北原白秋歌集 (岩波文庫)

著者 :
制作 : 高野 公彦 
  • 岩波書店
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  • レビュー :8
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003104842

作品紹介・あらすじ

詩集『邪宗門』『思ひ出』で鮮烈に世に出た青年詩人は、1913年、第一歌集『桐の花』を刊行する。詩、童謡、民謡など韻文のあらゆるジャンルで数多くの優れた作品を生んだ北原白秋は、短歌の世界でも大きな足跡を残した。晩年の『黒檜』『牡丹の木』まで全歌集12冊から精選。

感想・レビュー・書評

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  • 白秋は青年期から晩年にいたるまで、一貫して歌を詠み続けていたようだ。それらの成果は多くの歌集として残されたが、やはり『桐の花』にこそ白秋の真髄があると思う。短歌でありながら、あたかも象徴詩を思わせる表現がそこには見られる。例えば「…雪よ林檎の香のごとくふれ」の歌は、雪だけが降りしきる白一色のモノトーンの世界だ。しかし、林檎という言葉はそこに一瞬のあざやかな紅の残影を帯びさせる。まさに新古今三夕の歌の定家だ。しかも、「林檎の香」には、甘くそして切ない、匂い立つばかりの憂愁と哀しみの香りが揺曳するではないか。

  • かくまでも黒くかなしき色やあるわが思ふひとの春のまなざし
    夏浅き月夜に野良の家いくつ洋燈(ランプ)つけたり馬鈴薯の花
    観音の金鼓ひびけり湯に居りてのどかよと思ふ耳あらひつつ
    みすずかる信濃の駒は鈴蘭の花咲く牧に放たれにけり
    ラヂオ研究所灯を消しにけりうしろ立つ照明迅く鉄塔は見ゆ

  • 北原白秋というと、真っ先に 「草わかば〜」「君かへす〜」の短歌を思い出します。

    「君かへす〜」、何度読み返しても酔いしれてしまいます。あまりに好きなので冷静に分析することが出来ません。妄想をつらつらと…


    雪を静かに踏む音にも、林檎を優しく咀嚼する音にも重なる、さくさくという言葉。一見軽やかで平和的な響きのように聞こえるのに。
    林檎は爽やかなイメージと退廃的なイメージを持ち合わせる果実だと思います。ぱっと広がる香り、滴る透き通った果汁、けれども奥に潜む芳醇な蜜。成熟しきって腐り始めるころの、強烈に匂い立つこってりとした甘さ。若いころの甘酸っぱさをそっと潜ませながら。アダムとイブが誘惑に負け手を付けた果実であることから、禁断の象徴でもあるんでしょうね(無花果であったかもしれないけど)。二人の姿に重なります。
    雪のあたたかなやわらかさ、容赦のない冷たさ、天使の羽のような高潔な白さ。
    自然現象という原始的な部分は二人の犯した罪を優しく包み込んでくれ、または覆い隠してくれる。けれど厳しく眩い白はその罪を浮きだたせ冷ややかに非難しているようです。
    敷石は彼女を居るべき場所へ連れ戻す道標ですね。二人を平和な場所へ戻してくれる。しかし二人を引き裂く。

    耽美、退廃を何処までも追える歌だと思います。

  • パンクだなぁと思います。

  • 冬薔薇。

  • 白秋さんは、たまにはっとするような文句が出てきてびっくりする。

  • 男性の男性ゆえに紡がれる
    哀しい愛しい言葉。
    敗北の中の美しい言葉。
    大好きな詩人(歌人)。

  • 普段和歌などを読まない人にも是非読んでほしい。モダニズム短歌。

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