葉山嘉樹短篇集 (岩波文庫 緑72-3)

  • 岩波書店 (2021年5月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (360ページ) / ISBN・EAN: 9784003107232

作品紹介・あらすじ

葉山嘉樹(1894—1945)は、長篇『海に生くる人々』で知られているが、短篇小説でその本領を発揮した。葉山は虐げられた弱者、庶民、労働者を丹念に描き続けた。そこには、当時の日本文学が掬い切れなかった人間の破滅への衝動、思索的な内面性、文体・表現の斬新さ…、まったく独自の世界がある。 全短篇から、新編集により精選。葉山文学の真面目が初めて立ち上がる。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

人間の内面や社会の厳しさを深く掘り下げた短篇集は、特に労働者や弱者の視点から描かれるリアルな生活が印象的です。著者は、極端な過酷さを持つ労働環境を背景に、登場人物たちの心情や生き様を巧みに表現していま...

感想・レビュー・書評

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  •  独特な、というよりはグロテスクな比喩表現が印象的でした。極端に過酷な生活環境に置かれている赤貧労働者に焦点を当てた作品が多いです。作者の主義主張を全面に押し出したり背後にこっそり潜ませたりするのではなく、作者自身が労働者の視点に立ってリアルな生を描写することによって、下手に脚色するよりもリアリティを感じることができ、作品中の底辺労働者の存在自体を作者の主張とすることに成功しています。
     ですので、「万国の労働者よ、団結せよ!」的な露骨な赤の雰囲気を感じずに読む事ができると思います。

  • ふmじゅ

  • スゴイ。いい。私は好きです。

  • 初めてのプロレタリア文学。
    なるほど、戦後の日本を支えた労働者たちの視点から悲惨な労働環境が描かれている。
    この短編集を読んでいくにつれ、登場人物たちの背景が、貧富の差が広まりつつある現在の日本に住む人々と似てると感じ、ぞくっとした。

    お気に入り作品:
    ①セメントの中の手紙
    ページ数は短いが、インパクトのある作品。労災で亡くなった夫の妻の心情が、手紙という媒体を通じて描くことで、リアルに存分に現れている。

    ②猫の踊り
    人間を含む生き物が存在する理由を改めて実感させられた。どんなに辛い境遇に生きていても、将来の社会のために頑張って生きて行くのだ。
    「私は、石にかじりついても、泥棒をしても、人殺しをしても、子供たちを育てて、新らしい時代を生むために生きて行くのだ。」(ラストの文章より引用)

    ③安ホテルの一日
    語句解説を読む限り、葉山嘉樹本人の体験をもとに描かれているように感じる。生命とは何かを問いかける。最後のドストエフスキーのメタファーはよくわからなかった…また読み直したい。

  • 多くの短編が掲載されているが、共通しているのはとてもごみごみして暑苦しくて小汚くて異臭がする話であるというところ。臭いがきつい話は苦手です。

  • プロレタリア文学としては小林多喜二が著名だがこの方も同じジャンルに属している。しかし読んでいるとミステリー的な要素や労働者という枠を超えた生きていく上での連帯(其々どの様な作品かは読んでご確認いただきたい次第)を描いたりしており、そう単純なジャンル分けしては良く無い気がする。
    個人的には収録作品の前半の方が印象的だった。

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著者プロフィール

専門領域はドイツ文学・思想。1976年京都大学文学部独文科卒。79年同大学院修士課程修了。弘前大学を経て98年京都大学教授。2015年、京都大学定年退職。著書『ベンヤミン解読』『堕ちゆく者たちの反転--ベンヤミンの「非人間」によせて』、訳書『来たるべき哲学のプログラム』(ベンヤミン)、『アレゴリーとしての文学――バロック期のドイツ』(W・エムリッヒ)、共訳『フロイト全集』、編著『空吹く風・暗黒天使と小悪魔・愛と憎しみの傷に 田中英光デカダン作品集』など。


「2018年 『昭和期デカダン短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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