変容 (岩波文庫 緑 96-2)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003109625

作品紹介・あらすじ

老年期に入ろうとする主人公たちが展開する心理や行動は、性の快楽が青年の特権ではないこと、さらには、それらの行為を通して人生の真実により深く到達するのは、若者や壮年よりも老年であることを啓示する。老年とは、ひいては人間が生きるとは-という根源的な問いに真正面から取組んだ作者(1905‐69)最後の傑作長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • 教養と人格を持った女性の性感こそ本当の性感であり、そのつつしみ、その恥らい、その抑制と秘匿の努力にもかかわらず漏れ出で、溢れ出る感動が最も人間的なのではないか。伊藤整せい『変容』

  • 自分の周りの落ち着いた大人も、実は…などと薄ら寒くなる。老年って、こんなにもエネルギーや葛藤を持っているものなんだなあ。過去に置いてきた後悔を受け入れる諦念が老いなのかと思っていた。

  • 解説をみるに、伊藤さんの集大成がこの一冊になるらしい。珍しく一人称形式で書かれている本作だが、やはり僕は、三人称で綴られたこの人の作品が好きだ。論理的な文章と洞察力、観察力、男女の機微は、三人称での客観的な視点において大いに発揮されると感じた。
    ところで、もしも自分が老年期に入った際も、龍田さんのように恋愛をし、性を弄ぶようなら、きっと辛いんじゃないかと、ちょっと思った。

  • 知らなかった。60歳がこんなことを考えていたなんて……

  • やっぱり自分の体験・経験と似たようなあらすじの本は引き込まれてしまう。読んでいて楽しいわけではなく、自分と似た体験・経験を経た作中人物はどのように屈託を解消したのか、はたまたどのように解消しなかったのか、という部分に注意がいく。

  • おぉっと、伊藤整が文庫に!
    チャタレイ夫人の恋人を訳したことで有名な伊藤整ですが、役者が役を自分の中で転がして楽しむのに対し、小説家は登場人物を状況の中に放り込んで楽しむのだなと思わせてくれる作家でした。
    特に「火の鳥」は最高なんですが、絶版(日本文学がカッパで出てました)です。
    変容も再び絶版になる前にどうぞ。

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