宮柊二歌集 (岩波文庫)

著者 :
制作 : 宮 英子  高野 公彦 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 17
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003113813

作品紹介・あらすじ

濃やかな情愛と孤独な自己凝視-。戦後の代表的歌人宮柊二の全歌集から抜粋。作者は昭和初年に青春時代をおくり、苛酷な戦闘を体験し、戦後40年、誠実な一生活者として生きた。優れた戦争文学『山西省』のほか、サラリーマンの日常、家庭生活を詠い、生ある者への愛惜をこめた数多くの秀歌は人々の深い共感を呼ぶ。

感想・レビュー・書評

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  •  今回は、歌集「多く夜の歌」の「瑠璃と紅」の章の「西国行」の節、124ページからである。

     初めの歌の4句5句「今年のわかき藺田(ゐだ)うち見ゆる」の「うち」と連体形は、貧しいながら農業生産の場(宮柊二は書店の息子で、農業経験がない)の力強さを感じたのだろう。

     2首目の4句5句「原民喜詩碑に対ひ立てりあはれ」は、結句が9音になっても、「対ひて立てり」では済まない、強い思いがあったのだろう。

     「高井戸の家」の章に入り、2首目「人間を大事にせざる実験の大き規模おもひこころ激(たぎ)ち来(く)は、当時の米ソの水爆実験を指すようだ。

     5首目「弁明をせずに生きむとおもふけど弁明以外の何を饒舌(しやべ)らむ」で、「けど」の口語は、「しゃべらん」の口語に繋がるのだろう。

     126ページの3首目の初句2句「ならびたる野菜なつかし」で懐かしいのは、僕は戦後復興を、Tさんは故郷を思っての事、と解した。

     次の「庭土の凹処(くぼど)に溜る雨水(あまみづ)が」の歌に惹かれると、Mさんが述べた。
     
     「しづかに映す」、「このしづかなる」の句が目立ち、心の静かさを、宮柊二は願ったのだろう。

     127ページの「十国峠」の節で今回の研究会を了えた。

  • 「ひきよせて寄り添ふごとく刺ししかば声も立てなくくづれおれて伏す」いつぞの新聞で取り上げられていたこの歌に驚いて宮柊二の名を知る。それを収める山西省が欲しかったけれど高い中古しかなかったので本書を購入。
    詩歌をうまく解す心が私には十分ないが、通底する悲哀の上に戦争の過酷さ、怜悧な自然描写、家族を想う気持ちがないまぜになった歌歌にはっとさせられた。
    晩年の体の不調とともに厳しさを失った歌にはさほど心を動かされなかったものの、一冊を通して追いかけた戦前戦後を生きたひとりの最期を看取るような気持になった。

  • 流れつつ藁も芥も永遠に向かふがごとく水の面にあり

  • 「現代短歌 そのこころみ」でいちばん印象に残った歌人。

    「山西省」の後記は図書館で借りた全集のをコピーして持っています。各歌集の後記は岩波文庫には収録されていないのが残念。

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