奉教人の死,煙草と悪魔 他11篇 (岩波文庫 緑 70-5)

著者 :
  • 岩波書店
3.61
  • (7)
  • (9)
  • (19)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 110
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003107058

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 数十年ぶりに再読。やっぱり面白い芥川本。
    深く掘れば掘るほどに底無しだが、
    つっこみどころ多く、吹き出すところも多し(超失礼)
    ”奇跡”って”奇怪な跡”よねぇ、、(あはは、失礼)
    ”神神の微笑”は真骨頂
    いろんな物語、最近では”沈黙”とか映画化して記憶に新しい
    そこかしこで語られる日本の特異性というか(微苦笑)
    なんせ、真面目で真摯な外国産宗教人の苦悩
    ばてれんも転ぶ沼

    >オルガンティノは呻き呻き
    >そろそろ祭壇の後を離れた。
    >あの幻にどんな意味があるか、

    >「この国の霊と戦うのは、
     思ったよりもっと困難らしい。
     勝つか、それともまた負けるか、・・・」

    こんな考えなのが、そもそもなのよね。

    オルガンティノは言う
    >「今日などはサムライが二、三人、
     一度に御教に帰依しましたよ。」
    老人は言う
    >「それは何人でも帰依するでしょう。
     唯帰依したということだけならば、
     この国の土人は大部分
     悉達多(シッダルタ)の教えに帰依しています。
     しかし我我の力というのは、
     破壊する力ではありません。
     造り変える力なのです。」

    そう、表向き
    帰依も信心もこなす、しかし
    ある意味正しく、ジャパニナイズドなしで
    ”理解”しているかというと、そうではない
    そうではないのだった、、、
    というところの、面白さがこってりつまってる
    芥川ばてれん本、久々に読むと
    若い頃よりも、しみじみと尊かった

  • 表題となっている『煙草と悪魔』の話しは聞いたことがあった。学生の時に聞いて、なんとなく記憶の片隅に残っていたのだが、誰が書いた話かまでは残っていなかったのでこの一冊を見つけたときは運命を感じた。こういうとなんとも軽い言葉に聞こえそうだが、本当にあのときは買わなければならないとある種、使命感みたいな感情があったと思う。
    うん、そうだ。これだ。
    懐かしい。

  • 「煙草と悪魔」なるほど煙草は悪魔のもたらしたもの…。最後に果心居士で八雲が出てくるとは思わなかった。
    「尾形了斎覚え書」死んだと思った娘がキリスト教の奇跡で生き返ったという話を医者の覚書風で描いたもの。年代設定、いつなんだ…?
    「さまよえる猶太人」キリストの呪いを背負ったユダヤ人伝説について。
    「奉教人の死」美少年は実は美少女だった…!!一瞬BL展開になるかと思ったけれどならなかった…百合にもならなかった…。それにしても何故誰も気づかなかったのか。
    「るしへる」悪魔は人の姿をしているものなのだよ。
    「きりしとほろ上人伝」なんか童話とかにありそうな感じ。
    「じゅりあの・吉助」殉教者の話。
    「神神の微笑」日本人、なんでも魔改造…いや日本流にしてしまうから…
    「報恩記」
    「おぎん」キリスト教を持ち上げるとみせかけて叩き落としてきた。実の親がパライソにいけないなら棄教して私も地獄へ、とか私が死ぬのは信仰ではなく夫のため、とかすごい皮肉
    「おしの」布教もやりすぎると逆効果
    「糸女覚え書」めちゃくちゃガラシャ嫌な感じじゃない???侍女たちに嫌われてない???
    「誘惑」これを書いている時の芥川がめちゃくちゃ心配になる

  • 奉教人の死・煙草と悪魔 他11篇
    (和書)2010年05月06日 23:34
    1991 岩波書店 芥川 龍之介


    芥川竜之介の切支丹もの。新潮文庫で読んだけど、岩波で読み直してみました。何回読んでも面白いです。

    アーメン。

  • 「神神の微笑」1/31


    「奉教人の死」;1月か12月(***)

    「報恩記」 4/3 (**)

  • キリシタン、宗教的な物語の短編集。

    懐疑ー喜劇or悲劇 
    ユーモアもあり、鋭い観察眼で書かれた深い内容になっている。

  • 芥川龍之介の切支丹モノ。言葉の使い方やストーリーが、異国趣味と当時の時代趣味と今読むことによる大正浪漫的なもろもろが混じり合って、エキゾチックというかなんというか。独特の技巧的な短編集でした。平仮名でじゅりあの、とかはむしろ萌え?

  • 芥川さんの切支丹もの、好き。

  • 収録:「煙草と悪魔」「尾形了斎覚え書」「さまよえる猶太人」「奉教人の死」「るしへる」「きりしとほろ上人伝」「じゅりあの・吉助」「神神の微笑」「報恩記」「おぎん」「おしの」「糸女覚え書」「誘惑」

  • 彼の切支丹モノは迫力があってよい。「さまよえる猶太人」「南京の基督」がゾッとして好きだ。

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1892年(明治25)3月1日東京生れ。日本の小説家。東京帝大大学中から創作を始める。作品の多くは短編小説である。『芋粥』『藪の中』『地獄変』など古典から題材を取ったものが多い。また、『蜘蛛の糸』『杜子春』など児童向け作品も書いている。1927年(昭和2)7月24日没。

「2021年 『芥川龍之介大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

芥川龍之介の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三島由紀夫
フランツ・カフカ
谷崎潤一郎
ヘミングウェイ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×