- Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003104668
感想・レビュー・書評
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好きな志賀直哉の随筆集
志賀直哉の作品は小説なのか随筆なのか、曖昧な感じがするのだけれど
この随筆集が読み物として面白いということが、そんなことどうでもいいと思わせてくれる
美術についての章が
結構何言ってるのかわからないところも多かったけど、
師友回想の章では
芥川龍之介、谷崎潤一郎、太宰治など同時代の文豪たちとの交流が興味深いし
文学についての章では
作品裏話的な、どんな気持ちで書いたかがわかって面白かった
他、随筆とはいうものの、短編の小説として読んでも面白いものも多数ありました
1番最後「ナイルの水の一滴」はたった5行の文章ですが、すごく好きです詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
客観・主観ともに正確なところを突いてくる文章が気持ちよい。白黒つけないと収まらない、扱いが難しいおじいさんだけれど、やりすぎたと思えばうなだれる素直なところもあって、嫌な人ではない。こういう人と直接交流するのは大変疲れそうだけれど、文章で接することができてよかった。
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とてもとても面白かった。
志賀直哉の文章はとても正直で飾り気が無く、何度となく共感する部分もあり、すごく身近な人に感じた。
それとこの随筆集を読んでこれほど文章が書ける人が羨ましいと思った事は無い。
自分の周りの人や事についてこんなに瑞々しく書けてそれを後世に残せるってすごく素晴らしい事でしょう? -
とにかく、奈良は美しい所だ。自然が美しく、残っている建築も美しい。そして二つが互に溶けあっている点は他に比を見ないといって差し支えない。今の奈良は昔の都の一部分に過ぎないが、名画の残欠が美しいように美しい。
御蓋山の紅葉は霜の降りようで毎年同じきは行かないが、よく紅葉した年は非常に美しい。五月の藤。それから夏の雨後春日山ほ樹々の愛だから湧く雲。これらはいつまでも、奈良を憶う種となるだろう。
p329「奈良」
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小説の神様と言われつつも、教科書で邂逅することなく終わった。気になってはいたものの手に取るだけの衝動はなく過ごしてきたが、先日、この随筆集の一番最後に収録されている文章を目にした。短いながら、スウと妙なものに遮られず流れる感じに好感を持ったので購入した。そして、その日一日ですべて読み切ってしまったので驚きながらも、名文と呼ばれる所以が何となくわかったような気になった。
その場にジッと佇んで何かを見詰めているような雰囲気もあって、静かで寂しい感じが本に絶え間なく流れている。おそらくこれから数度は読み返すだろう。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/701409 -
愛し方は変化して行っても互いに愛し合う気持ちは代わらない。ろうそくは変わっても、その火は常燈妙のように続いて行く。志賀直哉『暗夜行路』1921
自己嫌悪がなければ、自己を熱愛することもない。自己に冷淡であるからだ。志賀直哉『青草帖』
求めて得られるのは快楽であり幸福ではない。志賀直哉
前途は遠い。そして暗い。しかし恐れてはならぬ。恐れない者の前に道は開ける。行け。勇んで。小さき者よ。有島武郎『小さき者へ』1918
愛は自己への獲得である。愛は惜しみなく奪うものだ。愛せられるものは奪われてはいるが不思議なことには何物も奪われてはいない。しかし愛するものは必ず奪っている。▼愛を優しい力と見くびった所から生活の誤謬は始まる。▼愛せざる所に愛する真似をしてはならぬ。憎まざる所に憎む真似をしてはならぬ。▼愛の反対は憎しみではない。愛の反対は愛さないことだ。有島武郎たけお『惜しみなく愛は奪う』1920
若い者は女を欲求することと恋とを一つに見ている。女の運命を第一に気にするのが恋で、自分の欲望を満たそうとばかりするのは肉欲である。▼ある人に恋される資格のある女は唯一でないかもしれない。だが恋してしまったら、その人にとってその女は唯一になるだろう。武者小路実篤『友情』1920
人生から愛をひけば何が残る。土地から水分をとれば砂漠になるようなものだ。▼生きるとは、自分の自由意志で、自分の理性に従い、正しいと信じる生き方をすること。武者小路実篤
※大正。白樺。人道、理想、個性。 -
半分ほど読んで挫折。
山口瞳の「旦那の意見」のほうが読み易かった。 -
初の志賀直哉です。
小説なのか日記なのか評論なのか、普段の出来事まで小説かの如きです。
私の印象は現実に生き現実を視て生活し、現実を考え文章を書いた方と感じました。
交流した方々の話も興味深かったです。