雪 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003112427

感想・レビュー・書評

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  • 1/12は
    スキーの日
    スキーに必要な人工雪の実験に世界にさきがけ成功、雪の結晶の生成条件を明らかにした雪博士の著作を。

  • 雪は天からの手紙である・・・という有名な言葉が載っている本。

    昭和初年。雪と言えばまだせいぜい美的興味かはたまた生活の障害物でしかなかった時代に、筆者・中谷宇吉郎氏は雪の結晶を撮影し、分類・体系化し、さらには種々の条件下で人工の結晶を作って空の大気状態を類推するところまで研究を進め、世界的な評価を得た。その経緯…そもそもの関心の所在や、研究のあらましを伝える本である。

    もっともこの本は、一般読者への啓蒙が主眼という通り、学問的なものではない。結晶の撮影のために十勝岳の白銀荘を借り、雪が降らない時には仕方がないから山スキーでもしようとか、北大の低温施設で満州の哨兵のような恰好で実験を進めたとかの軽口を交えながら、さらりと軽妙に書かれている。もちろん、厳寒の中で、しかもコンピュータや上等な光学機器もない時代に、地道な試行と考察の繰り返しは生半可な苦労ではなかったろう。

    昭和13年頃に書かれた薄い文庫本というのはそれ自体なんだか味があるし(蛮族とか裏日本とかいう単語にはどきっとするけど)、その文体の香りとともに、まだ日本に自信があった時代の知的好奇心と学究精神を伝えてくれる好著である。

  • 「複雑精緻をきわめた美しい六花」雪の結晶を表すこの言葉だが、六花以外の美しくない結晶は幾許とある。結晶はどのような種類があるか?雪はどうしてできるか?雪の正体を掴むため、人工で雪華を作った「雪博士」中谷の、文理問わずオススメする「自然科学読本」。【中央館/080/IB/G124-2】

  • やっと読めた。「雪は天から送られた手紙である」という素敵な言葉は前から知っていたし、少し前に師匠に当たる寺田寅彦の作品を多少読んでおりかねがね読みたいと思っていた。この冬の間に読めて良かった。

    冒頭では専門ではないとしながらも人の生活の中での雪、特に雪害について述べ、本文中では単に仕事として研究しているのではなく、雪の美しさ、自然の美しさに感動していることを記し、附記では雪の研究は一人の人間が一生かかっても片付くようなものではないが、自分の研究が後進の土台となっていくという科学の在り方を述べて結んでいる。
    「自然に感動すること」、「地道に誠実に研究すること」、「科学と社会の関係」などおそらく自然科学者としてとても大事なことを含んでいると思う。

    「研究というものは、このように何度でもぐるぐる廻りをしている中に少しずつ進歩していくもので、丁度ねじの運行のようなものなのである」
    とかく最近はすぐに結果を求められる時代になっていきているけど、科学研究のこうした性格を認識して、基礎研究を守っていける社会であってほしい。

    さすが寺田寅彦の弟子だけあって、情緒を感じさせてくれる。『科学の方法』も最近買って読みたいけど、『中谷宇吉郎随筆集』も読んでみたい。

  • 雪の結晶の分類など細かいところまで入り込んでいくと、まさにミクロの話しでちょっとついていけなくなる(じっさいかなり斜め読みしてしまった)。それよりも著者も述べているように、自然科学の研究とはこういう風にして進めていくのだ、ということがわかればよい、というスタンスで読んでいくとおもしろい。自分が好きだと思える者の研究に心から打ち込め、それでご飯が食べられるというのは何ともうらやましいことだ。もちろんそこに行くまでにはいろんな苦労があるわけだが。その苦労や失敗をあえて書いていないという指摘が読書会では出たな。

  • 風呂読書で。

  • あまり真面目な本を読んできていなくて,どう選べばよくわからないなー→とりあえず松岡正剛の千夜千冊で紹介されてる本を読んでみるか→ではまず1冊目から,という経緯で読んでみた。おすすめタグに「松岡正剛千夜千冊」が出てきたのを見るに,他にもそういう感じで読んだ人がいるのかな…
    読んでいて思ったのは,「あー,これがサイエンスコミュニケーションか」ということ。というかこの時代にそういうことを考えて物を書いていた人がいる,というのはすごいことのような気がする。寺田寅彦の存在があったから,というのもあるかもしれないけれども。ちょうど雪も降り始めた時期だったので,読んでいて楽しかったです。
    次は2冊目を読もうか,それともリンクに書かれていた本を読もうか。次に読む本を悩むのもちょっと楽しい。

  • 著者の探究心と実験の手作り感が素晴らしかった。

    雪の結晶というと枝分かれしながら点対称に広がっていく形ばかりを思い浮かべていたが、地道に研究をして様々な雪の結晶の形を分類し、それらが生成する条件を明らかにしていくプロセスが、手に取るように分かった。

    科学の実践の原点がここにあるように感じた。

  • 【つぶやきブックレビュー】昨日の大雪もおおかた解けてしまいました。「雪」といえば、中谷宇吉郎。

  • 【展示用コメント】
     雪はどうやって作られるのか!?

    【北海道大学蔵書目録へのリンク先】
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?lang=0&amode=11&place=&bibid=2000559079&key=B151608023015939&start=1&srmode=0&srmode=0#

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著者プロフィール

1900年石川県生まれ。物理学者。東京帝国大学理学部で寺田寅彦に師事し、卒業後は理化学研究所で寺田の助手となる。北海道帝国大学教授、北海道大学教授を務め、1962年没。雪の結晶の研究や、人工雪の開発に成果を上げ、随筆家としても知られる。主な著書に『冬の華』『楡の花』『立春の卵』『雪』『科学の方法』ほか。生地の石川県加賀市に「中谷宇吉郎 雪の科学館」がある。

「2014年 『寺田寅彦 わが師の追想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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