友情 (岩波文庫)

  • 岩波書店 (2003年3月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (180ページ) / ISBN・EAN: 9784003105047

感想・レビュー・書評

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  • 1919年作品。50年以上前に小学校の図書室で借りて読みました。5年生の子どもにとって「友情」と言うタイトルに惹かれるものがあったのでしょう。ただ、読んでみると子どもにとっては刺激的で理解できない部分もあったように記憶にあります。私は今、地元の山間の小学校(全校生徒60人足らず)で働いています。図書室で、この本を見つけました。多分、誰も借りないだろう本なんでしょうね。図書カードに名前はありません。主な登場人物は主人公23歳の脚本家志望の野嶋、信頼する友人である大宮、野嶋が愛する女性杉子。野嶋の杉子に対する余りにも一方通行な想いに今のご時世なら怖い部分もあります。最終的には主人公にとって辛い結末になりますが、それをバネにして飛躍するような期待を持たせます。それにしても、杉子の率直すぎる手紙には残酷だなあと感じさせます。今の子供たちは読まないんだろうなあと感じました。読んでみてほしいけれど。

    • yhyby940さん
      goya626さんも大阪ですか。私は大阪を離れて16年になります。大阪時代の友人と電話で話すと微妙に変な大阪弁になります。かと言って今から九...
      goya626さんも大阪ですか。私は大阪を離れて16年になります。大阪時代の友人と電話で話すと微妙に変な大阪弁になります。かと言って今から九州の言葉にはならないですから、言葉の漂流者ですねえ。
      2023/07/06
    • goya626さん
      yhyby940さん
      なるほど「言葉の漂流者」ですか。同じ大阪出身の知り合いに、大阪弁そのままの人もいますけどねえ。
      yhyby940さん
      なるほど「言葉の漂流者」ですか。同じ大阪出身の知り合いに、大阪弁そのままの人もいますけどねえ。
      2023/07/07
    • yhyby940さん
      goya 626さん、そういう方が多いと聞きますが。私は若い頃に、今住む街に越してきたら言葉は変わっていたかもせれません。ただ、ドンドン違和...
      goya 626さん、そういう方が多いと聞きますが。私は若い頃に、今住む街に越してきたら言葉は変わっていたかもせれません。ただ、ドンドン違和感ある大阪弁になっていくことでしょう。コメントありがとうございます。
      2023/07/07
  • 【自由研究】『こころ』(4)

    誤解を恐れずに言えば本書は『こころ』へのアンチテーゼだと思います。

    ◎◎◎◎
    まず、誰も自殺しません!
    次に登場人物が対照的です。
    文体も赤裸々で最後は主人公が力強く生きて行く宣言をして終わります。

    こちらも三角関係が重要な要因となっているだけに余計に『こころ』を裏返したような印象です。

    何故こうなったのか?
    実篤は漱石を敵視していたのでしょうか?
    私は逆で漱石をリスペクトし過ぎるあまり、
    『こころ』を<意識しないことを意識し過ぎた>結果ではないかと思っています。

    実篤は漱石を「自分の先生のやうな方」というほど敬愛していたようです。影響を受けていないとは思えません。

    『こころ』が自己否定で時代に対峙したのに対し、『友情』は圧倒的な自己肯定で時代を突き抜けた。
    対照的な両作品は、方法論が違えど実はゴールは同じだったのです。

    なので、厳密に言うならただのアンチテーゼではなく、「(逆説的な)トリビュート」だったというのが今回の最終結論になります。
    (※個人の感想です)

    →→→
    [再読記録]に『こころ』の〔裏テーマ〕
    アリマス→→→

  • めっちゃぶっ刺さりました。
    実篤にバイブスかまされすぎてちょっとフラフラするくらい笑
    恋愛に不器用な高校時代をめっちゃ思い出した。
    なんで相談した友達と好きな人が付き合っちゃうんだろうと思ってたけど、十年の時を経て解決した。

    野島が最後ああ言ってくれたことでだいぶ救われたし、嫉妬や悔恨をエネルギーに代えて突っ走ることができることは間違いなく才能だと思った。

    話としては苦しいがこの上なく美しい「友情」だった。



  • 齋藤孝さんの本に挙げられていたので読んだ本
    100年も前の書物を読んでいること自体に何度も不思議な感覚になった

  • "恋が盲目と云うのは、相手を自分の都合のいいように見すぎることを意味するのだ。"

  • 馴れ合いや自己保身ではなく、自分と相手双方のためを考えた真の友情が描かれた名作。

  • 久々に読んだ。2回目。
    全ての非モテ必読の書。
    大宮の友達想いなところが杉子が良いと思ったポイントでもあったのだろう。

  • 友人同士の男二人で一人の女性をめぐる相関関係……という構図は「こころ」に似ているが、こっちはもう少し爽やかに読める。というのも前半部分、野島(主人公)が色恋において常に前のめりであり、その空回る様子が後編で事細かに回収されるのは可哀想だが、ユニークでもあるのだ。

    野島の人柄として、元々不愛想で人との積極的な交流を好まない質だと描写されていたが、これは現代で言う「コミュ障男子」の一種ではないか。それに杉子へのアプローチの仕方も、大した話題もないのに会えることを期待して彼女の家や学校の周りをうろつく等奥手にも程があるし、それでいていざ会えたら、杉子から挨拶(おそらく社交辞令によるもの)されただけで舞い上がっちゃったりもして……人との交流経験不足が露骨に出てしまっている。

    恋愛をキャンバスに描かれる絵画に喩えた仲田(杉子の兄)は作中で野島に痛烈に批判されていたが、個人的にはよほど彼の方が現実的に生きていた。そして大宮も、杉子もそうだった。ただひとり野島だけが、彼一人の理想の世界で絵画にも彫刻にもなりえないものを空想し、ひたすら捏ね続けていた。野島は大変な夢想家で、ある意味ヒロインの杉子よりも”恋に恋する乙女”だったのではないかと思う。

    それから、これはわたしが女だから猶更そう思うのかもしれないが、女性を見て「自分と結婚するべき女か、そうでない女か」を思考する野島の癖は若干気持ち悪い。野島本人は恋を神聖たるものとして肉欲とは別だと区別していたいようだったが、個人的にこれは割とアウトというか……まんま「肉欲」寄りではないか?と思う。初見の女性にそうした判定を行う自体、所謂「がっついてる」状態に等しいというか。

    なんにせよ結論としては、仕事も中途半端で人間的に未熟でもあった野島に恋愛は早かったのではないかということ。それゆえに、失恋という結末はある意味「なるべくしてなった」ように感じる。野島を取り巻く人間たち……それこそ仲田も杉子も大宮も武子も、野島よりはるかに成熟し、大人であったように思う。(だから武子は結婚し、大宮と杉子も結ばれている。仲田は……わからないが。)大宮が願ったように、野島はまずは目の前の仕事に集中し、大成を目指すべきなのだ。

  • 武者小路実篤では最も有名な作品。
    氏の活動の中では比較的初期の作品ですが、本作執筆時にはすでに文壇上で確固たる地位を得ていました。
    本作は、実篤を始めとする一派がその思想における理想郷を目指して埼玉県に開村した"新しき村"に移り住んだ後に執筆した作品ですが、本作品自体は特定の思想が込められたものではなく、想い人となんとか良い仲になりたいと願う主人公の儚い失恋の物語となっています。

    主人公は、いまいちうだつの上がらない脚本家「野島」です。
    彼は友人の「仲田」の妹「杉子」に思いを寄せているのですが、仲田は恋愛するにはまだ若すぎるという理由で杉子が恋愛することに反対をしていて、野島は杉子に思いを伝えられないでいます。
    野島には「大宮」という親友がいて、彼は脚本家として成功しています。
    野島は大宮に杉子への想いを打ち明けると、大宮はよろこんで協力を買って出たが、というストーリーです。
    ストーリー展開的には同じ実篤の「お目出たき人」に似ているなと思いました。
    どちらも主人公は、自分の理想を女性に押し付けて神格化してしまっており、想いを寄せている相手と碌に会話すらもしていなかったりします。
    「お目出たき人」は最後までヒロインは主人公を本当のところどう思っていたのかがわからないまま遠くへ行ってしまいますが、本作はそういう意味では非常にスッキリしています。
    ただ、本作で描かれている出来事は、似たような経験をしたことがある少年少女たちの脳を揺さぶるものとなっており、大正時代に書かれたNTRと言って過言でない内容だと思います。
    客観的に見て野島は結構、気持ちの悪い男で、それ故に親友である大宮のイケメンぶりが引き立つのですが、世間の男性の大部分は野島であり、世界の不公平さを如実に浮き彫りにして問題提議をする意欲作ということですね (多分違う)。

    中編ですが読みやすく、ページ数もそれほどないので、2,3日程度で読めると思います。
    なお、私にはこの物語の終幕後、適当に付き合った後に大宮と杉子は別れてしまい、一方で野島は童貞を拗らせた上、過激派の活動家になるところまで見えました。
    きっと実篤先生は、野島に決してなってはいけないということを伝えたかったのでしょう。

  • 恋と友情の物語。
    切ないけれども、互いに事実と自分の感情を受容して、歩き出そうとする強さを感じる。

  •  白樺派の読後感の良さを感じさせる作品。
     恋の三角関係の話。夏目漱石の『こころ』の三角関係とはまったく違う。恋の話で、三角関係なのに『友情』という題名になっているところに納得。
     恋とは?と考えさせられる。恋には動物的な本能的な部分と、人間だから感じられる恋があるのではないかと感じた。
     葛藤は苦しい。しかし、大きいほど、数が多いほど、人生を豊かにしてくれるのだろう!

  • 恋愛をしている人、特に失恋をした人におすすめしたい作品。

    実篤の他の作品も読みたくなった。

  • 最大に信頼し、尊敬し、互いを理解し合う友情による、究極の争いと励まし。野島が杉子に求める理想像や登場人物の間で交わされる会話、遊びから、発展途上であった当時の日本の時代背景が大いに反映され、現代の青年の一般的な感覚と異なるものが新鮮だった。

    他方、解説者が言うように、「青年がその高い志(真実を求めてやまない青春時代のひたむきな情熱が、最も純粋な形で描かれている)と、美しい理想を失わない限り、この小説は永久に読み続けられるにちがいない」と言うように、現代に生きる私たちにも通じ、触発を受けるところが大いにあった。

    P151
    (野島の親友の大宮が杉子に宛てた手紙)友は得られないものを強く求めたために何か他のものを得、俺は求めることを拒んだが、求めるものを得るくじを選んだ。俺はそれを幸福とばかり思わない。

    P157
    ・(野島から大宮に宛てた手紙)君の惨酷な荒治療は僕の決心を固めてくれた。今後も僕は時々淋しいかもしれない。しかし死んでも君たちには同情してもらいたくない。僕は一人で耐える。そしてその淋しさから何かを生む。見よ、僕も男だ。参り切りにはならない。君からもらったベーターオフェンのマスクは石にたたきつけた。いつか山の上で君たちと握手する時があるかもしれない。しかしそれまでは見よ、二人は別々の道を歩こう。

  • 思ってたよりずっと読みやすかった。

    「恋は画家で、相手は画布だ」など大宮と野島の恋愛観が面白かった。大宮は肉欲と恋の2軸で話しているが、私は恋と愛の2軸であると思う。
    恋とは与えられることを望むことである。野島や杉子に求婚する男は杉子を愛していたのではなく恋していたのだろう。また、野島が大宮に抱く友情は恋に近いような気がする。一方で大宮が杉子や野島に向ける想いは愛に近いと思う。

    最終的に野島は独りになってしまうのだがその結果は野島を仕事により一層奮い立たせることとなった。友のもつ力を信じ、友の歩むべき道に導くのが本当の「友情」であり、野島と大宮はその友情のもと今後も互いの人生を懸命に生きるのだと思う。野島には力強く生きてほしい

  •  読んでいて気持ちの良い作品だった。大宮が最後まで自分の気持ちを抑えながら、友情を優先し続けた。一方、野島は自分の理想を杉子に期待を寄せすぎて、独りよがりな面が露呈していた。
     しかし、杉子は一目ぼれをしていたようだから、結局、誰を好きになるかは生まれたときにある程度決まっているものだと作者は考えているのだろう。

  • 野島と大宮と杉子の三角関係

  • 新田次郎の「聖職の碑」を読んで白樺派が気になり本書を読みました。高校の頃先生や副読本などで紹介されていた内容と全然違っていたのに少しびっくり。実際作品は良かった。二人の友情と一人の女性との恋愛感情、それぞれの思惑、心の動きが面白く綴られた作品でした。白樺派らしく理想主義に傾いてるのかと思いきやそうでもなかったです。女性側の心理はさもありなんといった感じかと思いました。

  • 正直30代にもなって純文学に触れたことがなかったので、なんとなくこれで位の気分で購入。読み始めは100年前の文体に少し戸惑ったが、鎌倉編に突入してからストーリーの奥ゆかしさ、人間描写、無常感、絶望感にどっぷり引き込まれていった。
    ページ数も少なめなので、純文学初心者におすすめだと思う。

  • (正しくは新潮文庫版です)高校時代に初めて読んで「金持ちの恋」「海」「三角関係」のキーワードだけで「こころ」に似てるなー。と思った記憶があり、再読。全然違った 笑
    恋は盲目とはよく言った物で、大人になって読み返すと、これまた読み方や趣が全然違う。恋に特別なパワーを感じずにはいられない若い頃、そのパワーを自分はどう原動力に変えてきたのか、もうそのパワーは感じられないのだろうか、、、いや、感じたことあったか?笑
    色々考えました 笑

  • 夏目漱石「それから」を読了後に読むと、結末が清々しい。杉子視点での一連の流れを描いた作品があったら読んでみたい。大宮と野島はどのように杉子の目に映ったのだろうか。さすが実篤、明るい文体でサクッと読めた。

    野島の愛は杉子から見て、気持ち悪いと感じるものだったのだろうか。最後の手紙もメンヘラかと言うほどの愛の伝えようですが…

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著者プロフィール

東京・麹町生れ。子爵家の末子。1910(明治43)年、志賀直哉らと「白樺」を創刊、「文壇の天窓」を開け放ったと称された。1918(大正7)年、宮崎県で「新しき村」のユートピア運動を実践、『幸福者』『友情』『人間万歳』等を著す。昭和初期には『井原西鶴』はじめ伝記を多作、欧米歴遊を機に美術論を執筆、自らも画を描きはじめる。戦後、一時公職追放となるが、『真理先生』で復帰後は、悠々たる脱俗の境地を貫いた。1951(昭和26)年、文化勲章受章。

「2023年 『馬鹿一』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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