銀の匙 (岩波文庫)

著者 :
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感想 : 347
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003105115

感想・レビュー・書評

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  • 読み始めると読み耽ってしまう幼少期の細かく綺麗な心理描写。
    いま咲くばかり薫をふくんでふくらんでる牡丹の蕾がこそぐるほどの蝶の羽風にさえほころびるように、ふたりの友情はやがてうちとけてむつびあうようになった。

    私はまた唱歌が大好きだった。これも兄のいる時には歌うことを許されなかったのでその留守のまをぬすんでは、ことに晴れた夜など澄みわたる月の面をじっと見つめながら静な静な歌をうたうといつか涙が瞼にたまって月からちかちかと後光がさしはじめる。

  • 明治期の日本の様子を垣間見ることができる。素朴で美しい日本語と文化。

  • 1935年、およそ100年くらい前に岩波文庫から出版された本です。どこでこの本の情報を手に入れたのか?もう定かではありませんが、1930年代のこの国の原風景をとても細やかに描写していて当時の日本の文化や空気に触れられた気がしました。
    ちょっと繊細で弱虫な少年の幼少期の成長譚なんですが、読むほどに情景が浮かんでは消えて、泣き虫少年の胸の内に湧き出す喜怒哀楽がとても芳醇な描写や表現で綴られていて日本語自体の響きの柔らかさ、語彙の豊かさを感じます。
    本作のように主人公が日常で感じる悲喜こもごもの心理描写を詳細に描いた物語って、読んでいてカズオイシグロ先生の「私を離さないで」を思い出しました。物語ではなく、少年期の日常エピソード集って作りです。読んでいて面白さもありますが、なんか「ほわっ」となる読後感です。

  • 1915年(大正4年)。
    懐かしい思い出を閉じ込めた宝箱のような本。少し切なく、限りなく優しい。他愛のないエピソードが、たおやかな美しい日本語で綴られている。

  • 中勘助の幼少期からの回顧録。物語を読めば分かるが、様々なことを経験し成長していく姿が美しい日本語で描かれている作品。

  • "灘高で1年間かけて読み費やす授業"
    このフレーズだけにとらわれて読みました。
    昔と呼べる時代の話で、背景・文化・言葉など現代とは大きく違うものの、少年の核なる心がしっかりと存在するままでの心情的変化と成長は、懐かしくも心苦しくもあった。
    この作品を題材に1年間学ぶというのを素晴らしいと感じた。

  • 子供の頃の思い出を子供そのままの瑞々しい感性で綴った私小説。病弱な幼少時代の前編と就学後の後編からなるが、いずれも人見知りで感受性豊かな筆者の体験は何処か懐かしい。毎年読み返すたびに「すべてのものはみな若く楽しくいきいきとして、憎むべきものはひとつもない。」そんな風景が当たり前であった過去を思い出し、大人になって失ったものの大きさを振り返る。

  • 伯母さんの愛情。
    子供の頃を子供のままで描いた作品みたいだ。
    ちょっと味わうには難しかったけど...
    国語の授業の方も読もっと

  • 文章はそこらの小説よりもいいと思う。でも、同じような話ばかりで最後まで読む気がなくなってしまった。
    少なくとも、僕とは相性の良くない小説だったと思う。

  • 夏目漱石が絶賛し、1913年、1915年に東京朝日新聞に掲載された中勘助の自伝的小説。主人公が子供の頃の生活を回想する形で書かれています。当然、作者が大人になってから書かれた作品ですが、感受性豊かな幼少期のことが生き生きと描かれています。読み始めた時は、独特の日本語の言い回しや使い方に少し苦労するのですが、慣れてくると突然目の前が開けたように様々な情景が目に浮かぶようになります。この本は、読む年齢や読まれる時代によって、ぜんぜん違った印象をあたえると思います。

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著者プロフィール

1885年、東京に生まれる。小説家、詩人。東京大学国文学科卒業。夏目漱石に師事。漱石の推薦で『銀の匙』を『東京朝日新聞』に連載。主な著作に小説『提婆達多』『犬』、詩集に『琅玕』『飛鳥』などがある。

「2019年 『銀の匙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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