冥途・旅順入城式 (岩波文庫)

著者 : 内田百けん
  • 岩波書店 (1990年11月16日発売)
3.84
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  • 本棚登録 :558
  • レビュー :67
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003112717

作品紹介・あらすじ

いまかいまかと怯えながら、来るべきものがいつまでも現われないために、気配のみが極度に濃密に尖鋭化してゆく-。生の不安と無気味な幻想におおわれた夢幻の世界を描きだした珠玉の短篇集。

冥途・旅順入城式 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 今回も百閒先生に異界へ連れて行っていただきました。
    個人的には「冥途」の作品群のほうが好みです。
    主人公がなぜか身体が牛で頭だけ人間の化け物になってしまった「件」にただようおかしみが印象的。
    件になったのはいいとしても、自分には予言することがないということに悩む主人公を、気の毒に思いつつもにやっとした笑いもこぼれてしまいます。

    「旅順入城式」はねとっとした恐さがちょっと苦手でした…。
    それに、主人公が何かを追いかけていくストーリーがいくつかあるのですが、それも苦手かも。
    これ以上追いかけない方がいい、と内心では思っているのに追いかけてしまう抗えなさと、その先に待ち受けているであろう、何かわからないけれども恐ろしいものの気配に鳥肌が立ってしまいました。

  • 冥途:1921年(大正10年)。
    じわりと滲み出る不穏な気配。風景がひび割れて、そこから得体の知れないものが漏れ出して、足元からひたひた浸されてゆく感じ。何となくマグリットの絵を連想した。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「何となくマグリットの絵を連想した。」
      悪夢ですね。
      2014/03/17
    • 佐藤史緒さん
      個人的には、マグリット好きなんですけどね(^ ^;)
      でもまぁ悪夢ですね(笑)
      2014/03/18
  • 幻想小説と言えばこの人、的な存在。
    夏目漱石の門弟で、芥川龍之介とも親交が深かったらしい。
    この作品は、漱石の『夢十夜』と似たテイストだそうだけど、まだ未読なのでいずれ読まないと。

    わたしの好きな幻想小説というジャンルで検索かけると、必ずと言っていいほど出てくるこの作品。
    さすが。大好物でした。
    短編小説なので、余計な伏線などはなく、イキナリ始まってイキナリ終わる。
    日常と非日常の境目が曖昧で、不思議が不思議なまま終わる。
    読者が置いてきぼりにされ、否応なしに余韻にひたらされる。
    雨がしとしと降るような静かな真夜中、この本を読むと背中がゾクゾクしそう。
    近代文学最高。


  • 幻想的と簡単にくくれない、もっと禍々しくおどろおどろしい怪奇小説。

    「これが自分たちを脅かしている」とはっきりわからない、道理の通らない怖さ。

    「なにか自分たちを脅かすものが存在するのに、目に見えない・どのように動いているかわからない」といった、すなわち「得体の知れないもの」がもたらす恐怖。

    じわじわと来たるぼんやりとした不安、
    ときにユーモアに軽妙洒脱に描かれている。

    唐突に始まり、オチもなくおわる余韻が堪らない。

    気づいたときには、全神経を尖らせている様な
    まさに「水を浴びた様な」冷ややかさ。

    日常と夢想の狭間を描いた物語。

    一篇読み終わるたびにほっと溜息をつくような
    幾度も導かれるバイブル本。

  • 妖しげで不気味な雰囲気を携える幻想短編集。
    終始一貫した独特な世界観の作品の数々に、異世界に迷い込んだ気分になります。救いのない話から、どこかユーモラスな雰囲気のある話まで。
    印象的なのは『件』。気付いたら件になっていて村人達から期待の眼差しで預言を待たれるという設定は実際とんでもない話ですが、主人公の開き直りにも近い姿勢が逆に清々しく感じてこの作品群のなかでは一番気楽に読み進められます。

    夏目漱石の『夢十夜』と類似していると聞きますが、本作の方が断然禍々しさを感じます。そこが堪らないのですが。

  • 大好きな幻想小説。久しぶりに再読した。ふとした日常の中に入り込む悪夢。そしてなに一つ解決しない。けれど、所々百閒先生らしいユーモアが混じる。それが物語の中から悲惨さを無くし、恐ろしい悪夢ながらも、なぜかスッキリとした読みごこちになる。そして、日本語の描写が美しい。

  • 悪夢。数多くの悪夢がとめどなく。

    私は冥途の方が好み。
    冥途は、というか序盤の作品は
    主人公の目線だけ。
    主人公の足元だけを
    言葉にしている感じ。
    旅順入城式はより怖い。残酷。

    件、蜥蜴、疱瘡神、残照がおすすめ。

  •  内田 百閒(1889年~1971年)は夏目漱石の門弟です。
     『冥途』は1922年(大正11年)に刊行されています。
     『旅順入城式』(岩波書店)は1934年に出版されています。
     私は今回はじめてこの作家の作品を読みましたけれど、独特の雰囲気のある作家です。
     岩波文庫の解説にあるように、『冥途』は夏目漱石の『夢十夜』と類似性が指摘されているそうです。『夢十夜』は漱石が見た夢を小説に書いたものです。確かに、『冥途』でも悪夢のような短編作品が並んでいます。
     特に私のお気に入りの作品は次の2つです。
    『件(くだん)』
     気かつけば、自分が頭が人間で胴体が牛という件の浅ましい怪物に生まれ変わっています。怪物である私の予言を聴くために、四方八方から人々が群れ集まって来ますが・・・。
     これは面白いです。
    『短夜』
     狐が化けたところを取り押さえてやろうとする男ですが・・・どんでん返しが鮮やかな作品です。
     『旅順入城式』にも、良い作品があります。「昇天」は素晴らしいと思いました。
     もし知らなくて、読んでみておもしろかったらコメントくださいね。


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    にゃんくの本『果てしなく暗い闇と黄金にかがやく満月の物語』より
    (あらすじ)

     七歳になるリーベリの元に、或る日、継母のケイとその娘ミミがやって来ます。継母に虐められ、リーベリは学校にも通えず、幼い頃から働かされ、友達すらいなくなります。
     リーベリの心の拠り所は、亡くなったママ・ジュリアが遺してくれた魔法の教科書だけ。リーベリは毎日魔法の勉強をし、早く大人になり自由な生活を送れる日が来ることを夢見る毎日です。
     成長したリーベリの唯一の仲間はぬいぐるみやカラスだけです。
     或る日、そんなリーベリは、海岸にひとり男が倒れているのを見つけますが……。


    ↓ここから本を試し読みできます

    http://p.booklog.jp/users/nyanku

  • やっかいなしゃれたじいさん

  • 短編集だが,ひたすら悪夢が続く.悪夢というと語弊があるけど,要は,夢でうなされているような話ばかり.夢なので何のオチもない.ひたすら脂汗が出たり,歯ぎしりしたり,そんな気色の悪い(と一言で括ってしまうのも,また問題があるような)話ばかり.でも,止まりません.

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