蟹工船 一九二八・三・一五 (岩波文庫 緑88-1)

  • 岩波書店 (2003年6月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (280ページ) / ISBN・EAN: 9784003108819

作品紹介・あらすじ

おい地獄さえぐんだで-函館から出港する漁夫の方言に始まる「蟹工船」。小樽署の壁の日本共産党万歳! の落書に終わる「三・一五」。小林多喜二(1903-1933)25歳のときの2作は、地方性と党派性にもかかわらず思想評価をのりこえプロレタリア文学の古典となった。搾取と労働、組織と個人。歴史は未だ答えず。[解説=蔵原惟人]

みんなの感想まとめ

労働者階級の過酷な現実と資本家との関係を描いたこの作品は、時代を超えてもなお響くテーマを持っています。政府と資本家の癒着による搾取の構図は、現代日本においても変わらず存在していると感じさせられます。資...

感想・レビュー・書評

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  • 政府と癒着した資本家に搾取される労働者階級。
    労働環境が改善されているとは言え、この構図は現代の日本でも本質的には変わっていない。
    政府側から見れば都合が悪い作品だったんだろうな、と言う感想を持った。

  • 現代でも、資本主義である以上は資本家の方が「賢く」「(フィジカル的には)効率よく」暮らせる。
    実務でがむしゃらに体や手やを動かす存在より、意思決定の主体になれば「成功者」と言われる。

    肝心なのはその成功者さんたちが、全体で見た時にいかに過酷な環境を強いることがないか。そうできないシステム(法律や規制)、そうさせない技術(AIやロボット)があるか。なのだろうと推測された。

  • 他人事ではない。

  • 今ではワークライフバランスとな….形を変えて

  • 歴史の教科書に登場する本ですので、気になってました。
    弱い者達が夕暮れ、更に弱い者達を叩くような劣悪な労働環境の描写を通して、名もない労働者たちの団結を焚き付けるかのような印象でした。
    短く、方言そのままで、臭そうな表現は、共産主義への共感と資本主義への反感を高めるための計算的思惑だったのかなとも思えて、当時はそういったところが言論弾圧される口実になったのでしょうか。


  • メモ
    ・独特な言い回しに苦戦
    ・資本主義と帝国主義の関係
    ・赤化が歴史で習ったようなマクロなレベルでなく、一人一人の労働者から見たミクロなレベルで描かれている(教科書で学ぶのとはやっぱりちがう)

    ・はじめは、皆同じように不満を抱いているのに、資本家に対して何も行動を起こせず、過酷な労働環境を受け入れ、病を抱えていく労働者たちに対してもどかしさを感じた。しかし、そのように思うのは私自身が「資本主義」と「社会主義」という枠組みを当然あり得るものとして認識、学習しているから。当時の労働者たちにはその知識が欠けていた。学びの大切さはここにあるなと。(→選択決定のプロセスに大きな影響)
     また、不満を抱く労働者のなかでもヒエラルキーが存在し、その異なる階層のうち複数が強調して動くときに集団は大きく動くことをストライキが示していた。同時に、社会運動の匿名性の重要度を労働者たちが身をもって経験する点に情報の流入を統制する政府の大きな力を実感した。

  • 蟹工船、こんなに短い作品なんですね!
    でも普段使わない言い回しや言葉に悪戦苦闘…

    とにかく泥臭く暗ーい…
    こんな底辺の働き方が、日本にもあったんだ…

    帝国/軍国主義に洗脳され、日本国万歳という気持ちから、反抗など考えても見なかった彼ら。
    それでも劣悪な環境下、”ちくしょう”という気持ちがどんどんつのる。労働者達が起こした行動とは。


    一九二八…は蟹工船より登場人物が明確で読みやすかった。ただ拷問の描写はキツかった…
    小樽であった赤狩りの事実をもとに書かれた作品。

  • 今の労働環境にも通じるところがある。本作中にでてくる台詞で、慣れこそが一番の弱点。既成概念を捨てろ!このフレーズが心の底まで鋭い矢になって突き刺さっている。

  • 「蟹工船」を再読。「一九二八・三・一五」初読。
    再読してもやはり面白い「蟹工船」である。絵づらが力強く、引き込まれる。
    冒頭の函館港の描写からしてしびれる。臨場感あふれる活写、煙の匂い、港の臭いも漂ってくる、イキのいい書き出しだ。
    そして、凍てつく最果ての北の海。オホーツク海。カムサツカ(カムチャツカ)の陸地がうっすらと遠望される沖合いでの操業。「兎が飛ぶ」、とされる時化の前触れ。「虐使」される男たちの、疲労、絶望。 
    だが、読後、少々の違和感を抱いてもいる。
    労働者達の悲惨な境遇を描く点で、ルポルタージュを読むような読み応えがある。
    だが、闘争のありようを描く場面に至っては、「労働者達よ、かく斗うべし」という労働運動の教科書の如きもの、情宣読物らしき印象を抱いた。舞台背景のリアリズムの一方で、物語の展開は、一種の“ファンタジー”に飛躍しているように感じられてならなかった。
    後世、ルポルタージュ、という手法が確立した。ルポルタージュに徹して「蟹工船」の労働を描く…、という型式で読みたかった、という我儘な読後感もある。

    「一九二八・三・一五」は、小樽と思われる北の街が舞台。件の日付、その深更。大勢の組合活動家らが、一網打尽に警察に連行される。検挙でなく、任意同行の形をとっているが、有無を言わせぬものである。
    凄惨な拷問の描写で知られるらしいが、私は、連行された活動家たちそれぞれの、様々な人物像が印象に残った。息子の活動におびえて日々涙する老母の姿に動揺する会社員。労働条件と生活改善を願って組合に合流しただけで、命を賭す程の覚悟は持っていなかった男の怯え、戸惑い。 
    信念を強く鍛えた者のみならず、そうした、弱き者の姿も描かれているのであった。
    それにしても、労働組合の成員に対して、かくも無法、無茶な暴力がなされていたことに、改めて驚かされる。

    「蟹工船」は、1929年の作。過日再読した「伊豆の踊子」とほぼ同時代に書かれたものである。一高生の甘酸っぱい青春と、表裏に重ねて受け止めると、感慨深い。 

  • 出勤前に読了。
    「一九二八・三・一五」が読みたくて岩波文庫で購入。
    買って良かった。

    「蟹工船」は2度目。1度目よりもどうにも身につまされる気がするのはきっと最近のわりと酷目な仕事の状況のせい。
    方言ゴリゴリの台詞を読むのに全く苦労がないのは私も北の方の出身だから。多喜二を読むようになってそっちの出身で良かったなって思った。違和感なく頭に入ってくるのは有難い。
    実は角川文庫版も持ってるので少し時間を置いて3度目にいこうと思う。

    肝心の「一九二八・三・一五」。わざわざ岩波で買った甲斐はあった。好き。
    拷問がまあ酷い。語彙力が貧相だからそれくらいしか言えないけれど本当に酷い。こんなことがまかり通るような時代が今とそれ程隔てなくあったという事実に戦慄する。
    時代がそうさせた、という感じがしなくもないけれどよくもまあこんな公権力と闘おうだなんて思えたな、と。そして闘えたな、と。

    やっぱり感想は得意じゃない。

  • 不当に検束され、歩くと目まいがするほど拷問をされて帰ってくると、渡は自分でも分るほど新鮮な階級的憎悪がムチムチと湧くのを意識した。その感情こそは、殊に渡たちの場合、マルクスやレーニンの理論を知って正義的な気持から運動に入ってきたインテルゲンチヤや学生などの夢にも持てないものだ、と思った。「理想から本当の憎悪が虱のように湧くかい!」


    作者が望みをかけた日本共産党も本意か不本意か政策もろくに出せない烏合の衆のような体たらく。世界的にみても共産主義自体が資本主義の前に鳴りを潜めざるを得ない状態で、共産主義という理想論の破綻もいまでは常識。結局、人間みんな自分が一番。みんな横並びでハッピーな世界なんて土台無理。

  • まったくもってつまらない。
    読書に何を求めるのか。
    私は単なる娯楽しか求めないので「教養」のためと思って読んだこの本は、苦痛以外何者でもなかった。

  • 難しい内容だったけど、割とあっという間に読めた。
    1920年代のこういった劣悪な環境での労働があたりまえのようになされていたのかと思うと、本当に悲惨で恐ろしい。蟹工船の中の、ムッとくる臭いや、糞壺の中で虱や南京虫に這回される夜、凍てつく寒さや船の揺れなどが生々しく感じた。
    いつか殺されるのではなく、今すでに少しずつ殺されているという表現が印象的。
    過去のものに思われるけど、どこか一部は現代日本にも通じるものがあると思った。
    そんな絶望の中でも労働者たちが皆で一致団結して共通の敵と立ち向かう姿が、希望に向けて諦めずに戦う強さや大切さを教えてもらえた気がする。

  • 「労働者は常に闘わなければならない」という大学時代の友人の言葉を思い出す

    労働問題の根底は今も昔も変わってない

  • 歴史にとことん興味がない自分としてはプロレタリア文学を読むことは苦痛でしかなかった
    漁船の知識もないため、語彙の読みづらさも大きく、途中で断念

  • 電子ブックへのリンク:https://jg8gn6xr5x.search.serialssolutions.com/?isbn=4003108817
    学外からのアクセス:https://login.ezoris-hokudai.idm.oclc.org/login?url=https://jg8gn6xr5x.search.serialssolutions.com/?isbn=4003108817
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  • 「蟹工船」からは文学、「一九二八・三・一五」はルポのような雰囲気を感じた。三・一五というタイトルや、明らかな日本名を完全に無視できるなら、同時期のロシア文学と言われても違和感がない。

  • 蟹工船は再読。歴史的意義を鑑みて★5。内容はとにかく暴力的描写がきつい。3.15事件を共産党員側の立場で見ることができるのはすごいことだと思う。小説に描かれたような暴力により多喜二は死ぬわけだが、その死に方により小説の真実性を裏付けることになる皮肉。

  • 2022I219 913.6/Ko
    配架書架:A4

  • 「現代版『蟹工船』」という言い回しは、人口に膾炙(かいしゃ)している。本書で描かれる「蟹工船」の状況は悲惨かつ壮絶である。不衛生な環境下、虫けら同様の扱いを受ける漁夫や雑夫は、ただ内地の資本家のために働く。過重労働と栄養不足で身体を壊し、起こるべくして起こる事故と「しごき」に命を奪われながら。
    階級の問題と、帝国主義・国内植民地の問題を鋭く描き出す本書は、翻って、安直かつ一面的な過去の礼賛にストップをかけてくれる。同時に、今なお存在する格差と搾取の構造に目を向けさせてくれる点に、本書の魅力があり参照される理由がある。最後に描かれる弱者たちの連帯に対して、あなたはどのような立場をとるか。
    (選定年度:2023~)

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著者プロフィール

1903年秋田県生まれ。小樽高商を卒業後、拓銀に勤務。志賀直哉に傾倒してリアリズムの手法を学び、28年『一九二八年三月一五日』を、29年『蟹工船』を発表してプロレタリア文学の旗手として注目される。1933年2月20日、特高警察に逮捕され、築地警察署内で拷問により獄中死。

「2008年 『蟹工船・党生活者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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