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Amazon.co.jp ・本 (339ページ) / ISBN・EAN: 9784003108147
みんなの感想まとめ
人間関係の微妙な感情の変化を描いた作品は、主人公の老いと家族との関わりを通じて、深い心理描写と自然描写が織り交ぜられています。主人公信吾が家族や嫁菊子との関係を見つめる中で、彼の心の動きや愛憐の情がほ...
感想・レビュー・書評
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本当に久しぶりに川端の本を読んだ。
日本的美意識といった形容の言葉に何となく違和感を感じて手にすることもしばらくなかったが、書店に積んであった本のカバーの「自身の老いを自覚する信吾。…外に女を持つ長男の嫁菊子に対する信吾の愛憐の情は、いつしかほのかな恋にも似た感情に変わってゆく。その微妙な心のひだをとらえた(略)」紹介文を見て、興味を覚え、手に取った。
まず感じたのは、こんなに簡潔で平易な文章だったのかということ。凝った修辞も殆ど使われず、淡々とした文章が続く。
60を超えた主人公信吾の目を通して、妻、女のいる長男、出戻りの長女とその子、長男の嫁など家族との関わりが描かれる。ある程度の波乱はあるが、ほとんどはちょっとした諍いや気持ちのすれ違いであり、そうした中で、信吾は、自分に対する嫁菊子の言葉や態度を見聞きして、いたいけな嫁に対して特別な感情を抱いていく。
一歩間違うと気持ち悪さを感じてしまう展開になるが、信吾の人間心理観察の精妙さ、そして折々に挟み込まれる効果的な自然描写が相まって、そうした気持ちになっていくのもごく自然に受け取れてしまう。
しみじみとした読後感であった。
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◆読書記録1冊目
◆No.034 -
裏表紙のコピーにある、「戦後文学の最高峰に位する名作である」という一文に釣られ、そんな本が中古で105円になっている訳がないと冷やかし半分で手に取ってみた本。ノーベル文学賞受賞者とは露知らず・・無知でした。これだから中古本巡りは止められない。
古い文字使いにさえ慣れてしまえれば、あとは非常に読みやすく、ただただ美しい日本語に圧倒されるだけである。戦争を見守った世代、体感した世代、知らない世代が一つ屋根の下に住み、生きている様が描き出されその感情の儚い移り変わりがリアルに再生される。本編ほどではないにせよ、山本健吉の解説も読み応えがあり、久々に出会った「文学」、そして「名作」であった。 -
「読書力」文庫百選
6.つい声に出して読みたくなる歯ごたえのある名文
→私(=齋藤先生)は菊子の美しい話し言葉が好きでした -
新幹線、新大阪・品川間、新横浜手前で。この版で読むのは二回目。
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ずっと浸っていたい美しい日本語が醜と美を描き出している。
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100506(m 100811)
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老いへの恐れや老醜への嫌悪を元として、老い枯れようとしている主人公の信吾とその家族を巡る話。息子修一の嫁である菊子の美しさ、ともすれば歪んだ想いも含めて。
また、戦争から直接来る悲しみでなく、人々に結果として残したものが書かれており、作中の主な登場人物としては唯一戦地に赴いていた修一の歪さ、戦争で夫を亡くした戦争未亡人たちの異質さは後に残るものがあると思う。
身を以て老いを知らないこと、戦争を見ていないことから、今の僕の視点からはすこしふわっと感じられた。
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