お伽草紙・新釈諸国噺 (岩波文庫 緑 90-6)

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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003109069

作品紹介・あらすじ

「瘤取り」「浦島さん」「カチカチ山」「舌切雀」。誰もが知っている昔話も太宰治(1909‐48)の手にかかったら…。親しみやすい語り口に諷刺とおどけをしのばせ、天性の喜劇作家がおなじみの説話の世界を自由奔放に換骨奪胎。作者が「世界で一ばん偉い作家」と惚れこむ西鶴の作品を踏まえた「新釈諸国噺」を併収。

感想・レビュー・書評

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  • ・新釈諸国噺
    太宰の事好きじゃないとか言ってる人達皆コレを読んでひっくり返ればいいのに。こういう事も出来るんだよ、彼は。
    このはじめ書きのぐじぐじした感じとかやっぱり好き!とかも思うけど、なにより内容が面白いんだよね。愉快で愉快でけらけら笑ってしまう。
    私西鶴の元のお話を全く知らないので「よっ!太宰!出ました新解釈ブラックユーモア!」とかは思えないんだけど、読み物としてはすごく単純に面白かった。

    猿塚の最後でいきなり「途方にくれた」とか言い出したときには大変興奮した。あなた好きで訳しちゃう程惚れこんでる文章に対して「(この先の展開を原作どおり書いたら)この哀話も、ぶちこわしになりそうだ。困った事になったものである。」って格好よすぎるでしょ。好き。

  • 「瘤取り」★★★
    「浦島さん」★★★
    「カチカチ山」★★★★
    「舌切雀」★★
    「貧の意地」★★★
    「大力」★★★
    「猿塚」★★
    「人魚の海」★★★
    「破産」★★
    「裸川」★★
    「義理」★★★
    「女賊」★★★
    「赤い太鼓」★★★
    「粋人」
    「遊興戒」
    「吉野山」

  • 『お伽草紙』「筆者」の存在が強く出てるのが面白い
    場所も明確になってるし、おとぎ話が小説になっている、有り得ない話のはずなのに妙に現実味を帯びてるのが生々しくて面白い

    『新釈諸国噺』武士のばか真面目さとか義理固いとことか貧者の意地っ張りなとこがなんか阿呆らしくて皮肉っぽく書かれてるのが読んでてむしろ可哀想に思えてくる
    江戸時代にもう書簡体小説があったことがびっくりだった


  • 何だかんだで太宰は話の作りが上手いんだよなぁ。そして太宰節が強い。お伽草紙は元ネタとの違いがわかるけれど、さすがに西鶴は読んでいなかったから元ネタとどう違うのかわからないのが残念。一文がめちゃくちゃ長くてすごいあの時代の作風みはあるなぁと思ったけれど。
    ■お伽草紙
    「瘤取り」瘤取りじいさんパロディというか再話???確かに瘤取り爺さんの話に悪人はいなかったわ…
    「浦島さん」亀の性格ゥ!乙姫が浦島に興味なさすぎ!浦島の最後に救いを求めるとこうなるのか…。
    「カチカチ山」兎と狸の関係がJKとキモモブおじさんになっていた…。最後のくだりがとても太宰。
    「舌切雀」お婆さん(という年でもない)は報われたのか…?
    ■新釈諸国噺
    「貧の意地」「大力」「猿塚」「人魚の海」「破産」「裸川」「義理」「女賊」「赤い太鼓」「遊興戒」「吉野山」

  • 太宰さん、私小説風のも好きだけど、おかしみと人間らしさ溢れるこういう作品が、真骨頂な気もします。

  • 御伽草子と西鶴のパロディ文学
    新釈諸国噺は西鶴の原作を知っていた方が絶対におもしろいと思うけれど、元ネタが全て同じ本からというわけではないようなので、出展を探して一話ずつ読むという形になりそう

    この中で秀逸なのは「まえがき」部分
    過不足なく情景が浮かぶ、ってすごいことでしょ

    某マンガに出てくるカチカチ山のウサギが雌なのは
    ここからきてたりして……

  • 学生時代以来、何度目かの再読。これら2作品は、太宰の作品系列の中では、かなり異色な作品だ。いずれも、昭和20年という第2次世界大戦も押し詰まり、しだいに厳しくなった言論統制のもとで書かれている。特にお薦めなのは『新釈諸国噺』。全部で12の短篇からなるが、そのいずれもが『諸国はなし』をはじめとした西鶴作品の翻案である。例えば巻末の「吉野山」は、西鶴の『万の文反古』で試みられた書簡体を見事に取り込んだ傑作であり、「語り」の妙味に満ちている。こんな太宰もあることを是非知って欲しい。「貧の意地」、「粋人」も秀逸。

  • 瘤取り
    瘤取りじいさんをテーマにした話
    二人のおじいさんが登場し、一人は瘤を孫のように大事にしている
    もう一人は、忌み嫌って暗く毎日を過ごしている
    大事にしているおじいさんの瘤は、鬼がとってしまったが、忌み嫌っているおじいさんには瘤をもう一つ付けられてしまう
    だれも、悪人でないお話
    性格の悲喜劇

    浦島太郎
    年月は、人間の救ひである。忘却は、人間の救ひである。

  • 授業のテキストとして読んでいます。
    典拠と比較して読み解くとさらに面白いです。

  • 中学生以来の太宰。
    話に暗いところがなく、「あ、こういう話も書いてるんだ」というのが感想。
    好みは分かれそうだけど。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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