- Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003114919
作品紹介・あらすじ
創作童話に新生面を開き、数多くの傑作を残した小川未明。「眠い町」「牛女」「金の輪」など31篇を収録。
感想・レビュー・書評
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この時代の丁寧な語りって好きだ。
道徳的過ぎるといえば過ぎるんだけど、この綺麗さは捨てがたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
近代化の憂えがあるものの、痛烈な批判はなく、大人たちも考えさせる童話。作りは古いが、当時は新しかったのだと思う。内容に感銘はないが、時代性を知るには良い本。
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(特集:「先生と先輩がすすめる本」)
教科書で小川未明の童話を読んだことがあるかもしれません。小川未明の童話は、冒険物語や勧善懲悪物語などが主体ではありません。「鶴の恩返し」や「見るなの座敷」のように、主人公の約束違反で、誰かが哀れに去っていくという内容とも少し違うと思いますが、どちらかというと、これに近く、読書後に「哀れ」が感じられる物語が多いように思います。この本を読んだときには、作者が何を訴えたいのかなどと、分析することはおすすめしません。心で感じて下さい。静かで透明感のある物語が多く、成人しても時々読みたくなる童話集です。
(建築学科・教員推薦)
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https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/NP09624569 -
やさしくて切なくて不可思議で、時に残酷な物語たち。
お金や権力、名誉などへの欲望に汚れてしまった大人たちに、子どもの頃の純粋さを取り戻すように諭すお話が多かったように思う。
正しい行いをした者が報われ、間違った行いをした者に罰があたる。そんなふうに因果が巡り巡ってゆくお話がある一方で、惨めな思いをした者が報われなかったり、栄えていた国が滅びたりと、この世の無常、不条理さをさりげなく訴えかけるような作品もあった。読んでいてとても切ない気持ちになった。
「赤いろうそくと人魚」「港に着いた黒んぼ」「月とあざらし」が特に好きだ。
小さいもの、弱いもの、貧しいもの、自然や動物たちへの小川未明の深い愛情を感じた。
解説を読むと小川未明と言う作家の素晴らしさがよく分かる。子どもらしい心を決して忘れない姿勢、善く生きようとする姿勢。 -
客観的に時代を把握している未明は素晴らしいと思った。
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「野ばら」の文章が心に響く。解説に背景。
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童話的な短編集。作者としての視線の厳しさというか、まじめさを感じる。結構救われないオチが多いので、凹んでるときに見ない方がいいかも。
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「赤いろうそくと人魚」
孤独に生きる人魚が、人間はこの世で最も優しい生き物だと聞き、娘を人間に託すも裏切られ復讐する話。
小学生の頃NHKで見て戦慄した。何もそこまで…というほど完膚無きまでに報いを与えるのが恐かった。
西洋の神罰を彷彿とさせる徹底的な報復ぶりに、「欲を出したために破滅する」型の話のはずが、読後に人知を超えたものへ畏敬の念を抱かせる話に。
本当は一番優しい生き物って人魚なんだろうけど、それだけに夢を砕かれた時の絶望は大きくなるんだろうな…
「野ばら」
幼少時にこの絵本を愛読していたんだけど、この人の作品だったんだ!運命だ!
小川未明の作風は、日本を舞台にした話でも西洋風。アンデルセンぽい。静かな語り口。 -
緑149-1