富嶽百景・走れメロス 他八篇 (岩波文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 616
レビュー : 97
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003109014

作品紹介・あらすじ

太宰治が短篇の名手であることはひろく知られているが、ここに収めた作品は、いずれも様々な題材を、それぞれ素材にふさわしい手法で描いていて、その手腕の確かさを今さらのように思い起こさせる。命を賭した友情と信頼の美しさを力強いタッチで描いた「走れメロス」をはじめ、戦前の作品10篇を集めた。

感想・レビュー・書評

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  • 表題作の他、女生徒、ロマネスク、東京八景など10作の短編集。
    太宰の短編はどれも好きだけど、特に印象的なものをメモ。
    『富嶽百景』…最初は富士の一辺倒な姿を横目で見るような様子だった主人公は、茶屋の人々や彼を訪ねてきた人々との交流を通して少しづつ富士の様々な表情に触れ、心を許し始める。富士はそこにあるだけでいい。
    『走れメロス』…学生の時に初めてこの作品を読んだ時はメロス身勝手、という身も蓋もない感想だったけれど、年を重ねてこの直球の友情ストーリーが沁みるようになった。
    『女生徒』…思春期特有の揺れを表現する秀逸さ。この危なっかしい様がまた魅力。
    井伏鱒二のあとがき…太宰とのエピソード。不思議と愛を感じる。

    読む度に違う印象や感想を持たせてくれる作品。何度も読み返したい。

  • 二十年以上前に読んでいたのだが、なんだか無性にもういちど「富嶽百景」を読みたくなって本書を手にとった。ふと再読の思いが募る作品というのは、私には稀である。自分にとって「富嶽百景」がfavoriteであることに気づいた。
    再読。ユーモアがあり、爽やかな明るさに包まれていて、読んでいてハッピーな心持になった。

    この文庫は全10編を収めている。「女生徒」や「きりぎりす」などもあり(いずれも女性の告白体小説)、初めて太宰に触れる人には、親しみやすいセレクションのはず。

    あとがきは、井伏鱒二氏の筆。心憎い。(ご承知のように『富嶽百景』には井伏氏との師弟関係も描かれている。)ここで井伏氏は、初めて太宰青年と出会った頃の思い出を書いている。太宰なる青年から手紙が届くのだが、返事を出さずに居たところ、強硬な内容の手紙が届いたという。
    「会ってくれなければ自殺するという意味のものであった。私は驚いて返事を出した。」とある。
    面白い。

  • 昭和13年の初秋、御坂峠の天下茶屋に赴き、以降、冬の訪れまでの2ヶ月間逗留する。その間宿の娘さんとの交流、太宰のファンと名乗る青年との会話、先輩作家 井伏鱒二との登山に、お見合いなど、いろんなシーンで富士山と関わり、その都度富士山は姿・表情を変える。遊女の一行を見かけた太宰は哀惜の情を抱く。その時の富士は敢然と見守ってくれる大親分のようだと例える。

    僕が最もグッときた一節は次である。
     
    十国峠から見た富士だけは、高かった。あれは、よかった。はじめ、雲のために、いただきが見えず、私は、その裾の勾配から判断して、たぶん、あそこあたりが、いただきであろうと、雲の一点にしるしをつけて、そのうちに、雲が切れて、見ると、ちがった。私が、あらかじめ印をつけておいたところより、その倍も高いところに、青い頂が、すっと見えた。

    富士山を擬人化し、富士にしてやられたと高らかに笑う。ネタ振りからサゲまでを実に闊達な筆致で綴る。何度も読み返してしまう。本書には10編の短編が収録されており、富士山よろしくいろんな貌の太宰が見られる。

  • 学校の国語の試験で、作家の意図は?という問題がよくありました。
    採点結果を見ると、どうしても納得できないことがよくありました。
    本当に、作家は、それを意図したのでしょうか?
    作家の意図は単純ではないのではないでしょうか?
    走れメロスは、分かりやすいかもしれないし、太宰らしくないかもしれない。
    作品ごとに別々に読むか、作家ごとまとめて読むかは、その人の好みです。
    ただ、複数作品まとめて搭載している本を買うかどうかは、迷うかもしれません。
    富嶽百景だけでも価値はあるし、走れメロスだけでも価値はあると思います。
    両方好きになる必要はないと思いますがいかがでしょうか。

  • 2005.6.21

    第1刷 1957.5.6
    第14刷改 68.5.16

  • 読めず また借りて読もう

  • 子供の頃に読んだことがありますが、大人になって読むと感じ方が違いますね。

    30分もあれば読み切れる短編ですが、感動できました。

  • <目次>
    魚服記
    ロマネスク
    満願
    富嶽百景
    女生徒
    八十八夜
    駆け込み訴え
    走れメロス
    きりぎりす
    東京八景
    あとがき(井伏鱒二)

    2015.08.27 太宰治が『富嶽百景』を書いた天下茶屋を訪れて。

  • 「魚服記」「ロマネスク」「満願」「富嶽百景」「女生徒」「八十八夜」「駆け込み訴え」「走れメロス」「きりぎりす」「東京八景」全十篇。あとがき(井伏鱒二)

  • 太宰の語り口が好きだ。

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著者プロフィール

1909年(明治42年)〜 1948年(昭和23年)日本の小説家。代表作に『斜陽』『人間失格』『走れメロス』『富嶽百景』など多数。

「2019年 『女神 太宰治アイロニー傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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