いちご姫・蝴蝶 他二篇 (岩波文庫 緑109-2)

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  • 岩波書店 (2011年11月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784003110928

みんなの感想まとめ

多様な時代背景を持つ短編が収められた本作は、古典文学や故事を取り入れたユニークな表現が魅力です。特に「いちご姫」は、室町時代の公家出身の女性が数奇な運命をたどる物語で、エミール・ゾラの影響が感じられま...

感想・レビュー・書評

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  • 山田美妙の作、表現はとてもおもしろいし、新鮮なところもある。感情過多といわれるが確かにそれはあるが、和漢のさまざまな表現を駆使していて、文章としてたのしめる。ストーリーはまあ芝居のような感じである。

    武蔵野、胡蝶、いちご姫、笹りんどうが入っている。
    ・武蔵野は旅にでた武士とその家族の話
    ・胡蝶は平家の落人の話
    ・いちご姫は公家の姫が零落して盗賊になる話
    ・笹りんどうは源頼朝が義仲とか義経とかとのちがいをいろいろ考える話。(貔貅ということばがでてくる。兵士の意味)

  •  収録された4編は1887(明治20)年から1891(明治24)年の作。
     二葉亭四迷と同時期に言文一致の小説を切り拓いた作家だという。しかし山田美妙の場合は、内容が鎌倉から室町時代を舞台にした時代小説なので、地の文が口語体であっても登場人物の台詞が古めかしい古語なので、二葉亭四迷のような近代性は感じられない。その地の文も、
    「で、闇? 驚・・・あら、膝に加わる妖獣の手の生温い——ちッ! きっぱらってしまおうか。」
     といったふうに、感嘆符が頻出するとともに、妙に「調子の良い」リズムの取り方が際立ち、「日常の口語」とは差異がある。
     おまけに、どうもくどい文体で、一つのことを延々と「言い換え」し続けて無駄にページを費やし、なかなか話が進まないのがもどかしく感じられた。長編の「いちご姫」の前半はそれでじれったいような文章だった。
     この「いちご姫」は、室町時代の公家出身の娘としてはずいぶん破格な女主人公が数奇な運命を経て凋落していき、やがて破滅に至るという、明らかにエミール・ゾラの影響が濃厚。物語内容としては興味深いが、姫の人格にあまりリアリティが感じられないようにも思った。
     風変わりな「奇書」と言ってもよさそうな作品である。

  • まじめなのかふざけているのか判らないほどぶっとんだ内容のいちご姫は面白い。古典を引いたり故事を引いたりもこの作品に於いてはユーモアに映る。ただ、稍冗長。

    武蔵と胡蝶は内容が薄く、同じように古典や故事を引いても、知識の披歴くらいにしか思えず、却って退屈だった。

    山田美妙のことは詳しく知らないので、どの作品がどういう経緯で書かれてどういう評価を受けているのかまで知らないが、言文一致に尽力したという以外で何か評価できることは特にはない気もする。言文一致させたのはしかも山田美妙だけではなし。

    この人は辞書も編纂していて、確かに語彙力とか古典故事には詳しかった模様。変態的に知識を蓄えていた森鷗外と比べてどうかまでは知らないが。

  • 空き地で紙芝居を見ているような気持になる(経験はないけれども)。講談を聞いているような文章が心地良い。
    いちご姫が力強く、明治の作品でもこんな女性が描けるんだと驚き。

  • 校訂:十川信介、評論:内田魯庵、石橋忍月、依田学海、注:大橋崇行、福井辰彦
    武蔵野◆蝴蝶◆いちご姫◆笹りんどう◆山田美妙大人の小説(内田魯庵)◆蝴蝶(内田魯庵)◆近日出色の小説(抄)(内田魯庵)◆夏木たち(石橋忍月)◆国民之友二小説評(依田学海)

  • 文章が高尚。虚しさ、惨さなんかをうまく書き出しているので、読み応えがあります。鬱気質の人は注意。

  • 明治期の小説を読むのが久しぶりだったのだけれども、わりとすらすらと読めました。短編はラストの鮮やかなイメージがどれも素敵でした。いちご姫は思うところはあるけれども楽しめたのでよしとします。

  • 長編「いちご姫」のみ読了。
    <あらすじ>
    公家の息女いちご姫は、敵方足利義政の使・窟子(うろこ)太郎に恋をしてしまう。出奔し盗賊に身を堕としながら、美貌と気の強さを武器に戦国末世をわたり歩く。

    <感想>
    ・文体…短文を重ね、「!」を多用し、やたら文章の勢いが強い。美妙の造語かと疑いたくなるような間投詞が登場し、語注を見て驚くことしきり。
    ・ヒロイン…自己愛過多で気が強く貞操観念のうすい主人公は、現代以上に突き抜けた感覚の持ち主。こんな主人公にはお目にかかったことがない。
    ・構成・ストーリー…章回制。各回にきちんとクライマックスが用意されており、連続ドラマに仕立てられそうである。通俗的で波瀾万丈なストーリーとも相俟って、読者の期待をあおる。「大団円」の章名を裏切る、あまりにも衝撃的な結末には腰が砕けてしまった。

    強烈な女主人公といい、奇想天外なストーリーといい、明治時代の古臭い作品と思ってかかると裏切られる作品。なんとなく舞城王太郎を読んだときの当惑を思い出した。

  • 勇敢な女子(おなご)が次々と降りかかってくる災難に敢然と立ち向っていくさまに、心踊らされる。が、一方で、連れ添う男運のなさからか、頽廃への道を歩むことになり、憐れな結末を迎えることに…。

  • 作品の書かれた時代が時代(美妙は慶応4年=明治元年生まれ)なので、もともと読みやすくもない上に、さらに歴史もので登場人物たちのセリフは昔の言葉遣いで書かれてるし、そうでなくてももともとの文体自体も難解。 けしてスラスラは読めませんが、とても面白かったです。

    表題作の『いちご姫』が唯一の長編ですが、可愛らしい名前に騙されるなかれ、このいちごちゃん、あえて現代風に汚い言葉で言うなら、とんでもないビッチです(苦笑)。名前の由来はフルーツの「苺」ではなく一期一会の「一期」。零落公卿の娘で絶世の美女なのだけれど、性格はいたって男勝りで勝気、武士の世(足利の時代です)を憎んで、侍相手にもずけずけものを言う、最初のうちは、そんな気の強さも可愛らしいのだけれど、うっかり敵方の男に恋をしてしまい、落ちたとたんに大暴走、むこうは気がないのに追い掛け回して、あげく両親をほったらかして出奔、なりゆきで盗賊に攫われたり、そこから逃げ出したり、恋しい男と再会したけどやっぱり振られたり、間違えて別の男と寝ちゃったりの波乱万丈。その経過でビッチぶりを開花させちゃって、しかもなまじい面食いなもんだから、次々と新しい若い男(もれなく美形)にのりかえ、古い男は新しい男に殺させる始末。苦境に陥っている女友達と再会しても、自分が助かるためには平気で放置、女性としてのみならず、人としても結構最低ないちごちゃん。最終的に、やっとこれぞというイケメンで性格も良い男と恋に落ちますが、これが実は既婚者。正妻とバトルを繰り広げてるうちに、母親が再登場して、実は恋した男とは腹違いの兄妹だとか言い出すし、なんだかもう昼メロか韓流ドラマかというジェットコースターっぷり(笑)。ご都合主義に呆れつつも、ある意味とても面白かったです。クナウカあたりで舞台化とかしたらなかなか絵になるだろうなあ。短編だけれど『胡蝶』のほうも、恋した男を殺して首を斬りおとすあたり、サロメばりに耽美でした。

  • 山田美妙はあまり面白くないと聞いてはいたけど、読むのがしんどかった;
    文章を華美にしすぎてニュアンスが伝わりづらく、話がすんなりと入ってこないです。

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