宮柊二歌集 (岩波文庫)

著者 :
制作 : 宮 英子  高野 公彦 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 18
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003113813

作品紹介・あらすじ

濃やかな情愛と孤独な自己凝視-。戦後の代表的歌人宮柊二の全歌集から抜粋。作者は昭和初年に青春時代をおくり、苛酷な戦闘を体験し、戦後40年、誠実な一生活者として生きた。優れた戦争文学『山西省』のほか、サラリーマンの日常、家庭生活を詠い、生ある者への愛惜をこめた数多くの秀歌は人々の深い共感を呼ぶ。

感想・レビュー・書評

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  •  今回の研究会は、127ページ、昭和三十年の「元日晨朝」の節からである。

     128ページの初め、上の句の「貧しかる俸給取兼詩人にて」はなぜ「歌人」ではいけなかったのか。詩人かつ歌人を自称する僕の、拘る所である。

     「櫓の下」の2首目、「ゆたかなる霜置きしかば青のいろ賑はふに似て野の川くだる」の「青のいろ」は草の事か、川水の事か、僕は迷ったのだが、Tさんは歌の流れから、草の事だろうと判じた。
     同・4首目の、馬の蹄を洗いやる夢は、戦時経験が長く残っていたのだろう。

     「病後小吟」の節の1首目、下句の「むらさきかなし桐の花咲き」は、倒置法である。
     同・3首目の4句「引揚げてきて」は、戦地からの引揚げ者を指す。

     130ページに入って、「椎の実机にころがせり」の2句3句は、「椎の実を机(き)にころがせり」とすれば、音数は合う。もちろん作者には、わかっていた事だろう。

     131ページの、下句「路地行けば軒に鮟鱇吊らる」の軒は、魚屋の軒だろう、と感想が一致した。

  • 「ひきよせて寄り添ふごとく刺ししかば声も立てなくくづれおれて伏す」いつぞの新聞で取り上げられていたこの歌に驚いて宮柊二の名を知る。それを収める山西省が欲しかったけれど高い中古しかなかったので本書を購入。
    詩歌をうまく解す心が私には十分ないが、通底する悲哀の上に戦争の過酷さ、怜悧な自然描写、家族を想う気持ちがないまぜになった歌歌にはっとさせられた。
    晩年の体の不調とともに厳しさを失った歌にはさほど心を動かされなかったものの、一冊を通して追いかけた戦前戦後を生きたひとりの最期を看取るような気持になった。

  • 流れつつ藁も芥も永遠に向かふがごとく水の面にあり

  • 「現代短歌 そのこころみ」でいちばん印象に残った歌人。

    「山西省」の後記は図書館で借りた全集のをコピーして持っています。各歌集の後記は岩波文庫には収録されていないのが残念。

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