銀の匙 (岩波文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 308
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003105115

感想・レビュー・書評

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  • 177~179ページにかけての畳み掛けるようなテンポの良さ、言葉選び、映し出される情景の美しさ。
    ここには感動のポイントが2つあって
    1つはこれらが好奇心で満ち溢れていた子供の目線で書かれているのを大人として感動できるのと
    もう一つは自分が子供だった頃に戻った思いであの頃が疑似体験できることによって感動できる。

  • 夏目漱石が絶賛し、1913年、1915年に東京朝日新聞に掲載された中勘助の自伝的小説。主人公が子供の頃の生活を回想する形で書かれています。当然、作者が大人になってから書かれた作品ですが、感受性豊かな幼少期のことが生き生きと描かれています。読み始めた時は、独特の日本語の言い回しや使い方に少し苦労するのですが、慣れてくると突然目の前が開けたように様々な情景が目に浮かぶようになります。この本は、読む年齢や読まれる時代によって、ぜんぜん違った印象をあたえると思います。

  • 夏目漱石を始め、明治の文人たちが絶賛したというこの有名な小説を、時間をかけてゆっくりと読破した。宝石のように綺羅びやかで、ガラスのように脆い少年の日々が、まさしくそれに見合う文体で見事に綴られている。

    明治の終わりに記されたこの小説には、現代では見ることもなくなったアイテムや、することがなくなった遊びが随所に出てくるが、読み進むうちに、最早失われてしまった遊びやアイテムをトリガーにして、自らの少年時代にも同じように、儚くも繊細な日々があったことが思い出され、そうした日々の中に埋め込まれていた、忘れ去られていた自身の想い出、例えば幼馴染と遊んだこと、ビー玉やメンコ、近所の神社の境内、学校でのエピソードなど、が鮮やかに蘇ってきた。

    そうした記憶を呼び戻す「鍵」がこの小説の随所に散りばめられていて、何とも『鼻の奥がツンとする』感覚に何度も襲われた。

    巻末の和辻哲郎の解説には、中勘助の稀有な文体表現を評して、以下のように記されている。

    「『銀の匙』には不思議なほどあざやかに子供の世界が描かれている。しかもそれは大人の見た子供の世界でもなければ、また大人の体験の内に回想せられた子供時代の記憶というごときものでもない。それはまさしく子供の体験した子供の世界である。子供の体験を子供の体験としてこれほど真実に描きうる人は、実際他に見たことがない。」

    では、なぜ中勘助のみにそれが出来たのか、については、松岡正剛の千夜千冊から。
    「こういう芸当が中勘助にできたということは、尋常ではない。ここには書かないが、当然に中勘助の生涯や生き方に関係がある。が、もし、そのような生き方を越えてもこのような散文を書く者がいるとすれば、それは真に「文芸の幼年性」に到達した者であるだろう。」

  • "灘高で1年間かけて読み費やす授業"
    このフレーズだけにとらわれて読みました。
    昔と呼べる時代の話で、背景・文化・言葉など現代とは大きく違うものの、少年の核なる心がしっかりと存在するままでの心情的変化と成長は、懐かしくも心苦しくもあった。
    この作品を題材に1年間学ぶというのを素晴らしいと感じた。

  • 四季折々の描写が美しくて心が洗われました。なんとなく、春はあけぼの…の枕草子を思い出した。子供の目を通して見る世界は色鮮やかで驚きに満ちていて、一日一日が輝いていた。もうほとんど忘れてしまったけど、確かに自分もこんな世界で生きていた…と、しみじみ読みました。
    病弱で、あかんたれで、感受性豊かすぎる主人公を、優しく見守る叔母さんの愛情に心打たれた。また、お国さん、お蕙ちゃん、友達の姉様という3人の女の子たちに対する淡い恋心のような描写も微笑ましくてよかった。
    特に何が起こるわけでもなく、少年の日を淡々とつづった物語ですが、日本語の美しさを堪能できる一冊でした。

  • 夏目漱石がその才覚を見出した中勘助。「銀の匙」は□□の17歳までの体験と内面を描いた小説である。題名でもある「銀の匙」が登場する棚の描写に代表される、心情の機微やきめ細かい描写が柔らかく美しい。純文学が持つ日本語の持つ品性や語感を楽しむ小説である。

  • 誰もが持っている記憶の中の少年時代を、美しい文章で蘇らせてくれる一冊。何度か読み返しているが、その度に、ある種の清涼感を心に与えてくれる。

  • 子どもの頃の何気ない経験は、大人になってから色々と意味を見出だすことが多いけれど、そんなことを思い出させてくれる一冊。
    風景も心情もとにかく美しい本です。
    心の洗濯をしたい方は、ぜひ。

  • 一人の女性のこの上ない優しさは、少年の心の中でやがて結晶になりました。
    愛らしいオノマトペと無垢な眼差しに癒やされます。幼い頃の感性を大人になってもなお自然体で表現できるのは、やはり伯母さんの影響でしょうか。
    成長につれて繊細さを持てあます後篇は、朗らかな前篇との色調の変化にドキリとします。
    隣に住むお蕙ちゃんの仕草が何ともかわいらしい。
    大きくなった甥っ子が会いに来た時の伯母さんの喜びように泣けました。

  •  綺麗な日本語といえばこれ。心洗われたいときに読んでる。
     読んでると色と風と味と人の温かさが見えてくる。

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