- 本 ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003104842
感想・レビュー・書評
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白秋は青年期から晩年にいたるまで、一貫して歌を詠み続けていたようだ。それらの成果は多くの歌集として残されたが、やはり『桐の花』にこそ白秋の真髄があると思う。短歌でありながら、あたかも象徴詩を思わせる表現がそこには見られる。例えば「…雪よ林檎の香のごとくふれ」の歌は、雪だけが降りしきる白一色のモノトーンの世界だ。しかし、林檎という言葉はそこに一瞬のあざやかな紅の残影を帯びさせる。まさに新古今三夕の歌の定家だ。しかも、「林檎の香」には、甘くそして切ない、匂い立つばかりの憂愁と哀しみの香りが揺曳するではないか。
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かくまでも黒くかなしき色やあるわが思ふひとの春のまなざし
夏浅き月夜に野良の家いくつ洋燈(ランプ)つけたり馬鈴薯の花
観音の金鼓ひびけり湯に居りてのどかよと思ふ耳あらひつつ
みすずかる信濃の駒は鈴蘭の花咲く牧に放たれにけり
ラヂオ研究所灯を消しにけりうしろ立つ照明迅く鉄塔は見ゆ -
Y先生から借りた。北原白秋を好きとこれから言おう。自然を写実的に描いた短歌、そのなかで興味をそそられる植物や動物が出てきたときにとてもこころが動いた。ゆっくりと、ひとつずつ味わった。
解説に、本編の歌が引用されており、そうするともう一度読み直したくなった。ぱらぱらとめくっていき、前半の「桐の花」の何首かを読む。すると最初読んだときよりもとても感じ入って読めた。
白秋の一六四三首をめぐっていくうちに、短歌への思いや味わい方が自然と変わっていったのだとおもった。 -
白秋の短歌は繊細な金細工のよう、美しい織物のようだ。短歌に象徴をもたらした。
「春の鳥な鳴きそ鳴きそあかかと外の面の草に日の入る夕」「君返す朝の舗石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ」「大きなる手があらわれて昼深し上から卵つかみけるかも」「ニコライ堂この夜揺りかへり鳴る鐘の大きあり小さきあり小さきあり大きあり」 -
浪漫・象徴というのは、反面、描写を伴わぬか。形容詞のところを体言に置き換えるだけでもっと普遍性が出てくるのではと思うところが多い。その延長として叙景が弱い?
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パンクだなぁと思います。
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冬薔薇。
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白秋さんは、たまにはっとするような文句が出てきてびっくりする。
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