野上弥生子短篇集 (岩波文庫 緑 49-0)

著者 :
制作 : 加賀 乙彦 
  • 岩波書店
3.57
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本棚登録 : 101
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003104903

作品紹介・あらすじ

20世紀のほとんどを生きた、私たちと同時代の作家野上弥生子(1885‐1985)。『真知子』『迷路』『森』などの骨太な長篇小説でしられる野上弥生子は、また、克明な観察力と鍛えぬかれた描写力による確かな人間造形が際立つ、練達の短篇作家である。「或る女の話」「哀しき少年」「明月」「狐」など、秀作7篇を編年順に収録。

感想・レビュー・書評

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  • ザ小説オブ小説。人物や風景描写、構成とかとにかくよくできてるなあと。習字のお手本のよう。

  • 物語とはかく表現されるべきかもしれない、と頭をかく。書き表されるものが、読者、私の頭に描かれるものとして想定されていると思える。登場するこまごまとしたものにも感情にも景色にも、ぼんやりと生きたり書いたりしてはいない(作者は否定するかもしれないけれど)という作家の心意気のようなものを感じさせられる。収録作はどれもしんみりと好きだが、「或る女の話」「哀しき少年」は胸をはっとつく。
    それにしても……「女性ならではの視点」という言い方を(理解できなくはないけれど)いちいち持ってくる人びとは、女をそんなに画一化したいのかな、とぼんやり。

  • 文学
    これを読む

  • とにかく文章が洗練されていて、息づかいが見事。怜悧な眼とじわじわとした抑揚。

  • 2012年7月22日読み始め 2012年7月29日読了
    この本は読んでみたかったのですが在庫切れで、最近重版されたので読んでみました。いやー面白かった。
    野上弥生子といえば「海神丸」とか「秀吉と利休」というイメージでしたが、短篇もすごく面白かったです。というかこの本がすぐれた短編の選り抜きみたいなので、そこもよかったと思います。
    どの短編も、飛び抜けて変わった話ではなく、わりと日常を扱ったものですが、だからこそ今読んでも古臭く感じないし、女性の生き方、夫婦の姿、死や親の存在など、文学者らしい切り口で、かつ読みやすいです。
    野上弥生子の地元の言葉も、郷土を同じくする自分には親しみやすく感じました。

  • 時代の関係で、戦争に関する部分が作中に幾度か登場する。文学が苦手な人には、少し作品として難しいものもあるかも知れません。もちろん作品としては十分に面白いものばかりです。「死」のラストでは人の死に関してある興味深い疑問が投げかけられていて、非常に考えさせられる部分も多い。また、「茶料理」では若者の幼い恋愛から、大人の恋愛へと見事な恋愛を描いていて、切ない作品になっています。

  • この人、大分出身なんです。
    だから何か通じるものがあるのかもしれない。
    有名なのは「海神丸」だけど短編集も結構えぐいというか。
    「死」は何度も読んだ。

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著者プロフィール

野上彌生子

小説家。本名ヤエ。大分県生れ。明治女学校卒。英文学者,能楽研究家である夫野上豊一郎〔1883-1950〕とともに夏目漱石に師事し,《ホトトギス》に写生文的な小品を発表。1911年創刊の《青鞜》にも作品を寄稿した。《海神丸》《大石良雄》から長編《真知子》と社会的視野をもつ作品に進み,戦前から戦後にかけて大作《迷路》を完成。ほかに《秀吉と利休》がある。1971年文化勲章。

「2022年 『秀吉と利休』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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