猫町 他十七篇 (岩波文庫)

著者 :
制作 : 清岡 卓行 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 559
レビュー : 70
  • Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003106235

作品紹介・あらすじ

東京から北越の温泉に出かけた「私」は、ふとしたことから、「繁華な美しい町」に足を踏みいれる。すると、そこに突如人間の姿をした猫の大集団が…。詩集『青猫』の感覚と詩情をもって書かれたこの「猫町」(1935)をはじめ、幼想風の短篇、散文詩、随筆18篇を収録。前衛詩人としての朔太郎(1886‐1942)の面目が遺憾なく発揮された小品集。

感想・レビュー・書評

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  • 萩原朔太郎は、普通なら文章に表せないような曖昧な感覚を掬い上げるのがほんとうに上手な人だ。
    「月に吠える」の序で彼は次のように述べていた。
    「詩とは感情の神経を掴んだものである。生きて働く心理学である。すべてのよい叙情詩には、理屈や言葉で説明することの出来ない一種の美感が伴ふ。これを詩のにほひといふ。」
    彼の散文にも同じ「詩のにほひ」が漂っている。感覚の芯のところをしっかりと掴んでそれを言葉にできる、これが詩人の力なのだなぁ。

    以下に気に入ったものを取り上げてみる。
    「群衆の中に居て」
    中学生の頃に一度読んだことがあったのだが、上京して初めてこの作品の意味するところを諒解した気がする。人が本当に孤独を感じるのは一人きりの時ではなく、街でたくさんの他人に囲まれている時だ。とはよく聞く話だ。都会の群衆の中には孤独がある。その孤独の素晴らしさや楽しさをここまで上手く表現してくれた朔太郎には喝采を送りたい。
    「虫」
    鉄筋コンクリートという単語の「本当の意味」を探す。実は私もたまにこのようなことを考えてしまうのだが、これって異常なのだろうか?芥川龍之介「歯車」梶井基次郎「檸檬」と並んで、精神状態が悪いときの私が共感する短編の一つ(笑)
    「詩人の死ぬや悲し」
    「著作?名声?そんなものが何になる!」と芥川龍之介。一方、「余は祖国に対する義務を果たした。」と満足して死んだネルソン。このネルソンの臨終の言葉は有名だけれど、聞くたびに私は心の中でかすかな反発を覚えていた。そのもやもやの正体がここにきてはっきりした。欺瞞だ。


    萩原朔太郎。感性の塊みたいな男だ。

  • 「坂」
    「老年と人生」

    とりあえず中年までは頑張って生きてみるか、という気持ちになった。

  • 詩人である萩原朔太郎による詩以外の代表的な作品を色々集めた短編集。玉石混合という印象が残った。やはり萩原朔太郎は詩を詠むに限る。短編小説の「猫町」は巻末の解説でも詳しく取り上げられていたが、いわれるほど名作とは思わなかった。解説で比較として取り上げられている「古き魔術」は機会があれば読んでみようと思う。

  • 詩はちょっと苦手なので、小説から朔太郎初挑戦。
    『猫町』の幻想味は勿論すばらしいのですが、あまりに「方向音痴あるある」過ぎて笑ってしまった。面白い。
    十三編の散文詩はどれもエッセイとしてもショートショートとしても読める面白さ。(散文詩の定義がよく分かってないのですが、足穂っぽいのもあって好みです……ってひょっとして足穂もあれは散文詩なのか……ショートショートだと思って生きてきた……)そして随筆二編。
    これらは朔太郎の後半生の作品集なので、最盛期の詩集などとはまた手触りの違う作品なのでしょうが、解説で各作品が書かれた当時の朔太郎の状況などの説明がされてて、そんなにページ数のない(薄い)本の割に大変内容の充実した一冊でした。

    解説で触れられてたブラックウッドの「古き魔術」読んだことありますが、「猫町」読んでる最中、これを思い出すことはなかったなぁ……町が猫で溢れかえるモチーフは似てますが、主人公と猫の距離感が、ブラックウッドと朔太郎では違う気がしましたよ。

  • 草津へのお供に。

  • 2016年5月の課題本です。
    5月22日(日)に開催いたします。

    http://www.nekomachi-club.com/schedule/32913

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    東京から北越の温泉に出かけた「私」は、ふとしたことから、「繁華な美しい町」に足を踏みいれる。すると、そこに突如人間の姿をした猫の大集団が…。詩集『青猫』の感覚と詩情をもって書かれたこの「猫町」(1935)をはじめ、幼想風の短篇、散文詩、随筆18篇を収録。前衛詩人としての朔太郎(1886‐1942)の面目が遺憾なく発揮された小品集。
    (「BOOK」データベースより)

  •  視点で世界は変わるということ。

    そう思うと、この世界は一つだけではないように思える。

    自分がそう認識しているだけで、見方によって世界はその表情を変えていく。
    異なるものと変容していく。

    絶対的なものなどない。

    恐ろしくあり、不可解な世界。

  • 「猫町」の「千と千尋の神隠し」っぽい雰囲気すき。

  • 猫町、タイトルで思わず買ってしまった一冊。学の乏しい私には難しく理解するのに時間がかかってしまった。やっぱりまだ詩というものは理解しがたい。だが「猫町」や「ウォーソン夫人」等の短編小説は好きな部類かもしれない。

  • 夢か現実なのか判然としない幻想的な『猫町』。
    恐ろしいような美しいような…。

    正直、散文詩とか随筆の定義がイマイチよくわかっていないのだけど、ちょっとした短編小説みたいな感じで読めたので読みやすかった。
    『虫』は月に吠えらんねえの二巻で言ってたのはこれかぁと思って少し感動。しかし鉄筋コンクリートをこんなに考え回せるところがやっぱすごいとこなんだろうなぁと。
    『自殺の恐ろしさ』は確かにこう思うことがあり、考えるに恐ろしいことだと思う。
    『老年と人生』も同じようによく考える。
    あまりに似た考えなので、私ももっと年をとれば今思い悩んでいることから少しは解き放たれて生きやすくなれるのだろうかと少し期待しつつやはり老いることは寂しくもある。

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著者プロフィール

萩原朔太郎(はぎわらさくたろう)1886年~1942年。日本近代最大の詩人。生前に発表された詩集は『月に吠える』『蝶を夢む』『青猫』『純情小曲集』『萩原朔太郎詩集』『氷島』『定本青猫』『宿命』。他に詩論『詩の原理』、アフォリズム集など多数。

「2013年 『宿命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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