高村光太郎詩集 (岩波文庫)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003104712

感想・レビュー・書評

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  • 「世俗的なものとの妥協を排し、不断の情熱をたぎらせて人生の意味を追求し続けた光太郎の詩は、美しいもの、真実なものに対する善意と愛に満ちている。その歩みの中から九十三の詩篇を精選し、「道程」より・「道程」以後・「智恵子抄」より、の三部に編んだ。作者が生前自ら校閲した最後の詩集である。 (解説 奥平英雄)」

  • 求道者の詩集。

  • 高村光太郎で一番好きなのは、王道ながら智恵子抄。ただひたすらに、一途や最愛と言う言葉では言い表せないような想いが詩に溢れていると思う。輪郭が掴めない、ぼんやりとした感覚があるのに、心に残るものがある。

  • 「道程」で有名な詩人・高村光太郎の作品集。
    ひとつひとつの言葉に血が通っているような感覚。
    日常に溢れている言葉をいかにして神聖なものとなるようにつなぎ合わせられるかが詩人の腕の見せ所だと思った。
    美しい日本語に酔いしれられます。

  • 小学生の時、教科書に「ボロボロな駝鳥」を読んで衝撃を受け、
    詩集で再び読んで、やっぱりいいなと想い、今回、高村光太郎の詩集を買って、この年になって初めて、高村さんの詩だと知った。
    言葉を巧みに操る天才詩人はそういない。
    言葉ひとつひとつが研ぎ澄まされた石のようだ。言葉に重力を感じる程、何度読んでも、何度開いても飽きない。

  • (2003.12.03読了)(2003.03.06購入)
    この詩集の詩の選択は、作者自身が行ったと聞いていたのだが、あとがきを読んだら奥平英雄という方だった。3部構成で、「道程」より、「道程」以後、「智恵子抄」よりとなっている。作品は発表順に並べられている。
    「智恵子抄」の言葉に込められた気持ちというのは読むものにびしびしと伝わってくるのだが、それ以前の詩は時に皮肉っぽく時に理知的にとか言う感じで、あまり感じるものがない。僕自身の感受性の不足ということもあるかもしれない。
    皮肉っぽい詩
      根付の国
     頬骨が出て、唇が厚くて、目が三角で、名人三五郎の彫った根付の様な顔をして
     魂を抜かれたようにぽかんとして
     自分を知らない、こせこせした
     命のやすい
     見栄坊な
     小さく固まって、納まり返った
     猿の様な、狐の様な、ももんがあの様な、だぼはぜの様な、麦魚(めだか)の様な、鬼瓦の様な、茶碗のかけらの様な日本人

      けもの
     けもののをんなよ
     限りない渇望に落ちふけるをんなよ
     盲人のしつこさを以てのしかかるをんなよ
     海蛇のやうにきたならしく
     ぬかるみのやうにいまはしいをんなよ
     けれど、かなしや
     お前をまた見にゆくのは
     さばかりお前がけものなるゆゑ
     いまはしいゆゑ

    有名な詩(最初の2行から後ろは記憶に残らないのだが)
      道程
     僕の前に道はない
     僕の後ろに道は出来る
     ああ、自然よ
     父よ
     僕を一人立ちさせた広大な父よ
     僕から目を離さないで守る事をせよ
     常に父の気魄を僕に充たせよ
     この遠い道程のため
     この遠い道程のため

    「智恵子抄」より(智恵子夫人の死の様子を歌った詩)
      レモン哀歌
     そんなにもあなたはレモンを待ってゐた
     かなしく白くあかるい死の床で
     わたしの手からとった一つのレモンを
     あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
     トパァズいろの香気が立つ
     その数滴の天のものなるレモンの汁は
     ぱっとあなたの意識を正常にした
     あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ
     わたしの手を握るあなたの力の健康さよ
     あなたの咽喉に嵐はあるが
     かういふ命の瀬戸ぎわに
     智恵子はもとの智恵子となり
     生涯の愛を一瞬にかたむけた
     それからひと時
     昔山巓(さんてん)でしたやうな深呼吸を一つして
     あなたの機関はそれなり止まった
     写真の前に挿した桜の花かげに
     すずしく光るレモンを今日も置かう

    ☆関連図書(既読)
    「智恵子抄」高村光太郎著、龍星閣、1941.08.20
    「智恵子抄その後」高村光太郎著、龍星閣、1950.11.20
    「智恵子抄」高村光太郎著、新潮文庫、1956.07.15
    「高村光太郎詩集」高村光太郎著・伊藤信吉編、新潮文庫、1950.11.20
    「レモン哀歌」高村光太郎著、集英社文庫、1991.01.25
    「小説智恵子抄」佐藤春夫著、角川文庫、1962.02.20
    「逆光の知恵子抄」黒澤亜里子著、学陽書房・女性文庫、1997.03.20

    著者 高村 光太郎
    1883年3月13日 高村光雲の長男として生まれる
    1902年 東京美術学校卒業
    1906年 欧米各地(ニューヨーク、ロンドン、パリ)に遊学
    1911年 長沼智恵子と知り合う
    1914年 「道程」出版 長沼智恵子と結婚
    1938年 智恵子夫人死去
    1941年 「智恵子抄」出版
    1945年 岩手県花巻市に疎開
    1950年 「典型」「智恵子抄その後」出版
    1956年4月2日 死去
    (「BOOK」データベースより)amazon
    世俗的なものとの妥協を排し、不断の情熱をたぎらせて人生の意味を追求し続けた光太郎の詩は、美しいもの、真実なものに対する善意と愛に満ちている。その歩みの中から93の詩篇を精選し、“「道程」より”“「道程」以後”“「智恵子抄」より”の3部に編んだ。作者(1883‐1956)が生前みずから校閲した最後の詩集である。

  • 智恵子抄。

  •  奇しくも冬至の日に読んだ。私は道産子なのだが冬が嫌いだ。それは上京してからのことだ。東京には雪が積もらない。それだけで北海道の人々は、東京が南国だと思い込んでいる節がある。

     <a href="http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20081223/p1" target="_blank">http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20081223/p1</a>

  • 高村光太郎です。それだけです。

  • 道程」より・「道程」以後・「智恵子抄」よりの三部構成。作者が生前自ら校閲した最後の詩集。

  • もういままで何度読んだかわからない。中学の時に買った文庫をいまだに読んでいます。もうボロボロ。最近小学校2年生の息子が智恵子抄の一節「あどけない話」を暗記していてびっくりした。

  • 力強さとは優しさ。

  • ──そはわがこころのおきてにして<br>
    またわがこころのよろこびのいづみなれば<br>
    <br>
    「さびしきみち」<br>

    なにかを決意したいときに、こころに浮かべるのです。

  • “僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る ああ自然よ 父よ 僕を一人立ちにさせた広大な父よ 僕から目を離さないで守る事をせよ 常に父の気魄を僕に充たせよ” 大好きな詩です。

  • 【道程】は、本当にストレートでいい詩です。作者の飾りのない言葉にあふれた詩集です。

著者プロフィール

詩:詩人・彫刻家。高村光雲の長男。東京美術学校卒業後、欧米に留学してロダンに傾倒。帰国後、「スバル」同人。耽美的な詩風から理想主義的・人道主義的な詩風へと転じる。代表作:「道程」「智恵子抄」「典型」「ロダンの言葉」等。


「2013年 『女声合唱とピアノのための 組曲 智恵子抄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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