蟹工船 一九二八・三・一五 (岩波文庫)

著者 : 小林多喜二
  • 岩波書店 (2003年6月14日発売)
3.37
  • (12)
  • (40)
  • (69)
  • (9)
  • (3)
  • 本棚登録 :333
  • レビュー :56
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003108819

作品紹介

おい地獄さえぐんだで-函館を出港する漁夫の方言に始まる「蟹工船」。小樽署壁に"日本共産党万歳!"と落書きで終わる「三・一五」。小林多喜二のこれら二作品は、地方性と党派性にもかかわらず思想評価をこえ、プロレタリア文学の古典となった。搾取と労働、組織と個人…歴史は未だ答えず。

蟹工船 一九二八・三・一五 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 労働について考えさせられる。

  • 同郷人の小説は意識しないと読まないので新鮮だった。現代の労働者はむしろ個人化されていて「蟹工船」のような行動はむしろ難しいのではと感じた。

  • 不当に検束され、歩くと目まいがするほど拷問をされて帰ってくると、渡は自分でも分るほど新鮮な階級的憎悪がムチムチと湧くのを意識した。その感情こそは、殊に渡たちの場合、マルクスやレーニンの理論を知って正義的な気持から運動に入ってきたインテルゲンチヤや学生などの夢にも持てないものだ、と思った。「理想から本当の憎悪が虱のように湧くかい!」


    作者が望みをかけた日本共産党も本意か不本意か政策もろくに出せない烏合の衆のような体たらく。世界的にみても共産主義自体が資本主義の前に鳴りを潜めざるを得ない状態で、共産主義という理想論の破綻もいまでは常識。結局、人間みんな自分が一番。みんな横並びでハッピーな世界なんて土台無理。

  • たいそうおもしろい

  • 監督の浅川という名前以外は、ほとんどが無名で漁夫、雑夫などとの表記で登場する。記号のように感じさせるのは、人間として扱われていなかったことを象徴するかのよう。「蟹工船」が航船ではなく、工船すなわち工場としての存在だったことがリアルに良く分った。そして共産党検挙の3・15事件を扱った作品。こちらは生々しく拷問を受ける個人個人が名前で示される。小林自身もそのような中で死んでいっただけに迫力がある。しかし、両作とも社会主義が崩壊した今となっては古色蒼然とし過ぎていることは否めない。

  • 「蟹工船」と「1928・3・15」が収録されています。
    「蟹工船」は船の「蟹工場」という意味らしいです。雑夫や漁夫たちは考えられないほど凄惨な生活を送ります。もはや人間的な生活などといえない「過酷」以上のもの。人間の命さえなんとも思わないで、搾るだけ搾ろうとする現場監督。お金をもった資本家と「プロレタリア」との対置。頭でただ理解していたのとは違った生々しい再現を感じました。

    同時収録は、共産党一斉検挙事件を著した「1928・3・15」。
    こちらを読んで事件について知りたかったので、あえて岩波文庫版をチョイス。国家権力がいかにして共産主義者を叩いてきたか。それは体制側が「共産主義」を恐れていた証拠。警察署でのすさまじい拷問をとおしてなされる話の展開が印象的です。
    --------------------------------------------------------
    ただ、いまの時代背景とこの作品がなぜ安易に結びつけられて語られるのか?わかるんだけどわからなかった。共感を得ることはできても、そこには比べものにならない大きな大きな壁が立ちはだかっているような。でも、こういったことを知り、教訓にしていくことは大切だと思います。
    --------------------------------------------------------

  • 展示中 2014.9~

  • 三浦綾子「母」を読み、そういえば蟹工船ってちゃんと読んだことなかったかも…と思い手にとった。
    衝撃だった。何から何まで劣悪な環境で、吐き気がするほど悲しかった。こんな地獄があってたまるか

  • 「蟹工船」は資本家が,「 一九二八・三・一五 」は国家権力が,いかに労働者を残酷・無慈悲に搾取・迫害していたかを描く。

    しかし,労働環境では過労死・ブラック企業が蔓延り,人質司法がまかり通っている現代と,どれほど違うだろうか。

    ちなみに,青空文庫の「 一九二八・三・一五 」は,検閲された本を底本にしているようで,削除されている部分がある(「共産党」など)。

  • 意外と面白かった。
    汚い描写がリアルで、本当に臭ってきそう。
    読めば読むほどハマっていく。

全56件中 1 - 10件を表示

蟹工船 一九二八・三・一五 (岩波文庫)のその他の作品

小林多喜二の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

蟹工船 一九二八・三・一五 (岩波文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする