真知子 (後篇) (岩波文庫)

  • 岩波書店 (2002年2月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784003104972

感想・レビュー・書評

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  • 長生きの作家だった野上弥生子氏。
    彼女の若い頃といっても47歳頃の作品。

    とても、みずみずしい。
    1930年代(昭和の初期)に書かれている。
    風景、風俗、社会が古めかしいのだが、内容はけして古くはない。
    むしろ、懐かしい情景の中に一本筋の通った思想があり、それが色あせず感動する。

    若い女性が人間として自我を確立、成長していく姿は現代に通じる。

    その後、「迷路」「秀吉と利休」と骨太の本を書き、翻訳も数々。
    「迷路」は「真知子」の姉妹編のようで、「弥生子思想」がより深まる。

    しっかりした手触りの文章の作家なのに、普通の生活というか、結婚され子供孫に囲まれ、100歳の長生きをされた。
    親しみを感じるし、随分影響も受けた。

    随筆と「山姥」を読むと、北軽井沢の別荘で、夏だけでなく春秋と自然にふれてばあさん暮らしをしたとある。
    偶然私も似たような暮らし方というのも嬉しい。

    「海神丸」という「老人と海」ないし「白鯨」かと思わせる作品にも驚いたし、面白かったなー。

    晩年の「森」(未完である)は99歳の時に連載。
    さすが文章がダブったりなさったところがあるが、弥生子氏の自伝のようで、小説であり、こちらは明治時代の自立を目指す女性の姿ががあざやか。
    ほんとうに、すごい!

    私の好きな作家、ベストテンに入る方。
    時間が許すなら、他の作品も読み返して詳しく感想を書きたい。

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著者プロフィール

野上 弥生子(のがみ・やえこ):1885年、大分県生まれ。明治女学校卒。夏目漱石の紹介で「縁」を「ホトトギス」に発表して以来、明治・大正・昭和という三時代を通じ80年余りの作家活動をおこなう。写実主義に根差す作風で女性たちが直面する生きづらさを見つめ、家父長制の物語に抗うとともに、戦争に向かう時代のなかでも体制におもねることなく反戦思想を訴え続けた。1957年『迷路』で読売文学賞、64年『秀吉と利休』で女流文学賞、86年『森』で日本文学大賞、71年には文化勲章などさまざまな賞を受賞。他の著書に『欧米の旅』『山姥』『海神丸』などがある。文芸雑誌「青鞜」を発行していた青鞜社のメンバーでもあった。1985年逝去。

「2025年 『真知子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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