父帰る・藤十郎の恋――菊池寛戯曲集 (岩波文庫)

著者 :
制作 : 石割 透 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 86
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003106341

作品紹介・あらすじ

菊池寛の文学の特質は、その戯曲に最もよく窺える。全戯曲から、時代物、現代物を発表年代などを考慮しながら、代表的な作品12篇を精選・収録した。登場人物たちの明確な姿かたち、生き生きとした台詞とそのやり取り、単純ながら理詰めの劇の構成、作者による人間心理の的確な洞察は、今なお新鮮であり、読者の心に直に訴えかける。

感想・レビュー・書評

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  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/701575

  • 別途、小説も読んでいるので、ストーリーがすっと入ってくる。
    正直、小説を読んでいる感じと大きな違いが感じられず、それは良い意味で、菊池寛の小説がとても分かり易く、動的であるからかもしれない。
    短いストーリーの中に、人間の情、義、等々、心に訴えかけるものを、サラッと忍ばせているところが心地よい。

  • 父帰るのみ
    会話形式で、その場にいるかのような臨場感がある。
    賢一郎の気持ちも新ニ郎の気持ちもどちらもよく分かる。

  • 会話形式で読みやすく、映像が目に浮かぶようだった

  •  菊池寛は戯曲の形でも抜群のストーリーテラーです。
     小説の形でも発表している、藤十郎の恋・敵討以上(恩讐の彼方に)・入れ札のほかに、精神薄弱の兄にとってまともな人間に戻るほうがよほど不幸ではないかとシニカルに指摘し今では放送禁止用語が散りばめられた’’屋上の狂人’’、坊主どもの禁犯を唯物主義を逆手にとって趣深く諫めた’’奇蹟’’、家族不幸の父を拒絶する長男とそれでも家族であるが故の絆を押し出した’’父帰る’’、明治維新直前に勤王に就くか佐幕に就くかで家族内や婿候補との意見が割れた様を巧みに描いた’’時勢は移る’’、知恵の足りない腕自慢がかえって不幸を招くという訓話’’岩見重太郎’’、逃げ延びる際に楊貴妃が死を選んだ理由と玄宗皇帝の心境をひねてとらえた’’玄宗の心持’’、ストーカー遠藤盛遠を罠にかけ誤って殺される袈裟夫人に対する夫渡辺渡の複雑な男心を描写した’’袈裟の良人’’、美人のプライドを愉快に書き表した’’小野小町’’、そして、今時の感覚だと夫が妻を殴って普通な描写に面食らいはしたけど夫婦喧嘩は犬も食わぬを取り上げた’’時の氏神’’、どれもこれもオーヘンリー並みのニヤリが続きます。不当に評価が低いのはもったいない

  • 戯曲化された小説を読むのは初めてで新鮮だった 
    劇なだけあってストーリーのテンポがいい 

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著者プロフィール

1888年生まれ、1948年没。小説家、劇作家、ジャーナリスト。実業家としても文藝春秋社を興し、芥川賞、直木賞、菊池寛賞の創設に携わる。戯曲『父帰る』が舞台化をきっかけに絶賛され、本作は菊池を代表する作品となった。その後、面白さと平易さを重視した新聞小説『真珠夫人』などが成功をおさめる一方、鋭いジャーナリスト感覚から「文藝春秋」を創刊。文芸家協会会長等を務め、文壇の大御所と呼ばれた。

「2023年 『芥川龍之介・菊池寛共訳 完全版 アリス物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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