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- Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003106945
作品紹介・あらすじ
小説家であり文芸批評家である広津和郎が、芥川龍之介・近松秋江・菊池寛・志賀直哉ら、同時代に活躍した作家たちの風貌と時代の空気を生き生きと描き出した作品集。
感想・レビュー・書評
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小説家であり評論家でもある著者が、交流のあったさまざまな作家たちの横顔を記した作品です。
本書に登場する作家たちは、芥川龍之介、宇野浩二、近松秋江、島村抱月、田山花袋、菊池寛、正宗白鳥、志賀直哉などです。「あの時代―芥川と宇野」と題されたエッセイは、狂気の淵に足を入れながらも作品を書きつづけた宇野と、狂気にロマンティシズムを見ようとし、最後は自殺することになった芥川の両者および著者との交流が回想されるとともに、宇野と芥川への友情と醒めた批評眼が同居しています。
また、著者とともに「奇跡派」と呼ばれた葛西善蔵、相馬泰三についての思い出では、とくに相馬のエキセントリックな振る舞いに困惑させられる著者と、そんな彼らのかかわりを外部から見ていた人びとのいだく感想とのへだたりがおもしろく感じられます。宇野浩二は「『奇跡』の連中は面白い。めいめい道場を持っているから」といい、正宗白鳥には「君たちの交友関係は一体どういうものなのですか」とたずねられたことが紹介され、著者自身は白樺派の微温的な交友関係にうらやましさを感じていたことが率直に表明されています。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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