- 本 ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003114919
作品紹介・あらすじ
童話を単に子どものためのよみものではなく、おとなにも通じる永遠の童心に訴える文学ととらえた小川未明(1882-1961)は、創作童話に新生面を開き、数多くの傑作をのこした。「眠い町」「牛女」「金の輪」「赤いろうそくと人魚」「野ばら」「殿さまの茶わん」「兄弟のやまばと」「二度と通らない旅人」等32篇を収録。挿絵多数。
感想・レビュー・書評
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読んでいて童話というよりもホラーなお話が多いように思えました。私自身ホラーは好きなので楽しく読めました。
また後書きで書かれていた筆者の人生が壮絶で少し驚きました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この時代の丁寧な語りって好きだ。
道徳的過ぎるといえば過ぎるんだけど、この綺麗さは捨てがたい。 -
著者の創作した童話31編を収録しています。
著者は児童文学を、たんなる子ども向けの読み物ではなく、おとなたちの心の奥底にも生きつづけているはずの純真な感性に訴える作品を創作することをめざしたことで知られています。ともすれば教訓的な臭みを読者にあたえかねない主題に踏み込んだ作品もあるのですが、寓話として作品世界を構築することでそれを中和しているように感じられます。
「野ばら」は、かつて国語の教科書に採用されていた物語ですが、戦争に対する情緒的な批判を作品のうちに包み込んではいるものの、それを実践へとつなげていく回路をもたないために、平和教材としては限定的な評価に甘んじることになりました。とはいえ、文学作品としての評価は、おのずからべつであるはずです。個人的には、本書に収められている物語のなかでも、とりわけ印象的な作品のひとつになっています。 -
近代化の憂えがあるものの、痛烈な批判はなく、大人たちも考えさせる童話。作りは古いが、当時は新しかったのだと思う。内容に感銘はないが、時代性を知るには良い本。
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(特集:「先生と先輩がすすめる本」)
教科書で小川未明の童話を読んだことがあるかもしれません。小川未明の童話は、冒険物語や勧善懲悪物語などが主体ではありません。「鶴の恩返し」や「見るなの座敷」のように、主人公の約束違反で、誰かが哀れに去っていくという内容とも少し違うと思いますが、どちらかというと、これに近く、読書後に「哀れ」が感じられる物語が多いように思います。この本を読んだときには、作者が何を訴えたいのかなどと、分析することはおすすめしません。心で感じて下さい。静かで透明感のある物語が多く、成人しても時々読みたくなる童話集です。
(建築学科・教員推薦)
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https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/NP09624569 -
やさしくて切なくて不可思議で、時に残酷な物語たち。
お金や権力、名誉などへの欲望に汚れてしまった大人たちに、子どもの頃の純粋さを取り戻すように諭すお話が多かったように思う。
正しい行いをした者が報われ、間違った行いをした者に罰があたる。そんなふうに因果が巡り巡ってゆくお話がある一方で、惨めな思いをした者が報われなかったり、栄えていた国が滅びたりと、この世の無常、不条理さをさりげなく訴えかけるような作品もあった。読んでいてとても切ない気持ちになった。
「赤いろうそくと人魚」「港に着いた黒んぼ」「月とあざらし」が特に好きだ。
小さいもの、弱いもの、貧しいもの、自然や動物たちへの小川未明の深い愛情を感じた。
解説を読むと小川未明と言う作家の素晴らしさがよく分かる。子どもらしい心を決して忘れない姿勢、善く生きようとする姿勢。 -
客観的に時代を把握している未明は素晴らしいと思った。
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「野ばら」の文章が心に響く。解説に背景。
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童話的な短編集。作者としての視線の厳しさというか、まじめさを感じる。結構救われないオチが多いので、凹んでるときに見ない方がいいかも。
著者プロフィール
小川未明の作品





