東京日記 他六篇 (岩波文庫)

著者 : 内田百けん
  • 岩波書店 (1992年7月16日発売)
3.69
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003112724

作品紹介・あらすじ

日常の中に突如ひらける怪異な世界を描いて余人の追随を許さない百〓@6BE1文学、後期の傑作七篇を収録。東京幻想紀行とでもいうべき「東京日記」をはじめ、「白猫」「長春香」「柳検校の小閑」「青炎抄」「南山寿」「サラサーテの盤」を収録。

東京日記 他六篇 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 百閒先生の描き出す、得体の知れなさが好きです。
    表題作「東京日記」の、現実にある場所を舞台にしているのに、ひゅっと異界に引き込まれている感じ。
    そして、少しは驚くものの、割とおとなしくその状況を享受している語り手にも、なんだか惹かれてしまうのです。
    独特のおかしみに、ついついにやりとした笑いが浮かんでしまいます。

    でも、人間の情念が描かれる物語の中には、背筋がぞっとするものも。
    特に「南山寿」に登場する金縁眼鏡の男の、ねっとりとした粘着質な感じがなまなましくて「うげっ」と声を漏らしてしまいました。

  • 表題作が一部「1Q84」に引用されたようなのでご存じかもしれません。『東京日記』はもちろんですが、『長春香』と『柳検校の小閑』が特にお薦めです。二作とも関東大震災で亡くなった琴の女弟子についての惜別の情が…などというのは抜きにしてとにかく文章の巧さに震えます。

    オススメ:『白猫』『長春香』『柳検校の小閑』
    特に特に『柳検校の小閑』は、半端な恋愛小説を吹っ飛ばしてしまいます。

  • 3刷1993年。 201

  • 読み易く雰囲気はいいが、不思議な世界についていけないこともあった。読み易いのは現代語版だからかも知れない。

  • これは異界のチラリズム、もしくは秘すれど隠しきれない不安感―百閒はこの手の機微を描くのが抜群に上手い。それは知性や高尚さというものをドブ板に流し込み、地べたに生きる日常を丁寧に描く作風からも明らかだ。しかしそこに穴を開け幻想を埋め込む事でぞくりとさせる嫌らしさ。食えないが憎めない爺さんであることは間違いない。表題作では不気味で不思議ながら後味はさっぱりとした奇譚が淡々と日記風に綴られる。映画の原作でもある『サラサーテの盤』での感傷が一陣の風となって通り過ぎていく様な、無性に心をざわつかせる感じも悪くない。

  • 日常から横滑りに異界へと誘う内田百閒のサイコな世界。自分でも気付かないまま抱え込んでいる不安や焦燥をそっと抉り出すような、静かで鋭い文体にゾッとしながら惹き込まれる。

  • ほんと一貫した作風なんだなぁ、と感心。どちらかというと冥途の方が好み。なのですが、過去の一瞬を振り返る、というのが泣きツボなので「柳検校の小閑」が切なくてかなり気に入りました。

  • 昔の文体は、苦手です。数ページ読んだだけで、他に目移りしてしまいました。決して、この本がつまらないと言う事ではないです。

  • 鈴木清順の映画『ツィゴイネルワイゼン』を観て衝撃を受けた。それからだいぶあって、原作があると知り、それを読んでいるもんだと思っていたが、実は読んでいなかったと気づき購入。それとは最後に収められている「サラサーテの盤」。静かに流れる日常のなかの奇妙な風景が映画とは違ってすばらしい。全体に共通しているのは、表題に「日記」とあるように、エッセイと見まがう程の日常感。終始、こんなことがあった、という風に綴られ、その妙な出来事も本当にあったことのように思われる。

  • 『東京日記』や『青炎抄』は読んでいくうちに夢中になって読んだ。丸ビルの消失の話や女先生の話が印象に残った。
    『南山寿』は何も起こらない、ほんとうに何も起こらないように思えるのにとても怖い。

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