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Amazon.co.jp ・本 (346ページ) / ISBN・EAN: 9784003113813
みんなの感想まとめ
多様な感情を織り交ぜた短歌が詰まった作品で、特に戦争を題材にした詩は、深い悲しみと共感を呼び起こします。著者の自然描写や家族への思いは、読者に温かさや安らぎを与えつつ、時には厳しい現実をも直視させます...
感想・レビュー・書評
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宮柊二さんの歌集ですね。
宮柊二さん(1912ー86)歌人、作家。
解説で『本書は、「群鶏」から「白秋陶像」に至る宮柊二の十二冊の歌集から抄出した作品一七五六首(長歌一首を含む)を収録したアンソロジーである。』とあります。
歌集を読むのに、一冊・百首程度が読みやすいので、ちょっと疲れましたが、宮柊二さんの短歌は、詩編のように気持ちの善いものなので、愉しく味わいました。戦争を詠んだ短歌は流石に辛い物がありますが、宮柊二さんの誠実で飾らず率直な、自然と生ある者への愛情に満ちあふれた短歌は、共感と感動を今に至るまで、錆び付くことは有りません。
かなしみをはるかに聞かば過ぎし人
あわれを知りて妻となりゐむ
氷雨ふる木下暗(このしたぐれ)にのがれ来て
生きの命に啼ける鶏(とり)はや
霞草の一面にしろき丘くだり
きざしくるおもひせちに切なき (山中湖畔)
をさな子が遊びのひまに表情を
変へゆくことのあな優々(やさやさ)し
七夕の星を映すと水張りした
らひ一つを草むらの中
むらさきの木槿(むくげ)の花は照るばかり
寂しきありて一本(ひとき)立つ見ゆ
あたたかき饂飩(うどん)食うかと吾が部屋の
前にたちつつわが妻が言ふ
一鉢の黄の福寿草一壺の
しろたへの塩今年始まる
庭さきに梅が枝(え)黒しあたらしき
風触(さや)りつつ蕾やや紅(こう)
雨もよひ夏の日ざしの静まりに
木ささげの花白く咲きゐる
紫の睡蓮ひらき花小さく
孫女童(まごめわらは)のひとみおもほゆ
梅、石楠花(しゃくなげ)つぼみたしかに
はぐくみて 冬日に光る励まされをり
七十歳越ゆる人は一生の
限度にあらむわれも越えしが
長(おさ)の子に妻めとらせむとおもひたる
今日庭に咲く石楠花ゆたか
むらさきに菫(すみれ)の花はひらくなり
人を思へば春はあけぼの
雨戸あけ夜空仰げばすさまじく
月かかりをりただひとつにて
解説で高野公彦さん(編者)が、「心はかえって澄み、たんたんとした詠み口で慈味を湛えた歌は、読む者の心を包むようなやさしさがある。」と語られています。やわらかい作風は心に安らぎを覚えますね。
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「宮柊二歌集」 岩波文庫【31-138-1】
編者 宮英子/高野公彦
本書は、宮柊二氏の一二冊の歌集から抄出した作品1756首(長歌一首を含む)を収録したアンソロジーになっています。編者の一人である宮英子さんは、氏の奥様にあたります。
一二の歌集と、心に止まった多くの歌から一首ずつご紹介させてください。
第一歌集『群鶏』(昭和10年6月ー昭和14年8月)
「疾風(はやてかぜ)揉み揉む梢の花白く
傷めらるるものの美しさにあり」
第二歌集『山西省』(昭和15年1月ー昭和18年12月)
太平洋戦争の戦場詠が主となっている。
「まどろめば胸どに熱く迫り来て
面影二つ 父母よさらば」
第三歌集『小紺珠』(昭和21年1月ー昭和23年6月)
敗戦直後の混乱と窮乏の中詠まれた抒情歌
「七夕の星を映すと水張りし
たらひ一つを草むらの中」
第四歌集『晩夏』(昭和23年4月ー昭和25年10月)
まだ物資の困窮の中、会社勤めの日々
「語ることすくなく二人寝ころびて
蟋蟀(いとど)がくれば笑ひ合ひにけり」
第五歌集『日本晩夏』横浜から東京へ転居
(昭和25年11月ー昭和28年3月)
「雨となる曇り日の午後 秋ふかき
松葉牡丹の種子(たね)とりにけり」
第六歌集『多く夜の歌』初めて収録歌千首超え大冊
(昭和28年3月ー昭和36年1月)
「ときをりに恐ろしきこと宇宙ゆく
シベリヤ犬の旅行おもへば」
ーこの後から三冊の大冊歌集が続く。歌人としての評価が高くなったことなどが背景にある。ー
第七歌集『藤棚の下の小室』
(昭和36年1月-昭和41年1月)
「萌えいでし 若葉や棗は緑の金、
百日紅(ひゃくじつこう)はくれなゐの金」
第八歌集『獨石馬』(昭和41年1月ー昭和47年12月)
「白樺の庭の樹間(このま)に土割りて
花可憐なる スノー・ドロップ」
第九歌集『忘我亭の歌』
(昭和48年1月ー昭和53年3月)
「穉児(をさなご)の
こゑ電話より優々(やさやさ)し
羅睺羅(らごら)のごとき声よと思ふ」
第一〇歌集『緑金の森』
(昭和53年4月ー昭和55年一部)
「この庭で手鞠遊ばむ待ちがたく
孫の童(こ)を待つ春はあけぼの」
第一一歌集『純黄』(昭和55年ー昭和59年一部)
「池ぎはに咲くさるすべり花散れば
右往左往す池の金魚ら」
第一二歌集『白秋陶像』(昭和59年ー昭和61年)
「ハレー彗星楕円軌道をゑがきつつ
地球に近づく昭和六十一年」
第七歌集以降は、愉しく詠まれている歌が多くて、一つ選ぶことは難しいです。
(徐々に病に悩む歌も増えていきます。)
様々な時代の流れを感じながら、情景や家族を思う優しさに触れられる日記のような歌集でした。
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お恥ずかしながら歌に疎くて、“ひだまりトマトさんの本棚“で宮柊二さんを初めて知りまた。図書館でお借りし、少しずつ読み進めて無事に読み終えましたが、付箋でいっぱいになってしまっています。(返却前に外さなければです。汗) 全歌集から抜粋された入門編のような一冊で、大変充実した読書体験になりました。ひだまりトマトさん、ありがとうございました。(*´ω`*)
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メメさん、お疲れ様でした(´ー`).。*・゚゚
すごく丁寧な感想に感動しました♪
宮さんの歌集は、実は東直子さんの本で知りました。
柔らかく...メメさん、お疲れ様でした(´ー`).。*・゚゚
すごく丁寧な感想に感動しました♪
宮さんの歌集は、実は東直子さんの本で知りました。
柔らかく身近な作風に惹かれたのですが、メメさんにも何か感じるものが得られたようなので良かったです。(笑)
一度にたくさん読むのは大変でしたね(^_^;)
これからも短歌に親しんでまいりましょう(’-’*)♪
明日が好い日でありますように(^.^)/~~~2024/06/24 -
刺激を受けながらも、愉しい時間でした。☺️
よい夢を。良い睡眠をとられてください〜(*´︶`*)刺激を受けながらも、愉しい時間でした。☺️
よい夢を。良い睡眠をとられてください〜(*´︶`*)2024/06/24
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『山西省』の臨場感は他に類を見ないものだ。最前線の一兵卒の見ている景色がまざまざと眼前に現れる。彼の感情の動きがありありと手に取るようにわかる。晩年に至るまで折に触れては戦争の歌が詠まれる。その体験の強烈さを表している。『忘瓦亭の歌』にある母親の死を詠む歌を心に留める。『純黄』にある近鉄対広島の歌などなごむ。
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「ひきよせて寄り添ふごとく刺ししかば声も立てなくくづれおれて伏す」いつぞの新聞で取り上げられていたこの歌に驚いて宮柊二の名を知る。それを収める山西省が欲しかったけれど高い中古しかなかったので本書を購入。
詩歌をうまく解す心が私には十分ないが、通底する悲哀の上に戦争の過酷さ、怜悧な自然描写、家族を想う気持ちがないまぜになった歌歌にはっとさせられた。
晩年の体の不調とともに厳しさを失った歌にはさほど心を動かされなかったものの、一冊を通して追いかけた戦前戦後を生きたひとりの最期を看取るような気持になった。 -
流れつつ藁も芥も永遠に向かふがごとく水の面にあり
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「現代短歌 そのこころみ」でいちばん印象に残った歌人。
「山西省」の後記は図書館で借りた全集のをコピーして持っています。各歌集の後記は岩波文庫には収録されていないのが残念。
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