言われつつも、教科書で邂逅することなく終わった。気になってはいたものの手に取るだけの衝動はなく過ごしてきたが、先日、この随筆集の一番最後に収録されている文章を目にした。短いながら、スウと妙なものに遮られず流れる感じに好感を持ったので購入した。そして、その日一日ですべて読み切ってしまったので驚きながらも、名文と呼ばれる所以が何となくわかったような気になった。
     その場にジッと佇んで何かを見詰めているような雰囲気もあって、静かで寂しい感じが本に絶え間なく流れている。おそらくこれから数度は読み返すだろう。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/701409

  • 志賀直哉の生きてきた軌跡が書かれた一冊。

    印象に残ったのは、二つ。
    一つ目は、メーテルリンクをよく読んでたこと。
    私も、その作家の本をもっと読もうと感じた(青い鳥しか読んだことがない)。

    もう一つは、志賀は、絵に関心があったこと。
    だから、この著者の本には、絵のことが書かれてるのか。

  • かっこい随筆集でした。
    テーマごとに編集されています。

    夢を主題にした文章は、あるあるのような内容もあって、筆者に対して親しみを感じる導入になります。しかし、さすが文学の大家です。ほんわかした内容であるにも関わらず、なにか鋭さのようなものをもって夢の映像を切り取り、克明に描き出しています。

    また、他の文豪や文化人との交流について書かれた作品群もあります。これまで、それぞれの人が独立して平行に活動し生きたという風に、勝手に漠然と考えていましたが、志賀直哉を中心に、人々のつながりがリアリティをもって感じられました。

    他人の作品を批評する作品もあって、なるほど作品に対するものの見方にわずかながら触れることもできます。

  • 長編小説を読みながら、箸休め的に気楽に読めるエッセイとを併読する習慣が私にはあり、他の現代作家さんの長編小説の合間に、この志賀直哉の超短編エッセイともいえる随筆集を読みました。

    たった2〜3ページの短編で芯を打つような爽快な文章の数々。
    視点の面白さと美しさ、文章の清潔正確さ。
    今まで読んでいた長編小説はなんだったのかと面食らってしまう結末。

    弟子である尾崎一雄が師である志賀直哉を意識しすぎて、特大スランプに陥った話を読んだことがあるが、物書きでもなんでもない私でもその気持ちに共感せざるを得ない。
    師である志賀直哉の文章に嫉妬してしまうその気持ちに。
    本当に唯一無二の作家だと思う。

    他愛もない日常風景が、大袈裟にならず、正しく美しく色づけされる日本語の文章。
    個人的には全てのエッセイ集の中でも最上のもののひとつ。

  • 愛し方は変化して行っても互いに愛し合う気持ちは代わらない。ろうそくは変わっても、その火は常燈妙のように続いて行く。志賀直哉『暗夜行路』1921

    自己嫌悪がなければ、自己を熱愛することもない。自己に冷淡であるからだ。志賀直哉『青草帖』

    求めて得られるのは快楽であり幸福ではない。志賀直哉

    *****

    前途は遠い。そして暗い。しかし恐れてはならぬ。恐れない者の前に道は開ける。行け。勇んで。小さき者よ。有島武郎『小さき者へ』1918

    葉月葉子。19歳。周囲の反対をよそに作家の男と結婚、娘を出産するがすぐに破局。娘を捨てシアトルにいる別の男に会いに行くが、船上で船員の男と肉体関係をもち、日本に引き返す。船員の男と暮らし始めるがまたもや破局。葉子は精神を病み、入院する。有島武郎『或る女』1919

    愛は自己への獲得である。愛は惜しみなく奪うものだ。愛せられるものは奪われてはいるが不思議なことには何物も奪われてはいない。しかし愛するものは必ず奪っている。▼愛を優しい力と見くびった所から生活の誤謬は始まる。▼愛せざる所に愛する真似をしてはならぬ。憎まざる所に憎む真似をしてはならぬ。▼愛の反対は憎しみではない。愛の反対は愛さないことだ。有島武郎たけお『惜しみなく愛は奪う』1920

    *****

    野島。青年作家。ある若い娘・杉子に恋をするが、杉子は野島に興味はない様子。男にモテモテの杉子。ライバルは多い。親友の大宮に相談すると、二人の仲を応援すると言う。親友の大宮はフランスへ行ってしまう。1年後、野島はついに杉子に告白するが、フラれてしまう。その1年後、杉子もフランスへ。そして親友の大宮から手紙が届き、杉子と大宮が恋仲になっていることを知る。武者小路実篤『友情』1920
    ※若い者は女を欲求することと恋とを一つに見ている。女の運命を第一に気にするのが恋で、自分の欲望を満たそうとばかりするのは肉欲である▼ある人に恋される資格のある女は唯一でないかもしれない。だが恋してしまったら、その人にとってその女は唯一になるだろう。

    人間は神が創ったにしては不完全すぎる。しかし自然が生んだにしては傑作すぎる▼友情の価値は互いに独立性を傷つけずに付き合えるという点にある。武者小路実篤『人生論』1938

    人生から愛をひけば何が残る。土地から水分をとれば砂漠になるようなものだ▼生きるとは、自分の自由意志で、自分の理性に従い、正しいと信じる生き方をすること。武者小路実篤

    ********************
    ※大正。白樺。人道、理想、個性。上層階級の人々。

  • 半分ほど読んで挫折。
    山口瞳の「旦那の意見」のほうが読み易かった。

  • 初の志賀直哉です。
    小説なのか日記なのか評論なのか、普段の出来事まで小説かの如きです。
    私の印象は現実に生き現実を視て生活し、現実を考え文章を書いた方と感じました。
    交流した方々の話も興味深かったです。

  • “「不自由を常と思えば不足なし」といった家康はそれほど不自由をしていなかったかも知れないし、「艱難汝を玉にす」も私のように六十過ぎた者には意味をなさない。そういう考え方にはもう飽き飽きした。”(p.335)

  • 日常にあるごく平凡な事柄も、この作家にかかると、色鮮やかに
    眼前に世界が広がる。端的に、的確に眼前の物事を捉え、それを
    表現することができることが、志賀直哉のすごいところ。それゆえに
    この作家の作品を筆写することが、文筆家へのひとつのプラクティス
    となった。細部ではなく、全体を感じたまま頭に残す。それを的確な
    言葉で表現する。これほど、難しいことはない。写実の名手、正岡子規
    と共通する鋭さが、あるようにも思える。何度でも読み返したい良書。

    今読むと、多少「上から目線」っぽい表現もあり、巨匠っぽいところも
    ある。

  • 閑人妄語

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著者プロフィール

志賀直哉

一八八三(明治一六)- 一九七一(昭和四六)年。学習院高等科卒業、東京帝国大学国文科中退。白樺派を代表する作家。「小説の神様」と称され多くの作家に影響を与えた。四九(昭和二四)年、文化勲章受章。主な作品に『暗夜行路』『城の崎にて』『和解』ほか。

「2021年 『日曜日/蜻蛉 生きものと子どもの小品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

志賀直哉の作品

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