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Amazon.co.jp ・本 (200ページ) / ISBN・EAN: 9784003109038
みんなの感想まとめ
深い人間ドラマと美しい言葉が織り成す物語は、読者の心に強い印象を残します。登場人物たちの複雑な感情や本音は、共感こそ難しいものの、彼らの生きる姿勢には思わず心を動かされる瞬間が多くあります。特に、言葉...
感想・レビュー・書評
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ああ、何かこの人たちは、間違っている。しかし、この人たちも、私の恋の場合と同じ様に、こうでもしなければ、生きて行かれないのかも知れない。人はこの世の中に生れて来た以上は、どうしても生き切らなければいけないものならば、この人たちのこの生き切るための姿も、憎むべきではないかも知れぬ。生きている事。生きている事。ああ、それは、何というやりきれない息もたえだえの大事業であろうか。
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正直なところかなり痺れてしまった。
名作が名作たる所以をひしひしと感じた。
人物たちの行動に共感こそ出来ないものの、
その人たちから出てくる絞り出すような本音、
切実な祈りのようなもの、言葉にグッときてしまい心が震えた。
すごい。言葉でここまで人の心を動かすなんて。
言葉によって作られる頭の中の情景に
虜になってしまった…
収録作の「おさん」も短編ではあるものの
中々インパクトがあって目の覚めるような話だった。 -
危うさをはらんだ艶かしい文章や、全体に纏う退廃的で生々しくも、やはり美しく上品な雰囲気。言葉選びや表現が秀逸で思わず圧倒されてしまう場面もありました。
あと詞のようなリズム良い文章が、読んでいて気持ちいい。
かず子の家族も恋も悉くが物悲しく時に衝動的で危うく、最後かず子の革命についてを読んでも、やっぱり悲劇のお話だったなと感じるし、一方でかず子の母についてを、悲劇的な人生だったと思うのはまた違うような気もして、難しい。
「おさん」の方はより一方的な感じがして、
どうしようもない辛さを感じました。奥さんの感情が終始平坦に見えるのもより悲しい。
作中で直治が奥さんに対して思う
「正直という言葉で表現せされた本来の徳は、こんな可愛らしいものではなかったのかしら」
という一文が特に印象的で、直治の愛も想いも感じられて好き。その前後の奥さんとの会話も良い。 -
直治の遺書に泣かされる
どうにもならない堕落し切った人の屑の様な存在が、本当は時代に翻弄されただけの優しく清らかな青年だった。
姉さん。だめだ。先に行くよ。 から始まり
僕は貴族です。 で終わる遺書
とても照れ臭いお願いがあります。来年の夏に着る様にと姉さんが繕ってくれた母の形見の着物を棺に入れてください。僕、着たかったんです。
とてもいじらしく清い。涙なしには読めなかった。
直治に太宰治が重なる。何なら自分の弟まで重なる。
没落貴族を描いた作品という事は知っていたが、プライドを捨てきれずに没落していったわけではなく、真の貴族であり時代の波に流されて自然に花が散った様な印象だった。母に縋って生きていた かず子は自分の中で革命を起こし、常識に囚われず自分の意志を貫く事を決心してシングルマザーとして強く生きる、希望と決心を表したところで小説が終わる。
革命と表し強く生きようとするかず子と死を選ぶ直治が対照的で印象深かった。
私は29のばあちゃんだから- 29歳は婆ちゃんという歳らしい。悲しい -
悲観的な面と未来への希望が交錯して面白かった。個人的にはこれが太宰の中で1番好き。特に『葉』との対比が太宰の精神状態を表しているようで悲しかった。
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没落貴族の緩慢かつ甘美な破滅を母、かず子、直治、上原の四人の人生を通して描いた作品。かず子の激情(「私の胸の虹は、炎の橋です。」こんなにも激しい恋心があるだろうか)にも上原の刹那的な生き方にも心惹かれる部分はあるが一番共感できたのは直治。
悩みがないのが唯一の悩みなんていう歌詞がどっかにあった気がするけど突き詰めていけば直治のように素面では生きていけなくなって、アヘンとかに手を出してしまうんだろう。いつもクラクラとめまいをして、凶暴になって民衆と共に輪に入れて欲しいけど直治が纏う貴族の雰囲気を民衆は好まない。かといって上流社会に今更戻るのも願い下げ。快楽のインポテンツに成り果てた自分が最後に選んだのは自死の自由。クスリや酒で身をやつして死んでいくことすら自分に叶わぬと知った直治が自死を選んだことこそ貴族のプライドだろう。
粗暴な直治がただ一人母だけは悲しませぬと誓って、自殺を思いとどまっていたのがあまりにも哀しい。 -
2026/02/10
戦争の事は、語るのも聞くのもいや、などと言いながら、つい自分の「貴重なる経験談」など語ってしまったが、しかし、私の戦争の追憶の中で、少しでも語りたいと思うのは、ざっとこれくらいの事で、あとはもう、いつかのあの詩のように、
昨年は、何も無かった。
一昨年は、何も無かった。
その前のとしも、何も無かった。
とでも言いたいくらいで、ただ、ばかばかしく、わが身に残っているものは、この地下足袋いっそく、というはかなさである。 -
名作って伊達に名作と呼ばれているわけではないと思い知る。
斜陽が没落貴族の話であることは知っていたが、現代の田舎庶民である私が貴族というものを身近に感じることはなく、読み始める前は「貴族といえどお金がないなら働くしか無い」とぼんやり思っていた。
しかし読み始めると、高飛車に人を見下したり、我儘を言っているのでは無い。海水魚が淡水で生きられないような、もうそもそも生まれが違うのだと思った。
あと直治のことクソガキだと思って読んでたけど、手紙で普通に泣いたし1番好きになった。
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自分が描く人間の核心に刺さりすぎて命絶っちゃう疑似体験をしてしまった。一度読み始めたら最後まで読ませちゃう力はバケモン。お母様に対する憧れが彼らを蝕んだように思うのだけれど、少しその感覚が分かるんよね。それを蝮として表現していたのがどんぴしゃで震えた。文豪たちが命を削って書いた小説からしか得られない、この読後感。
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世間知らずのお嬢様の浮かれきった恋文がキツくて心臓がチリチリした。
どんなに貧乏になっても、最後まで誇りを持ち己の信念を貫いて生きる様は美しいと思った。
あんまり本の地の文で「〜しちゃった」という表現は見ないけど、かず子はよく「〜しちゃった」というので可愛らしいね。 -
1番くらい好きな本。
最初の出だしからすき。
何回読み返しても素晴らしい。
何回読んでも泣いてしまう。
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「しくじった、惚れちゃった」が太宰の本の中で一番好きな一言で、それを見るためだけに何周もしてしまう。話の流れもスムーズで読みやすく、太宰らしい内容で当時流行ったのがとても理解出来る。
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人間の恥ずかしい気持ちを書くのが上手い。哀しい饒舌さがキザに聞こえる。こんなにさらけ出してもらっていいのか読んでいて戸惑った。世間から余りにズレているかず子の、しかしそこはかとなく溢れ出てくる現実的な生きる力に好感を覚えた。
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ギロチンギロチン、シュルシュルシュ
太宰治の何がいいって、登場人物の心情描写が美しいのと死を美化せずに身近にあるものとして当たり前のように書くところ。
それに登場人物が死を選ぶ理由が腑に落ちるのに、自死を教唆する書き方になっていないところ。
そういう良さが詰まった作品でした。
なぜ人は生きるのか、そういう問いかけを持ち悩む人の心にスッと入り込む太宰治の作品。
人間失格と併せて読んでほしい。
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