雪 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003112427

感想・レビュー・書評

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  • 請求記号:451.6ナ
    資料番号:010676435
    雪の研究について語っています。私達もいっしょに仕事をしているような気持ちになります。

  • 雪の結晶は美しい。このように美しいものが無数に造られては、ほとんど誰ともしれず消えてゆく…何とも切ないものである。

    長野でスキーでに疲れた私は、舞う雪の形ばかり追いかけていたものである。

    雪の結晶は多種多様の形で現れる。温度、湿度等をコントロールすれば、針状から平面、ピラミッド、樹状… 面の成長速度のコントロールや不安定性の制御が成されている。結晶学を扱うものとしては自然の妙技に感嘆するばかり。


    中谷宇吉郎は雪の科学の第一人者で寺田寅彦の弟子。

  • 自然が織りなす美の不思議に惹かれて雪の研究にすすみ、1936年世界で初めて人工雪を作り出すことに成功した「雪博士」こと中谷宇吉郎博士の自然科学書。

    北国の雪害に関する話にはじまって、雪が空から地上に降ってくるまでの生成過程を雪の形状から解きあかし、研究の進め方と実験結果をグラフと図表をまじえて解説していく、とてもシンプルな内容の本。 
     しかし、読み終わったあと、静かな感動に包まれること間違いなし

  • 配置場所:摂枚フマニオ
    請求記号:451.66||N
    資料ID:59602269

  • 昭和20年頃に書かれたものをもとに構成。著者は生涯を雪の研究に捧げた。

  • 私が読んだのは岩波新書 赤版1984.1
    旧字体で、非常によろしかった。


    「雪は天からの手紙である」という一節が有名らしいのですが、寡聞にして知らず。
    その出典元はこの本ということから、読書。
    前半は雪の被害について。雪下ろしには高額が必要とは聞いて驚いたけれど、当時はもっと大変だったようだ。
    その後は、結晶写真の撮影方法や、人工雪の作成方法について。
    世界で初めて人工の雪を作ることに成功した方です。

    雪の結晶は、六角形をしている六花以外にもあるとは知っていたけれど、こんなに色々形があるとは。
    何より驚いたのは、立体にもなるということ。あの扁平な形だけじゃないんだ!
    鼓形の写真を撮るために、スライドグラスにちょっと唾をつけて、結晶を立ててみたり、マッチの軸を折って、その毛羽で立ててみたり、自分の熱が伝わって雪が融けてしまうのを防ぐために革手袋をしたり……と、なかなか大変な様子がおもしろい。


    p156
    さて、雪は高層に於いて、まづ中心部が出来それが地表迄降つて来る間、各層に於いてそれぞれ異なる生長をして、複雑な形になつて、地表へ達すとと考へねばならない。それで雪の結晶及び模様が如何なる条件で出来たかといふことがわかれば、結晶の顕微鏡写真を見れば、上層から地方までの大気の構造を知ることが出来る筈である。中略
     このやうに見れば雪の結晶は、天から送られた手紙であるといふことが出来る。そしてその中の文句は結晶の形及び模様といふ暗号で書かれているのである。その暗号を読みとく仕事が即ち人工雪の研究であるといふことも出来るのである。


    これ、ほぼあとがきに近い部分でした。
    エッセイかと思っていたけれど、万人に読みやすい研究紹介のような本。
    結晶を撮る際の寒さへの苦労とか、親しみを感じる。



    p48
    この細塵は太陽の光との合奏によつてわれわれに青空を与へている。若しも空気中に此の種の細塵がなかつたなら、われわれは青い空を見ることが出来ないのである。
    空が青いといふことは、空気が青いのではなく、空気はもとより無色透明のものである。空から来る光は、日光の中の青い光が空気の分子や空気中に浮かんでいる此の種の細塵に散乱されて、青い光となつて人間の眼に入るのである。もともと日光の中には赤も黄も翠も即ち虹の七色があつて、之等の色は光の波長のちがひから生じて居るのである。即ち色々の波長の光の集まりである。日光が空気の分子や細塵に当つて散乱される時に、その波長がこの空気の分子や細塵よりも更に小さい光だけがよく散乱されるのであつて、波長の長いものは、これらの微小固体があつても、それでは散乱されずにどんどん通つてしまふのである。それはちょうど川や湖などで色々の波が岸へ寄せて来る場合に、岸から少し離れたところに碇を下ろしている船があるとすると、小波は舟に遮られて反射されてしなふが、大波は船にあたつてもかまはずに通り越して岸に寄せてくるのと似たやうな現象なのである。即ち空を仰いで居る人間の眼に入つて来る光は、空気の分子や細塵のために散乱された波長の短い青色の光が多い為に青く見えるのである。


    夕日が赤いのは、射し込む角度が水平に近いために、波長が長い赤が残るんでしたっけ?
    この、細かい塵による散乱によって青が見える、というところ。
    何故青いのか、は、海も空も波長がどうたらって説明はあちこちで読んだのだけれど、これが一番、納得出来た。

  • 雪の結晶を人工的に作って見て、天然に見られる雪の全種類を作ることができれば、その実験室内の測定値から、今度は逆にその形の雪が降った時の
    上層の気象の状態を類推することが出来るはずである。このようにみれば雪の結晶は、天から送られた手紙であるということが出来る。

    最終ページの文章である。読み進めて、この言葉に出会うとふと感動してしまった。

  • かの有名な千夜千冊の第1夜目を飾った一冊。


    読もう読もうと思ってずっと平積みされていた本。
    『雪国』もそうだが、やはり読むなら冬にしたい。
    そう思って1年以上ストックの中に埋もれていた。
    各地を襲う豪雪のニュースを見てふとこの本の存在を思い出した。


    中谷宇吉郎は世界で初めて人工的に雪を作り出すことに成功した人物だ。いわばパイオニア、もしくは重鎮で、師匠はあの寺田寅彦という。
    大物の風格はばっちりだが、本の内容は意外にもフランクで、初心者向けに書かれている。読んだ後に略歴等を調べるまでまさかそんなえらい人とは思わなかった、と思うぐらいに優しい。
    語っている題材は当然ながら雪について。題名の通り。
    試行錯誤を繰り返して雪の研究を行う中谷の姿が思い浮かぶ穏やかな文体。
    深く雪について突っ込む気は私にもないのでこのぐらいでとても満たされるものだ。
    研究の歴史、雪と人のつきあい、結晶の美しさ、雪誕生の秘密。まんべんなく、そしてちょうどいい。

    気に入った文は以下の引用。

    【……しかしわれわれが日常眼前に普通に見る事象の悉くが、究めれば必ず深く尋ねるに値するものであり、究めて初めてそのものを十分に利用することも出来、またもし災害を与えるものであればその災害を防ぐことも出来るのである。それ故に出来るだけ多くの人が、まず自分の周囲に起こっている自然現象に関心を持ち、そしてそこから一歩でもその真実の姿を見るために努力をすることは無益な事ではない。すべての事柄について一般的の知識の向上は、必ず後日そこから優れた成果が出て来る土台となるものである。】



    わたしが不思議に思ったのはなぜこの本が岩波文庫の緑なのか、ということ。
    緑帯びは日本文学だとイメージしていた。そしてこういった学術的なものは青だと思っていたのだが、はてさて。
    確かに文学作品ではないけれど、学術書籍でもない。いわば新書、学者さんが書いたコラムだからこの分類になったのかな。

  • 中谷さんは、1900年生まれの物理学者。世界に先駆けて人工雪を作ってしまった人。
    この、岩波文庫の名著『雪』では雪の被害に始まり、生成条件を解き明かし、雪の正体をつかまえるために人工雪を作る過程が描かれています。

    科学のお話なので、一般人にわかりやすく書かれたものではあるけれど、わたしには少々難しい箇所もありました。
    それでも「へえ~」「へえ~」の連続で面白かった!
    こんなことを研究されている方がおられるんだなぁ…。文章もとても読みやすくて、確かに名著。
    と思ったら、なんと中谷さんは寺田寅彦のお弟子さんなんだとか。エッセイも山ほど書き残しておられる。

    『雪』にはベントレーのことも出てきた。もちろんこの写真集のことも。
    彼は科学的素養をもたず、美しい雪の写真を撮ることを楽しみとしていた人だから、倍率や降った時期の記載が全然ないのが惜しまれるとしたうえで、こんなふうに書いている。

    雪の結晶について多くの人の人々の関心と興味とを喚起した。この点においてウイルソン・ベントレーなるアメリカの一老人は偉大なる功績を残したということもできる。厳密にいってそれは科学的研究の産物とはいえないかもしれないが、その一生を通じて自然に対する純真な興味を失わず、うまずたゆまず成し遂げた彼の事業に対しては、われわれは尊敬を払わなければならないであろう。

    でもね、こう書いたあとで、雪の結晶というのはほんとはベントレーの写真集に並んでいるような美しい結晶ばかりではないので、一般に雪の結晶というものがベントレーの写真集のようなものだと思わせたことは注意する必要がある、とも書いておられます。

  • 人口雪の研究をすすめた博士は、雪の結晶から空の上層の気象の状態を類推することが出来ると語られます。“雪の結晶は天から送られた手紙でありその中の文句は結晶の形及び模様という暗号で書かれている その暗号を読みとく仕事が即ち 人口雪の研究である ということもできる”科学者さんとはロマンチックだなあ と感じました。 厳冬の地北海道で雪の結晶を観察するため顕微鏡をのぞきこまれる姿、降る雪を見上げていると、自分がまるで天に昇ってゆくような錯覚を覚えると書かれた文章。読んでいてとても静かな、おごそかな気持ちになりました。  暗号で書かれた多くの手紙がわたくしのまわりにもあふれているのかも。気づかれないままに。

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著者プロフィール

1900年石川県生まれ。物理学者。東京帝国大学理学部で寺田寅彦に師事し、卒業後は理化学研究所で寺田の助手となる。北海道帝国大学教授、北海道大学教授を務め、1962年没。雪の結晶の研究や、人工雪の開発に成果を上げ、随筆家としても知られる。主な著書に『冬の華』『楡の花』『立春の卵』『雪』『科学の方法』ほか。生地の石川県加賀市に「中谷宇吉郎 雪の科学館」がある。

「2014年 『寺田寅彦 わが師の追想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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