河童 他二篇 (岩波文庫)

著者 : 芥川竜之介
  • 岩波書店 (2003年10月17日発売)
3.63
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  • Amazon.co.jp ・本 (138ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003107034

河童 他二篇 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • いつか上高地に行ってみたいと思っています。
    その上高地を舞台にした小説といえば、芥川竜之介の「河童」。
    河童の国での生活が、ある精神病患者によって語られます。

    上高地から穂高山への道を辿る途中に出会った1匹の河童を追いかけ穴に落ち、男が着いたところは河童の国でした。
    男の目から、人間の社会とは真逆の河童の世界を見ながら、はじめは面白がる気持ちで読んでいたのですが、だんだん眉間にしわが寄って、どんよりしたものが自分の中に立ちこめてきました。
    特に、テクノロジーの発達で工場を解雇された河童は、安定した社会のために毒ガスで殺され、その肉は食用となる…のあたりでは、冷や汗が…。
    河童の世界を通して見えてきた人間の世界…うむ、笑えない…。
    本作にこめられた批判と皮肉の中には、よくわからなかったものもあるので、再読したいです。

    他2篇の「蜃気楼」「三つの窓」もどこか不穏な気配が漂い、落ち着かない気持ちにさせられます。
    でもその不穏さを味わいたいと思う自分もいて…。

  • 「河童」は河童の世界の物語。高度な風刺なんだろうなと思いつつ、何を意味しているのかはいまいち分からなかった。他の作品と比べると巧みな表現というのは少なかったかな。自分の感受性が乏しいだけなんだろうけど、、、

  • まさか芥川自殺前の作品だったとは。
    異世界トリップ? ものだというのに、主人公の順応性の早さが、ものすごーく早かった。

  • 正直、表題作はよく分からなかった。『蜃気楼』はいい。丁寧な生活描写。透き通った空気の匂いがする。作者自身の今後もちらついていてぞっとするではないか。『3つの窓』の方は、その世界にいなけりゃ分からない閉鎖された人間社会独特の空気が読み取れる。誰もその場に居なけりゃ本当のことなんて分からないのだ。

  • 大好きな芥川の晩年の作品。
    命日が河童忌といわれるくらいだから、読んどこうと。
    まあ、発狂した人が書いたと言われれば、そうだよね、という感じ。
    政治家を動かしてるのが誰々の奥さん、みたいな文章は面白かった。

  • 不思議の国アリスを連想します。河童の国に転がり込み、河童の国のルールに混乱しつつも、いつしかなじんでいることに気付かず、人間の国に帰りたいと願い、戻ってきたら、自分は狂人扱いにされている。アリスは夢から目覚めまた退屈だなと思う毎日の暮らしに戻って行き、大人になって冒険談を忘れてしまうのだろうといったその先を予測できるのですが。

  • 河童について。物語としてはとても面白かったが、読む前に聞いていた人間社会の風刺とはそこまで強く結びつかなかった。私が現代に生きているから?感受性が足りないから?だが相変わらずアフォリズムの宝庫だった。彼の中でベスト3に入る作品かもしれない。蜃気楼について。解説を読むまですんなりと理解できなかった。これを楽しめるようになると彼を語れるのか。三つの窓について。これぞ短編というでき。体にしみこむような悲壮感が漂う。全てにおいての解説が読みやすかった。

  •  まず、題名のとなりに「どうかKappaと発音して下さい。」と記載されていることに笑ってしまった。けれど、物語を読み進めるうちに、この一文がわざわざ題名の横に添えられている意味に気づくこととなる。

     河童の国に迷いこみ、そのまましばらく河童とともに暮らしたと話す男は、とある精神病院の患者である。巻末の吉田精一氏の解説によれば、この狂人は芥川自身を写しとったものであるらしい。しかしこの男、とても精神病患者とは思えない。その話しぶりは快活、かつ論理的で、話の内容が河童の国でないかぎりは、いたって普通の青年なのである。

     彼はなんの矛盾もなく、河童の生態や文化、経済などを語る。彼は流暢に河童の言葉を話す(小説では、河童の言葉はアルファベットで表記されており、題名の隣に添えられたあの一文は、この男の発言であることがわかる)。河童の国は、人間社会における正常異常の判別基準、善悪の観念がなかば反転してしまった世界である。河童の国をとおして、人間社会を諷刺する、あるいは自身をとり巻き責めたてる環境や人々を批判する。そしてまた、人間社会に適応できない自分自身への嫌悪感や、彼の「正常」「普通」「平凡」への羨望も端々に姿をあらわす。

     話の筋はユーモアに満ちているのに、悲しくてさみしい。読者にえもいえぬ不思議な感覚を残して、そうそうに幕は下りてしまう。その捉えどころのなさが、この作品の魅力だろうか。

  • 龍之介が既に薬物依存症になった頃の作品だが、「河童」は社会風刺などを別にファンタジーとして読むのも楽しい。当時のお洒落小説風「蜃気楼」はともかく、「三つの窓」は意味不明で理解できなかった。

  • 展示中 2014.9~

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