出家とその弟子 (岩波文庫)

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レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003106716

感想・レビュー・書評

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  • 非常に有名な戯曲作品だが、これまで読んだことがなかったのは、戯曲自体がさほど好きではないためと、宗教がテーマになっているのでつい敬遠してしまったためかもしれない。
    しかしこれは日本文学が誇るべき傑作だった。誰もが読んでおくべき本である。
    親鸞が登場し、一応浄土真宗の思想をベースにしているが、厳密に史実を追っている訳でもないし、浄土真宗を専門的に解説しているわけでもない。どうやら、この作品での親鸞の思想は、仏教とキリスト教が混ざり合ったような、一種の普遍的な「宗教」イメージである。その点、仏訳版に際しロマン・ロランが書いてある通りだ。
    しかも宗教のドグマを一方的に示してくるわけではない。市井の人間のさまざまな悩みを普遍的なかたちで扱いながら、まさに「生きた」思想を生み出そうとしている。
    感動的である。
    最後の最後に至っても、親鸞の息子は信仰を拒否するが、そうしたすべての現実を認めつつ、親鸞は「それでよい。みな助かっておる」と微笑んで死んでゆく。意外で深みのあるラストだ。
    この本は人生について考え始める若い頃に読んでおくべきだったかもしれないが、大半の人物が口をそろえて「寂しい、寂しい」とつぶやいているその心情は、私はこの年齢(42歳)にしてようやく身につまされたのかもしれない。
    これを書いた作者は当時27歳。日本文学の奇跡のような作品である。

  • 親鸞の教えを独創的に解釈。キリスト教の味付け。ロマン・ロランが感動してフランス語版の序文を書いたという。他力本願、悪人正機、

    古い本かつ戯曲で、読みにくいと思ったが、実際はスルスルと読めて面白い。

    ・信心に証拠はない。証拠を求めるのは信じているとは言わない。
    ・南無阿弥陀仏、愛しなさい、許しなさい、悲しみを耐え忍びなさい、業の催しに苦しみなさい、運命を直視しなさい。
    ・浄土門の信心は在家のままの信心。商人は商人、猟師は猟師のままの信心。
    ・学のあるなしは信仰とは関係ない。悲しみと、愛とに感ずる心さえあれば。

  • お悩み即解決!一問一答!というわけではなくそこが面白いところだと思った

  • 心が洗われます。何度も読み返したい

  • 救い難い極悪人であると自覚して生きていく親鸞に共感。
    ここまでストイックに信じることが出来るか、今、自分自身を試したい。

  • 初めて読んだのは高校生のときだった。圧倒されるような感動を覚えた本。その後も、何度か読み直しているんだけど、今回読んでみて、やはり心に食い込むものがありました。圧倒されるような・・というのとは違う印象になったんだけど、心洗われるような。それぞれの人物の想いがすごくすんなりと読者に伝わってくる。

    ずれちゃうんだけど、ここのレビュー見てたら、カラマーゾフのゾシマ長老とアリョーシャみたいな。。というのがあって、この本を読む前に、またカラマーゾフを読み終えたところだったので、私ってこういう路線?がすごい好みなんだろうか。。とか思ってしまったー。こうなんていうか、ぐいぐいぐいぐいと突き詰めていく感じが好きなのかもー。

  • 心の葛藤の描き方が優れている。
    カラマゾフの兄弟を思い起こさせる。

    親鸞という人間像 そして 唯丹。
    そこはかとなく人を愛することに徹する。
    すべてを許すという立場は、
    複雑な迷いと悩みのうえにあり、
    超越しきっていないところが ステキだ。

    善鸞という人間像
    苦難の道を つねに 意識しているかいないのかわからないが
    選び、進もうとする。

  •  浄土真宗の祖である親鸞とその弟子である唯円の苦悩を軸に、人間が向き合わねばならない様々な業や哀しみやその救いを描いている。自分も読んでいて色々と考えてしまった。
     唯円は純真な心を持った遊女に恋をし、仏法と恋との間で悩み苦しむ。師である親鸞も義絶した息子に対して葛藤を抱えている。この作品の親鸞は決して完全無欠な人物ではなく、非常に多くの悩みを抱えたひとりの人間として描かれている。それがこの作品を奥深いものにしている。
     最近はビジネス書ばかり読んでいたから、たまにはこういう本も読みたい。

  • 親鸞の後半生を、弟子の唯円の視点から綴った戯曲。20世紀初頭にあって、浄土真宗の教えとキリスト教的慈愛と赦しとが通ずることを見抜いていた倉田百三の慧眼に感服します。

    親鸞の教えは、とても純情です。

    印象的だったのは恋愛に関する箇所。親鸞と唯円とのやりとりは、現代人の感覚でいえばウブだと思われるかもしれません。でも「何人も異性と関係を持った方が、経験値が上がる」とか「童貞乙www」なんてうそぶく人間よりも、親鸞や唯円はよほど愛について真剣で本質的なのだと思います。

    ほんの200ページだけど、仕事や恋愛、親子関係や死など、言及されるテーマはとても広いです。まっすぐさ、純情さに胸を打たれました。

  • 厳しい物語だ。
    生きることも、残ることも逝くことも。
    否とも是とも言わぬラストの言葉をどうとらえるのか。
    それがすべてだろう。
    キリスト教では是でなければならず、浄土真宗では・・・・ふうむ。深い。

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プロフィール

1891年広島県生まれ。旧制第一高等学校を病気のため中退。大正期の人道主義的文学を代表する。1943年没。著書に『出家とその弟子』『愛と認識との出発』『絶対的生活』など多数。

「2018年 『新版  法然と親鸞の信仰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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