雪 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003112427

感想・レビュー・書評

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  • するする読めて、文章巧いんだろうなあ、と思った。 自然科学の研究、学問の進め方進み方、情熱や感動について。

  • ワークショップ「境界に遊ぶ」:ゲストのおすすめ本

  • この本は戦前に書かれたものである。その当時、どんな状況でどのような気持ちで研究を進めていかれたのか、間近で見ているような感覚になる。真冬の十勝岳で、北海道帝国大学で。科学書であるのに物語を読んでいるようだ。これを古典と言うことに初めて気づいた。著者は雪の写真家ベントレーと同じ時代を生きた方で、自身の雪の結晶と人口雪の実験について書かれてある。興味を持たれた方は、雪の結晶の本も手に取ってみては?

  • 雪はどう生まれるのか、という疑問に始まった研究の素晴らしさにまず感動する。昔の学者の言葉なので、不思議な文体だが、そこもまた本人の姿勢を感じさせる。本来、学問というのはこうして進むんだよ、という道筋を示した本でもある。学生時代から今回まで、これで4回めの体験。

  • 「すべての事柄についての一般的の知識の向上は、必ず後日そこから優れた成果が出てくる土台となるものである。」
    この言葉を体現しようと書かれた本だと感じた。最初に雪に対する社会的な問題意識や情熱が熱く書かれていてそれだけで胸が熱くなった。その問題意識の解決の為に、自分の信じるよりよい世の中の為に文化レベルで雪に対する国民の知識を向上させてやろうという野心がにじみ出ていて超かっこいい。今年頭に読んで心が震えた一冊。

  • 62ページ目に、空がこんなに青すぎる秘密が、科学的に、詩的に、述べられている。

  • 雪の研究者
    世界で初めて人工雪作った

    自分の好きなことをやって大成した


    自分が好きで将来仕事にしようと思っていること
    ・物理工学科、理科っぽい、量子力学
    ・観察が好き
    ・好きなことを見つけたい
    ・農業をやりたい、自給自足
    ・エネルギー系、スケールでかい話
    ・官僚になりたい、好きとか嫌いとかではなくてもっと大きな動機、民間に興味ない、お金を稼いで自分がハッピーは虚しい
    ・二人以上欲しい、子供と接したい
    ・地元帰る、仕事よりも家庭を重視したい
    ・仕事と家庭の両立
    ・古風な家庭、書道
    ・スポーツ

  • 実家にいたら、本棚に増やしたかもしれない。文章がいい。科学的思考をしていらっしゃり、かつ一般の人にわかりやすく伝える言葉選び、筋立てをされている。それでいて、雪の日は実験、晴れた日はスキーと、長閑な時代がうかがえるのもいい。雪に、自然科学に興味がなくても読めてしまう本。岩波文庫の緑になるだけある。「如何に自然の秘められたる工は深く、人智によるその認識が遅々としているか」など、好きだなあと思うフレーズも多々。

  • 「千夜千冊」の一冊目に上がっている『雪』。昭和13年に中谷宇吉郎博士によって書かれた作品です。(ちなみに、世界で初めて人工雪の実験に成功した方だとか)

    内容は雪の研究の歴史、日常から見た雪(主に災害について)、雪の結晶について、そして初期の人工雪を作る過程。中でも人工雪を研究する箇所については、工夫のほどが分かりやすく書かれているので、臨場感も味わえます。

    寒いから雪が降るというだけではなく、空で何かが起こっている結果として雪が降ってくる。雪の結晶はその何かを知るための暗号。
    文学的ではなく、科学的に冬を味わうのもいいかもしれない、と思う一冊でした。

  • 今週おすすめする一冊は、中谷宇吉郎の『雪』です。中谷博士は雪
    の研究の第一人者で、1936年に世界で初めて人工雪の実験に成功。
    本書は、博士が雪の研究に着手してから人工雪の実験に成功するま
    での過程を描いた本で、初版は1938年。70年前の、博士38歳の時の
    作品ですが、今だに読み継がれている科学書の古典的名著です。

    随分と昔に買ったままになっていた本書を突然読みたくなったのは、
    博士の「線香の火」という随筆の内容に感銘を受けたからです。

    中谷氏は、日本を代表する物理学者である寺田寅彦の下、東大で最
    先端の物理学を研究していましたが、その後赴任したのは実験器材
    も満足に揃っていない北海道大学。しかし、中谷氏は師匠である寺
    田寅彦から言われた「線香の火を消してはいけない」という言葉を
    大切にしていました。「とにかく手を着けて、細々となっても必ず
    研究を続けていくことが大切」という意味のこの言葉を、寺田氏は
    弟子達を送り出す時に贈っていたのだそうです(「線香の火」は岩
    波文庫の『中谷宇吉郎随筆集』に納められています)。

    「線香の火」を消さないために目をつけたのが、北国に豊富にある
    雪でした。本書はこの研究を形にしていく過程を描いているのです
    が、これがとにかく面白く示唆に富むのです。難しい問題を前にし
    ながら、できるところから手をつけて、観察と実験を繰り返し、よ
    り本質的な問いに近づいていく。科学の精神や態度、アプローチ方
    法とはこういうものなのか、と目を見開かされる思いがします。そ
    れは「何度でもぐるぐる廻り」しながら少しずつ進む「ねじの運行」
    のようなやり方ですが、「決して迂遠な道ではなく、むしろ最も正
    確な近路を歩いていることになる」ものなのです。

    その根底にあるのは自然の工(たくみ)の美への憧憬です。そして、
    自然の美の探求は、一人の人間が一生を費やしても完成することで
    はなく、「今後の有為な人々が、何十人か何百人かあるいは何千人
    かが、更にその上に真剣な努力を積み重ねることによって一歩一歩
    と完成に近づく」性質のものです。このような科学の営み。それを
    支える科学者の精神と態度。「崇高」とはこういうことを言うので
    しょう。

    「雪は天から送られた手紙である」という有名な言葉は本書から生
    まれました。読み解くことに一生をかけようと思える手紙を見つけ
    ることこそが人生の僥倖なのだということを教えてくれる一冊です。
    是非、読んでみてください。

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    ▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)

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    今日我が国において最も緊急なことは、何事をするにも、正しい科
    学的精神と態度とをもって為すことが必要であるということであろ
    う。

    雪の結晶は誰が最初にその姿を正しく認識したであろうか。そして、
    その後どのような歴史をもって今日に及んでいるか。今その大略を
    ここに述べて見よう。そうしてこの歴史を調べることによっても今
    更に感ずるのは、如何に自然の秘められたる工(たくみ)は深く、
    人智によるその認識が遅々としているかということなのである。

    あらゆる問題について、道具や器械が揃っていなければ科学的研究
    が出来ないと思うことそれが科学的精神に反する道であると知らな
    ければならない。

    凡ての事象を自分自身の眼によって見ようとする願望、これがあれ
    ば必ずしも専門的に知識や素質がなくともよいのである。しかしこ
    のように自然現象を自分の眼で見る人には、やがてその科学的説明
    を求める気持が出て来るであろう。

    今日学問的のあらゆる研究において、この世界各国の研究者が互に
    連絡をとることは最も必要なことなのである。今日世界の情勢が急
    迫して、各々の国が鎖国的態度を取ろうとしていることは、科学の
    進歩という点からいえば、寒心に堪えぬ次第である。

    夜になって風がなく気温が零下十五度位になった時に静かに降り出
    す雪は特に美しかった。真暗なヴェランダに出て懐中電燈を空に向
    けて見ると、底なしの暗い空の奥から、数知れぬ白い粉が後から後
    からと無限に続いて落ちて来る。

    十勝岳へ出かける度に、毎日のように顕微鏡で雪を覗き暮している
    うちにも、これほど美しいものが文字通り無数にあってしかも殆ど
    誰の目にも止らずに消えてゆくのが勿体ないような気が始終してい
    た。そして実験室の中で何時でもこのような結晶が自由に出来たな
    ら、雪の成因の研究などという問題をはなれても随分楽しいもので
    あろうと考えていた。

    研究というものは、このように何度でもぐるぐる廻りをしている中
    に少しずつ進歩して行くもので、ちょうどねじの運行のようなもの
    なのである。

    われわれの今問題としているのは、天空高く、飛行機も気球も大凧
    も窺い得ない世界の気象状況を知ろうという欲望である。(中略)
    雪の結晶形及び模様が如何なる条件で出来たかということがわかれ
    ば、結晶の顕微鏡写真を見れば、上層から地表までの大気の構造を
    知ることが出来るはずである。

    雪の結晶は、天から送られた手紙であるということが出来る。そし
    てその中の文句は結晶の形及び模様という暗号で書かれているので
    ある。その暗号を読みとく仕事が即ち人工雪の研究であるというこ
    とも出来るのである。

    われわれが日常眼前に普通に見る事象の悉くが、究めれば必ず深く
    尋ねるに値するものであり、究めて初めてそのものを十分に利用す
    ることも出来、またもし災害を与えるものであればその災害を防ぐ
    ことも出来るのである。それ故に出来るだけ多くの人が、まず自分
    の周囲に起っている自然現象に関心を持ち、そしてそこから一歩で
    もその真実の姿を見るために努力をすることは無益な事ではない。

    結晶の研究などは如何にも迂遠な路を歩ように見えるかも知れない。
    しかし或る種の仕事は、何年やってもその効果が蓄積しないもので
    あるが、科学的の研究は、本当の事柄を一度知って置けば、その後
    の研究はそれから発達することが出来るのであるから、そういう意
    味では決して迂遠な道ではなく、むしろ最も正確な近路を歩いてい
    ることになると少くとも科学者はそういう風に思っているのである。

    「雪を研究する」という仕事は一人の人間が一生を費してやっても
    到底かたづくような問題ではない。一石ずつ築いた研究の上に立っ
    て、今後の有為な人々が、何十人か何百人かあるいは何千人かが、
    更にその上に真剣な努力を積み重ねることによって一歩一歩と完成
    に近づくというような性質の問題であろうと思われる。

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    ●[2]編集後記

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    最近、「わらべうた」の魅力にはまっています。わらべうたは各地
    で子ども達に受け継がれてきた唄で、「通りゃんせ」のように、そ
    の内容は、かなりシュールだったり、怖かったりするものが多いの
    ですが、とにかく独特の節回しがいいのです。日本人の身体に馴染
    んでいるというか、耳ををついて離れないものが多いですね。

    NHKの「にほんごであそぼ」を始め、わらべうたを集めたCDが出回
    っていて、我が家では皆で楽しんでいるのですが、最近の娘と私の
    お気に入りは「でんでらりゅうば」という不思議な歌です。

    でんでらりゅうば   (出ようとして出られるならば)
    でてくるばってん   (出て行くけれど) 
    でんでられんけん   (出ようとしても出られないから)
    でーてこんけん    (出て行かないからね)
    こんこられんけん   (行こうとしても行けないから)
    こられられんけん   (行くことはできないから)
    こーんこん      (行かない行かない)

    何でも長崎に伝わるものだそうですが、節回しも言葉もとても独特
    で、一度聞いたら頭の中をぐるぐると回り続ける魔力があります。

    娘はこの唄にちょっと前に異常にはまって、ところかまわず「でら
    でら」と唄っていたのです。それがこちらにも感染して、一緒に唄
    い始めたのですが、一体何と唄っているのかよくわからない。唄お
    うにも唄えないので、歌詞を調べて娘にも教えてあげたのですが、
    その途端、娘は唄わなくなってしまったのです。

    これは反省しました。娘には娘の聞こえ方があって、正確な歌詞や
    意味よりも、そちらのほうが大事だったのです。或いは、普通の日
    本語ではない、わけのわからない感じがあるからこそ、神秘的で惹
    き付けられたのでしょう。娘にとって神秘に満ちていたた世界を大
    人の浅知恵で壊してしまった。。。先週の苦い思い出です。

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著者プロフィール

1900年石川県生まれ。物理学者。東京帝国大学理学部で寺田寅彦に師事し、卒業後は理化学研究所で寺田の助手となる。北海道帝国大学教授、北海道大学教授を務め、1962年没。雪の結晶の研究や、人工雪の開発に成果を上げ、随筆家としても知られる。主な著書に『冬の華』『楡の花』『立春の卵』『雪』『科学の方法』ほか。生地の石川県加賀市に「中谷宇吉郎 雪の科学館」がある。

「2014年 『寺田寅彦 わが師の追想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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