アラスカの氷河: 中谷宇吉郎紀行集 (岩波文庫 緑 124-3)

著者 :
制作 : 渡辺 興亜 
  • 岩波書店
3.90
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本棚登録 : 64
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003112434

作品紹介・あらすじ

雪の博士として世界的にも知られる中谷宇吉郎は、満州、樺太、アラスカ、ハワイなどを訪れ、寒冷地の自然、人々の暮し、各地での研究の様子を記した。最後に病をおして赴いたグリーンランドでの研究は、後の極地調査に受け継がれるものである。

感想・レビュー・書評

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  • 青空文庫でたまたま読んだ中谷宇吉郎の作品がとても好きで、岩波文庫の一冊を手に取ってみた。

    低温科学、特に雪の研究者として著名な方だが、難しい研究を一般の人にも分かりやすく伝えるため、随筆という手段もとても大切にしていたらしい。

    この本も研究旅行を紀行集として纏めているような形だが、決して難解な言い回しをしようとしていない。わかりやすく、素直で、好奇心に満ちた文章である。まるで自分も一緒に研究旅行を回っている気分になれて、とても面白かった。

    冬の読書にぜひおすすめしたい一冊。

  • 極寒の地の色彩、自然描写がすばらしい。
    雪の研究の第一人者、中谷宇吉郎の紀行集。
    ユーモア溢れる文体は、さらっと読めて笑いを誘う。
    トイレから出てシロクマとばったり!
    笑い事じゃないけどおもしろい。
    <手書きPOPより抜粋>

  • 請求記号:452.9ナ
    資料番号:010750107
    氷の結晶は、主軸の方向には石のように硬く、それと直角の方向には、水あめのように軟らかいのです。

  • 中谷宇吉郎(1900-62)の氷雪研究(おもにフィールドワーク)の随筆集です。32歳で雪の研究をはじめ、その4年後には人工雪の生成に成功、38歳ぐらいから執筆活動、40歳ぐらいからフィールドワークも始め、この本にあるだけでも、サハリン、シベリア、満州、アラスカ、カリフォルニア、ハワイ、グリーンランドなどに長期滞在し、果ては北極海を漂流する氷河(氷島)にも降り立っています。すさまじい研究意欲と実行力です。この本だけ読むと、物理学者というよりは冒険家です。その文章から漂う高い教養とある種貴族的な物腰は、この時代の科学者に対して僕がもつイメージの原型となっています。

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著者プロフィール

1900–1962
石川県生まれ。
東京大学理学部を卒業し、理化学研究所で寺田寅彦の助手として勤務。
後に北海道大学教授を務め、雪と氷の研究で新境地を開く。
物理学者でありながら随筆家としても活躍。師と仰いだ寺田寅彦の想い出を綴った「寺田先生の追憶」をはじめ「日本人のこころ」「私の生まれた家」など作品は多数。

「2021年 『どんぐり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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