風立ちぬ・美しい村 (岩波文庫 緑 89-1)

著者 :
  • 岩波書店
3.52
  • (10)
  • (16)
  • (30)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 209
レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003108918

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「 美しい村 」で描かれるのはK村とされる。軽井沢らしい。物語の起伏らしきものはほぼ無く、風景や季節が淡々と描かれるのだが、それだけでも読ませる。高原や林の小径を辿ってゆく道行き。風や雲、霧、夕暮れの空。野薔薇などの草花。そうしたものの素描。されどなんだか味わいがあり、心地よくもあるのだ。

    「 風立ちぬ 」は八ヶ岳山麓のサナトリウムが主な舞台。フィアンセの節子が肺病を病み、高原の施設で長期療養をしている。自分は、彼女に付き添っている。「 美しき村 」と同じく、雲が流れゆく高原の空や、夜半の雨 といったことが丁寧に静かに描かれる。節子の病は回復する希望はない様子が伺える。だけども悲劇的な感じが強く刻まれることはなく、薄い死の気配が漂うのみである。終幕に際しても、彼女の死が明瞭に触れられることはない。

    高原の景色( 心象風景か )を 淡々と書き綴る洗練されたタッチは 欧州の小説を思わせる。先に 漱石や鴎外の小説で、本郷上野界隈を舞台とした作を続けて読んだこともあり、高原を舞台とした所収2作は新鮮であった。

    巻末の解説に以下の記述あり。「戦争末期の予備学生の九分九厘までが堀辰雄の愛読者だったと聞いた」。作品に通奏低音のように漂う死の気配が彼らの共感を読んだ、とする論である。
    ※ 1930年代後半の作品だという。

  • 文章には書き手読み手の相性というか、合う合わないというのがあると思うけど、こんなに合わない文章を読んだのは久しぶりというくらい上滑りして頭に入ってこなかった。同じ一文を3,4回読んでも頭に入らないし心にも響かないので自分の感性を疑いたくなった。
    『美しい村』も『風立ちぬ』もどこかに小説のネタがないか、この体験をどういう風に作品に書こうか、という筆者の考えが前面に出ている感じがして、なんだか病気さえも小説の題材でしかないような印象を受けてしまった。残念。

  • 内的現実の世界が溶け込んだ風景と、めんどくさい性格。もしく愛と死。‏

    ”舞台となった軽井沢が彼の内的現実の世界へ溶け込んで”と解説に在りましたが、その通りだと思います。

    一冊を通して
    軽井沢の風景が、まるっと作者の心の中にとけ込んでいて、
    物語の中に、現実の世界の風景描写によって、主人公の心情が書かれてるように思いました。

    それが美しく、すばらしい作品でした。

    この文庫本は美しい村が先に収めらており、
    主人公の男性が書いた手紙から始まるのですが、

    その手紙の、
    人懐っこい、それでいてどこか強がっているような性格、自分勝手な内容と、丁寧な文面に惹かれて読み始めました。

    野薔薇と霧の中で少女の幻想を語ったかと思えば、
    元カノ(もしくはリア充の友人)に会いたくないがために遠回りをしたり

    美しい庭で美しい女性と運命的な出会いをしたかと思えば、
    デート中に「意地悪!」と子供みたいに言い合ったり、

    幻想的で美しい心理描写と、
    若者らしい、ちょっとめんどくさい性格(これが青春の美しさってやつ?)のコントラストが面白い作品でした。

    風立ちぬは
    ”死”というものがひとつのテーマとなっていますが
    死は日常として緩やかに持続しており、その中で、静かに愛情が語られています。
    静かにといっても淡々と悟りきったものではなく、
    幸せな生活の夢を見たり、自問自答したり、
    それを言っちゃだめだろ、、と思うような発言を口にしたり。

    苦悩の中での発見や、相手の存在を見つめ直していく姿と、
    そうした主人公を受け止めている病人の姿は、
    思いやりに溢れています。

    相手がそこにいるという幸せを噛み締める、目と目で見つめ合うだけの静かな愛情。
    そんな風に人を愛せるように、なってみたいものです。

  • サナトリウム文学って言葉を初めて知った。「風立ちぬ」は病気療養のため山の中の療養所(サナトリウム)で暮らす女性とその婚約者を描いた話(婚約者目線で書かれてて堀辰雄の実体験に基づくらしい)。こういうサナトリウムでの生活を描いた文学をサナトリウム文学っていうらしい。
    「風立ちぬ」。せつなーい。いかにも儚い。残された命をだいじにだいじに過ごす系の恋愛小説の原点か。これ自体細ーいガラス細工みたいな話だった。飛行機の話がいつ出てくるのかと思ったら出てこなかった。
    「美しい村」は、避暑地で、中学生みたいな主人公の男の人が小さいことで緊張したりどうしようとか思いながら過ごした日常の話、と受け取った。

  • 2014.1.4

  • ザ・サナトリウム文学。
    堀辰雄は一文一文が長いね。

  • 140126~

  • 2013.11.8読了。
    読んだのは改変版ではないやつだけど、登録は改変版しかできなかった…。
    美しい村も風立ちぬも描写はいいなあと思うけど、どちらも唐突に終わる気がする。文学作品は突然終わるのが主流なのかな?
    風立ちぬは切ないなぁ。結末がある意味確定してるから余計切ない。
    しかも心情とかは主人公側からの描写しかないから、節子が本当は何を思っていたのかがわからないのがまた切なさを助長させてるというか…

    にしても文学作品というより当時は言葉遣いが美しくていいなぁ。

  • ジブリ映画にもなった風立ちぬ。
    映画を見る前に、原作も読みたいと思う。
    貴方は映画と原作、どっちを見ますか?
    あるいは両方!?

    志學館大学 : 90(くまる)

    • librarylovers13さん
      今年、ジブリで映画化された作品。
      映画をご覧になった方も多いのでは?
      読書の秋にぜひ原作を呼んでみませんか?
      映画と合わせて楽しみまし...
      今年、ジブリで映画化された作品。
      映画をご覧になった方も多いのでは?
      読書の秋にぜひ原作を呼んでみませんか?
      映画と合わせて楽しみましょう!

      志學館大学 : ふくろう
      2013/11/06
    • librarylovers13さん
      病身の節子と主人公の結びつきの強さを感じました。人の少ない山奥の自然に囲まれた生活に寂しさが漂っています。

      志學館大学 : てんとう虫
      病身の節子と主人公の結びつきの強さを感じました。人の少ない山奥の自然に囲まれた生活に寂しさが漂っています。

      志學館大学 : てんとう虫
      2013/11/08
  • ずっと前に買ってたけど、挫折してほってた本。妻・節子さんと私の物語。儚くてきれいだったった。

全25件中 1 - 10件を表示

プロフィール

ほり・たつお
1904(明治37年)~1953(昭和28年)、日本の小説家。
代表作に
『風立ちぬ』『美しい村』『菜穂子』『大和路』など多数。

「2017年 『羽ばたき 堀辰雄 初期ファンタジー傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

風立ちぬ・美しい村 (岩波文庫 緑 89-1)のその他の作品

堀辰雄の作品

風立ちぬ・美しい村 (岩波文庫 緑 89-1)を本棚に登録しているひと

ツイートする