雪 (岩波文庫)

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  • 岩波書店
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レビュー : 63
  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003112427

感想・レビュー・書評

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  • あまり真面目な本を読んできていなくて,どう選べばよくわからないなー→とりあえず松岡正剛の千夜千冊で紹介されてる本を読んでみるか→ではまず1冊目から,という経緯で読んでみた。おすすめタグに「松岡正剛千夜千冊」が出てきたのを見るに,他にもそういう感じで読んだ人がいるのかな…
    読んでいて思ったのは,「あー,これがサイエンスコミュニケーションか」ということ。というかこの時代にそういうことを考えて物を書いていた人がいる,というのはすごいことのような気がする。寺田寅彦の存在があったから,というのもあるかもしれないけれども。ちょうど雪も降り始めた時期だったので,読んでいて楽しかったです。
    次は2冊目を読もうか,それともリンクに書かれていた本を読もうか。次に読む本を悩むのもちょっと楽しい。

  • 著者の探究心と実験の手作り感が素晴らしかった。

    雪の結晶というと枝分かれしながら点対称に広がっていく形ばかりを思い浮かべていたが、地道に研究をして様々な雪の結晶の形を分類し、それらが生成する条件を明らかにしていくプロセスが、手に取るように分かった。

    科学の実践の原点がここにあるように感じた。

  • 【つぶやきブックレビュー】昨日の大雪もおおかた解けてしまいました。「雪」といえば、中谷宇吉郎。

  • 【展示用コメント】
     雪はどうやって作られるのか!?

    【北海道大学蔵書目録へのリンク先】
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?lang=0&amode=11&place=&bibid=2000559079&key=B151608023015939&start=1&srmode=0&srmode=0#

  • 高野文子の「どみとりーともきんす」を読んで。
    雪の研究者による雪のエッセイ。柔らかい文章の中にも、科学の眼差しがしっかりあるのはやはり学者らしい。

  • 7-9月 *移動図書
    請求記号:Iw-124-2 図書ID:B0001016

  • 雪をここまで詳細に見ているとは驚く。
    過去からあるものを、違った見方で捉える大切さを本書で学んだ。

  • 初めて人工雪を作った。
    今では、夏休みの自由研究にもなっているが、当時の測定環境は大変だった。
    科学とは、まさに巨人の肩に乗るのものだ。

  • 「雪の結晶は、天から送られた手紙である」このことばをどこかで聞いたことはありませんか。これは、本書の最後に書かれているものです。どうして中谷先生はそんなふうに感じるようになったのでしょう。それを少しずつ見ていきましょう。
    私は学生時代「六(りっ)花(か)」という名の学生寮で暮らしました。私にとってその4年間はかけがえのないものとなっています。「六花」とは雪の結晶のことです。六角形の結晶を何かで見たことがあるでしょう。雪の結晶が六角形をしていることは割と古くから知られていたようです。しかしそれは本当に正しいのでしょうか。実際にルーペや顕微鏡などでくわしく見たことはないでしょう。だいたい、最近雪はそう多く降らないし、降ったとしてもすぐとけてしまう。これはやはり寒い土地でないと調べることはできないのでしょう。日本で寒いと言えばもちろん北海道。中谷先生は北海道大学で雪の研究をされていました。本書の最初の12ページは雪の結晶の写真です。最近に書かれた本ならばきれいなカラー写真が載っていることでしょうが、本書の写真は白黒で決して美しいものではありません。さらに、その形は私たちがふつう想像するものとは大いに異なります。針状のものや、角柱のようなもの、3本しかトゲが出ていないものや、逆に12本伸びているものもあります。これらの写真は、中谷先生やその研究室のメンバーが雪が深々と降る寒い中、オーバーコートを着て、分厚い手袋をはめて、顕微鏡をのぞきながら撮ったもののようです。長時間は無理なので、あたたかい暖房の効いた部屋で体を温めては外に出て写真を撮るということをくり返したようです。こうして実際の雪の結晶を調べることができるのは、冬の季節だけです。それではなかなか研究が進まなかったことでしょう。ところが何年かして大学に低温を保つことができる施設がつくられます。そこで、中谷先生たちは人工的に雪の結晶を作ることになります。それがなかなか簡単にはできないのです。そもそも雪とは何でしょう。それは空気中の水蒸気(気体)が冷やされて氷の結晶(固体)になったものです(気体から直接固体に、または固体から直接気体になることを昇華(しょうか)という)。さらに、中心には核(細かいちりなど)になるものが必要です。その核になるものがなければ、気温が下がって水蒸気が飽和状態(中2の最後に勉強します)になったとしても水滴(0℃以下なら雪)ができません。そのような状態を過飽和と言って、その過飽和状態のところに核が現れると雪の結晶がつくられるそうです。では、それを実験室でどうやって再現するのか。水を温めて水蒸気をつくり、上昇気流をつくって、その上の温度は低く設定する。そして、核としてウサギの毛をつるします。ウサギの毛は拡大して見ると、ところどころに出っ張りがあってそこが核になるようです。これも相当な試行錯誤の上、見つけた方法のようです。水温を変えたり、上部の気温をいろいろ調整し、どんな結晶ができるかを調べます。
    さて、最初の写真の中には自然にできた雪の結晶と、人工的につくった雪の結晶との両方が載っています。見比べてみるとどうでしょう。そっくり一緒ではないですか。そうして、どういう条件でできた雪がどんな形状をしているのかが次第にわかってきたのです。結晶の形の違いはそれがつくられるときの気温や湿度によるようです。その後、雪ができる天高くの雲の中の状態も調べることができるようになり、中谷先生たちが調べ上げた気象状況と結晶の形の関係は間違っていなかったことが証明されています。
    いまここに書き出したのは本書の3章・4章で述べられていることがらです。実は、本書の前半は、雪国の苦労話とか、雪の利用の仕方とか、それまでに雪についてどのくらいのことが調べられているのかなどが書かれています。その前半部分もおもしろい話はいろいろあるのですが、何と言っても、実際に中谷先生が雪を調べ、雪をつくっていく過程が抜群におもしろいのです。子どもに「どうして雪の結晶がこんな形をしているの?」と聞かれても答えようがない状態だったというところから、研究はスタートしたようです。
    では「雪が天からの手紙」であるとは一体どういうことなのでしょう。最後のページを紹介します。
    「さて、雪は高層において、まず中心部が出来それが地表まで降って来る間、各層においてそれぞれ異なる生長をして、複雑な形になって、地表へ達すると考えねばならない。それで雪の結晶形及び模様が如何なる条件で出来たかということがわかれば、結晶の顕微鏡写真を見れば、上層から地表までの大気の構造を知ることが出来るはずである。そのためには雪の結晶を人工的に作って見て、天然に見られる雪の全種類を作ることが出来れば、その実験室内の測定値から、今度は逆にその形の雪が降った時の上層の気象の状態を類推することが出来るはずである。このように見れば雪の結晶は、天から送られた手紙であるということが出来る。そしてその中の文句は結晶の形及び模様という暗号で書かれているのである。その暗号を読みとく仕事が即ち人工雪の研究であるということも出来るのである。」
     本書を読んでずいぶん経ってからですが、石川県の加賀温泉に旅行で訪れました。そこは中谷先生の生誕の地。いまはその地に記念として「雪の科学館」があります。ぜひ見学してみたいと思って行ってみたのですが、なんと休館日でした。ちゃんと事前に調べておかないといけないですね。
     中谷宇吉郎は寺田寅彦大先生のお弟子さんの一人でもあります。そのためか、文章は非常に読みやすいと思います。(エッセイもたくさん書いて「天災は忘れたころにやって来る」と言った寺田寅彦ですが、文学上の師匠は夏目漱石です。)中谷先生と前回紹介した朝永先生は、ほぼ同時代を生きた物理学者ですが、研究分野も大きく違うので、おそらく接点はなかったことと思われます。けれど、朝永先生が最後に言っていた、自然のベールをはぐことなくそのままに眺めることも大切だ、ということを実際にやっていたのが寺田・中谷らだったのだと思われます。

  • 16/04/22、ブックオフで購入。

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著者プロフィール

1900年石川県生まれ。物理学者。東京帝国大学理学部で寺田寅彦に師事し、卒業後は理化学研究所で寺田の助手となる。北海道帝国大学教授、北海道大学教授を務め、1962年没。雪の結晶の研究や、人工雪の開発に成果を上げ、随筆家としても知られる。主な著書に『冬の華』『楡の花』『立春の卵』『雪』『科学の方法』ほか。生地の石川県加賀市に「中谷宇吉郎 雪の科学館」がある。

「2014年 『寺田寅彦 わが師の追想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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